「笑いの効用」(3・17)

ひと月に一度の名古屋お出かけの日である。
寒い時のお出かけはつらいので、お休みしている。
3月の当日は4月の暖かさだった。
(それ、春だ!)
春と聞けば、じっとして居られない性分である。
しかし朝は冷え込んだ。
カイロを5個身につけて、お出かけした。
もうすぐ愛知万博が始まるので、名古屋も変わった。
電車を下りてすぐ地下鉄に乗るのでずっと地面の下を歩く。
だから名古屋の駅前がどうなっているのか知らない。
外の景色を知らないのだ。
とても名古屋人とは言えない。
いつまで経っても・・田舎者である。それでいい。
人の波にもまれると、人に酔ってしまうので・・。

3月は卒業のシーズンで、会の参加者は少なかった。

集まって悩みを吐き出し、人の悩みを聞いて、自分を見つめなおして納得する。
そして少しずつながらでも、前進しようと努める。
全てに通じることだが客観的に自分を見つめることは必要なことだ。
自分が悩みの渦の中でもがいているうちは、どうどうめぐりをしている事が多い。
それは悪循環と言う。

今回司会をかって出た人は、ひと皮むけたようだ。
蛇が脱皮して次第に大きくなるように驚く程大きくなった。
「これからは、何でもさせてもらいます。
会場当番でも司会でも。毎月でも頼まれればやりますよ」
とても明るく言う。
大きな目玉がくるくるよく動く。
司会者が明るいので、会の雰囲気も明るく進行した。
司会者は苦労したことを包み隠さず、明るく話す。
明るいので苦労が笑いになっている。
「実はアル中になって、禁酒会にも入りました。
ここだけの話ですが、車の運転席にビールを乗せて走ったこともあります」
「えっ!」全員びっくりした。
よく逮捕されなかったと感心した。

お昼になった。
それぞれの好みの会食をしながら話が弾む。
「私はね、今メロンパンにはまってましてね。
これが大好きなんです。一度に三個は食べます。
しかしカロリーを計算すると、一日のカロリー以上を取っていることになるんです」
「あら偶然、私もメロンパンよ」
私がたまたま買ったメロンパンが大好きというWさん。

それから全員でメロンパンの話になった。
最近メロンパンのみを車で売りに来る。
「焼きたてのあれっておいしいわね!」
「でもそんなにカロリーがあるのなら・・考えものだわね」

「13日の金曜日の話、あれって本当なんですね」
一年に必ず一度か二度は13日の金曜日がある。
「そうなんです。計算すると・・ええと数学的に・・」
「いいえ、いいです。数学は嫌いですから・・」
Wさんの頭はコンピューターに準ずる。
数学大好きのお方である。
計算するのが好きで、答えが出るのが充実満足なのだろう。

「今日私の大好きな人の・・発売日なんです」
「わかった。一丁目だね?」
「一丁目って?」
「ほら、平川地一丁目の・・」
「ああ、私はたいらかわちと読んでいました」
「私はひらかわちの歌に刺激されて、ギターをはじめたんです」
若い人はいい。
自分の子供のような年齢の人の歌にはまっている。
「私の姉はね、ヨン様ヨン様でほらプロマイドを私にもくれたの。
今度は韓国語を学んでいるのよ。
ヨン様と会話するためにね。
何度も韓国へ行ったわ。撮影場所を見に行ったり・・。
でもね、生き生きしているのよ。
働きながらもヨン様へのエネルギーが凄いの。
ヨン様も悪くないわと思うようになったわ。
ヨン様のお陰でそれだけのパワーが出るのなら・・。そして今
私もヨン様が好きになりつつあるのよ」
私は馬鹿らしいと思いながらも、それだけのパワーを与えてくれる
ヨン様を見直した。
「それでね、姉は更年期障害を忘れたようだわ」
なるほど、病気まで治療するだけの魅力ある男性か?
「ひとつ事に一生懸命向かうのもひとつの生き方ですね」
「それに楽しさが加わったら・・もっといいし・・」

「私には哀しい別れがふたつありました」
私の身辺のことを神妙に話始めたが、いつの間にかこころが和らいでいる。
吐き出して、心が軽くなることもある。
「そうなんだよね。自分ひとりで抱え込まないように」
「笑いはガンさえキラーするというでしょ?
生きがい療法の伊丹仁朗先生は、いつも鉛筆とメモ帳を持って歩いているそうです。
どこかに笑いのネタが転がっていないか?と・・」
「確かに!笑うことはいい事ですねえ。たとえ楽しくなくても笑う。
私は声を出して笑いますよ。変な笑い方ですが、結構いけます」
「笑いでやる気が起こるから不思議ですよね」

「エンディングノート」の話も深刻にはならなかった。

「あ〜あ、今日はよく笑った」
「顔のしわにアイロンをかけなくっちゃあ!」