Jewels of Nostalgia

VEB Welta Welti I
Carl Zeiss Jena T Tessar F2.8/50mm
Cludor B,1sec. - 1/200sec.
1950, Made in GDR (East Germany)

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ウェルタ(ヴェルタ)社の沿革、および、同社の35mmフォールディングカメラについての概略は、 "Welta Welti Early Model Type A" に記したとおりである。

第二次世界大戦後、ドレスデン近郊に拠点を置いていたウェルタ社は、東ドイツに属することになり、人民公社組織 VEB (Volks Eigene Bertrieb) Welta として、復興を遂げることとなった。
戦後、ドイツのカメラメーカーの中には、ツァイスグループ、バルダなど、東西両ドイツに分断されたものもあったが、ウェルタは東ドイツのみでの事業復興となったようである。
第二次世界大戦末期、連合軍の大空襲により甚大な被害を被ったドレスデンには数多くのカメラメーカーが存在した。そうした中、VEB Welta は最も早期に復興し、生産を再開したと云われている。ウェルタ社の所在地がドレスデンそのものではなく、近郊の Freital にあり、戦災による被害が少なかったであろうことが復興を早めた原因として想像される。

Welti I は、戦前の Welta Welti の再生産版である。Welti は、ウェルタ社が1930年代に開発した35mm版フォールディングカメラであり、堅牢な軽合金ダイキャスト製ボディに、カールツァイス・テッサー、シュナイダー・クスナーなどのレンズを装備した、同時代のコダック・レチナのライバル的存在として知られるカメラである。

Welti I のボディは、戦前・後期型ウェルチとほとんど同じであり、戦前・前期型ウェルチに比べると、レンズまわりはかなり変更されている。蛇腹展開支持機構はウェルチニ(連動距離計付ウェルチ)と同様のものである。これは、レンズボードとフィルム面との平行性維持がより確実で、距離計連動用アームが付いたタイプである。Welti I は距離計無しモデルのため、距離計連動アームとボディを結ぶリンケージは付属しない。
シャッターユニットは、戦前の Friedrich Deckel COMPUR から、東ドイツ製 VEBUR / CLUDOR などに変更された。レンズには、Meyer-Optik Trioplan、Ludwig Meritar、Carl Zeiss Jena Tessar などが使用されている。

手元にある、Welti I は、戦前のウェルチ同様、しっかりとした作りですこぶる質感が良い。ノブ類、ボタン類の仕上げも良く、クロームメッキ梨地加工のトッププレート・ボトムプレート、結晶塗装の前蓋・裏蓋内側も見事な仕上げである。


レンズは、カールツァイスイエナ・テッサー、戦前と同じ表記である。ツァイス独自の「Tコーティング」を施したレンズであることを示す、赤い「T」文字付であり、発色、コントラストは優秀である。とはいえ、「T」文字無しのものとは歴然と違う、というほどの差は無い。
この時代のテッサーは、東ドイツ製のものの方が西ドイツ製のものより描写が柔らかいとよく云われるが、たしかに西ドイツ製の Opton Tessar に比べ、柔らかな印象である。人物撮影などには、東ドイツ製テッサーの方が向いているように思われる。

軍艦部の構成は、戦前の Welti と全く同じで、ノブ類、ボタン類の形状が微妙に異なる程度である。
左から、巻き戻しノブ、ファインダー、アクセサリシュー、フィルムカウンター同軸シャッターレリーズボタン、フィルムリリースボタン、巻上げノブとなっている。
パララックス補正機構付ファインダー、フィルムカウンター同軸式シャッターレリーズボタンなどウェルチの特徴は、戦前モデルそのままに受け継がれている。
ファインダー・パララックス切替は、「N」側の方が安定したフレーミングができるのも、戦前型 Welti と同じである。

レンズまわりは、戦前・前期型ウェルチに比べるとかなり大型化している。
この蛇腹展開支持アームは、レンズボードとフィルム面の平行性維持が確実で良いのだが、沈胴量が少ないため、レンズが大きく出っ張り、前蓋が大型になるのが欠点である。

なお、裏蓋開閉ラッチは戦前のクロームメッキ+黒塗装のものから、無塗装梨地仕上げのものに変更されている。

この角度から見ると、前蓋の厚さが良く分かる。戦前・前期型に比べると倍近くの厚みがある。ディスプレイスタンドは、ごく小さいながらも、まだ付いている。

ボトムプレートは見事な梨地仕上げで美しい。戦前型と全く同じ書体の "Welta" のロゴ入りである。

なお、戦前型 Welti に付いていた巻上げ軸下側のリバースクラッチは、戦後型には付いていない。フィルムリワインド時には、巻上げノブを引き抜いて、リバースクラッチをリリースする構造となっている。




実写例

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