Jewels of Nostalgia

Welta Welti (Early Model Type B)
Schneider Kreuznach Xenar F2.9/50mm
Compur TB,1sec. - 1/300sec.
circa 1936, Made in Germany

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ウェルタ(ヴェルタ)社の沿革、および、同社の35mmフォールディングカメラについての概略は、 "Welta Welti Early Model Type A" に記したとおりである。
ウェルチは、ウェルタ社が1930年代に開発した35mm版フォールディングカメラであり、堅牢な軽合金ダイキャスト製ボディに、カールツァイス・テッサー、シュナイダー・クスナーなどのレンズを装備した、同時代のコダック・レチナのライバル的存在として知られるカメラである。

このページのモデルは、ウェルチの初期モデルと思われるが、"初期型 Type A" より新しいモデルと思われるので、便宜上 "初期型 Type B" と呼ぶことにする。この Type B は、クロームメッキ梨地加工のトッププレートとボトムプレートで良く知られている1930年代末期の Welti にかなり近い構造となっている。

このモデルの製造年代も資料がないため判然としないが、おそらく、1936年頃の製造と思われる。その根拠は、装備されたレンズ、シュナイダー・クスナーのシリアルナンバーである。シュナイダー社は早くからレンズナンバーを一元管理しており、そのシリアルナンバーによって、そのレンズがいつ作られたのかが分かるようになっている。現在、シリアルナンバー&製造年代対応表は、Web上に公開されている。

Schneider Age of Lenses
http://www.schneideroptics.com/info/age_of_lenses/


上記を見る限り、このクスナーは、1936年5月から1936年11月の間に作られたものであることが分かる。おそらく、ボディも同じ頃に作られたものではないだろうか。もっとも、レンズの前玉だけが取り替えられたりすることは、当時けっこうあったようで、そうした場合を想定すると、年代特定は怪しくなってくる。


"初期型 Type A" では、直線で面取りされたボディコーナーが、このモデルから、曲線でまとめたものに変わった。
以後、1950年代に東ドイツで再生産された Welti IWelti Ic に至るまで、このボディコーナー形状は変わっておらず、ウェルチ独自のスタイルとなっている。
また、裏蓋開閉ラッチは戦前ウェルチ独自のもので、廉価版の Weltix にも採用されている。戦後型の Welti IWelti Ic では別の形状のものに変更された。

このクスナーの開放F値はF2.9である。F2.8/F3.5のクスナーは良く見かけるが、F2.9のものは珍しいのではないだろうか。
ノンコーティングである上、細かい傷が多いため、発色・コントラストはあまり冴えず、アンバー傾向のカラーバランスである。シャープネスは、レチナに装備されたF3.5のものに比べると、少々線が太い印象を受ける。
フォーカシングは前玉回転ではなく、ヘリコイド回転による全群移動である。クスナー、テッサーなどの4枚玉を備えたウェルチには初期型を含め、前玉回転モデルは無いと思われる。

軍艦部は、左から巻き戻しノブ、ファインダー、アクセサリシュー取付用ビス、フィルムカウンター、巻上げノブとなっている。
フィルムロック解除ノブ/ボタンは存在せず、巻上げノブを軽く引き上げることで、フィルムリリースを行なう点、ボディシャッターが無い点は、"初期型 Type A" と同様である。

ファインダーは中央から左側にオフセットし、手動パララックス補正機構が組込まれるなど、後期型ウェルチと同様のものになった。

この手動パララックス補正機構付ファインダーには、左側に「N」が、右側に「∞」の文字が刻印されている。また、ファインダーの下には切替ノブがある。
通常撮影時は「∞」側にノブを合わせておき、近接撮影の際に「N」側にノブを合わせる。すると、ファインダー後部が浮き上がり、視線が下向きになる仕組となっている。
どれほどの距離から「N」にするのか?という点が不明であるが、どうやら、1.5m付近から切り換えるもののようである。

ニッケルメッキのやや黄色みを帯びた鈍い輝きが、ブラックボディに良く似合っている。
同時代のコダック・レチナ初期モデル同様、美しいカメラである。
レチナの場合、ファインダーハウジングがアルミニウム製のため、塗装が剥がれると灰白色となるが、このウェルチの場合は、真鍮製ファインダーのため、塗装剥がれは黄土色となり、より渋めの外観を呈している。




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