Jewels of Nostalgia

Welta Weltix
Steinheil Cassar F2.9/50mm
Compur TB,1sec. - 1/300sec.
1939, Made in Germany

Photo

ウェルタ(ヴェルタ)社の沿革、および、同社の35mmフォールディングカメラについての概略は、 "Welta Welti Early Model Type A" に記したとおりである。
Welta Weltix は、Welta Welti の廉価版・姉妹機として、1930年代後半に製造販売されたモデルである。Weltix と Welti は、いずれも距離計を持たない目測式35mm版フォールディングカメラであるが、両者の違いを書き出してみると、下記のようになる。


WeltixWelti
トッププレート黒エナメル塗装梨地加工クロームメッキ
(初期型は黒エナメル塗装)
ボトムプレート張皮板金モナカ構造梨地加工クロームメッキ
(初期型は張皮)
ノブ・ボタン類仕上主にニッケルメッキ主にクロームメッキ
(初期型はニッケルメッキ)
ボディ構造板金プレス構造軽合金ダイキャスト構造
レンズSteinheil Cassar
etc.
Steinheil Cassar
Schneider Xener
Carl Zeiss Tessar
etc.
フォーカシング前玉回転ヘリコイド回転による全群移動
(3枚玉を除く)
リバースクラッチ巻上げノブ引上げ操作巻上げスプール下部の専用ノブ操作

上記を見れば分かるとおり、装着レンズ、フォーカシング機構など、いずれも Welti に比べ安価なものとなっており、Welti に対する Weltix の位置付け・差別化は明らかである。
Weltix と Welti の最も大きな違いは、ボディ構造にある。Weltix の場合、カメラボディは板金プレス加工によるもので、ボディ前後がモナカの皮のように分離しており、両者の張り合わせという簡易な構造となっている。この構造は、カメラボディとしては、少々古い構造であり、Balda Jubilette などでも見ることができる。
一方、Welti のボディは、軽合金ダイキャスト製であり、当時のコダック・レチナなどと同様の近代的な構造である。ダイキャストボディゆえの剛性感により、Weltix に比べ、Welti の方が質感、精密感がより高いものとなっている。

なお、第二次世界大戦後、東ドイツに属することになった VEB Welta で Welti が再生産されたのに対し、Weltix は再生産されず、戦後モデルは存在しない。


Weltix のレンズとして多く見られるのが、三群三枚のトリプレット、シュタインハイル・カッサーである。
戦前のノンコートレンズのため仕方のないことではあるが、カラーフィルムで撮影してみると、コントラストが低く眠いトーンである。カラーバランスも良くない。モノクロフィルムであれば、柔らかい良い階調を出すのであろう。
もとより、シャープネスに定評があるレンズでは無いが、絞り込めば通常の撮影には支障がない程度の解像力はある。

軍艦部は、左から巻き戻しノブ、ファインダー、フィルムカウンター同軸シャッターレリーズボタン、フィルムリリースボタン、巻上げノブとなっている。
フィルムカウンター同軸シャッターレリーズボタンは、Welti と同様のものである。ファインダーも、Welti 初期型 Type BWelti と同様の手動パララックス補正機能付のものとなっている。

この Weltix は底部右側の飾金具が欠けており、代わりに、20ベルギーフラン銅貨が取りつけてあった。前所有者の誰かが施した工作と思われるが、この硬貨は、厚さ3ミリ近くもある立派なもので、入手時には何かの記念モデルかと思ったほどである。

また、底部中央で前後を分断するラインは、Weltix が板金プレスによる「モナカ構造」であることを示すものである。

裏蓋を開けた状態。Weltix が板金プレス加工によるカメラであることが良く分かる。底板など、ペラペラの鉄板である。
板金加工技術、補強技術に関しては、同時代のバルダ社のカメラ、Jubilette などの方がかなり高度である。
また、ウェルチ独自のスプロケットシャフト上部のギア機構は、ウェルチックスには採用されておらず、より簡素な構造となっている。
ウェルチに付いている、巻上げスプール下部のリバースクラッチが無く、巻上げノブ引上げによるリバースクラッチリリースとなっているのも簡略化された部分である。




実写例

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