Jewels of Nostalgia

KODAK Retina II Type 011
Schneider Kreuznach Retina Xenon F2.0/50mm
Compur-Rapid B,1sec. - 1/500sec.
1946, Made in Germany


レチナシリーズ誕生の経緯、およびそのメーカーであったドイツ・コダック社の沿革については、Retina Type 117 に記したとおりである。

連動距離計を備えたレチナが、Retina II である。その開発は意外と古く、初代レチナが誕生した2年後の1936年には Type 122 として生産開始されている。
しかしながら、Type 122 は、4000台あまりしか生産されず、翌1937年には早くも Type 142 に生産が切り替わっている。Type 142 は、50,000台あまりが生産され、現在、「戦前型 Retina II」と呼ばれているものの多くは、Type 142 である。

Type 122 / 142 では、二重像合致式の距離計ファインダーと、フレーミング用ビューファインダーは別々のものになっていた。つまり、距離計ファインダーで測距を行なった後、ビューファインダーに切替え、フレーミングを行なう必要があったのである。
これを改善し、ひとつのファインダーで測距とフレーミングを行なえるようにしたものが、Type 150 である。Type 150 は、1939〜1941年にわたって生産されたが、その数は非常に少なく、5000台あまりであった。また、Type 150 には "Retina IIa" の銘が刻まれているが、Retina II 同様のノブ式巻上げであり、戦後のレバー式巻上げの Retina IIa 系列とは異なるものである。

この Retina II は、第二次世界大戦後、最初に生産再開された Type 011 で、Type 150 の改良型である。両者は一見たいへん良く似ているが、実際にはかなり多くの部分が異なっている。Type 150 と Type 011 の識別点は、フィルムカウンターリセットギアの位置、リワインドノブとアクセサリーシューの間の段差の有無、軍艦部リベットの有無、裏蓋開閉レバーの形状、ストラップ取付金具の有無などである。


Retina II Type 011 のレンズとしては、Schneider Kreuznach Xenon F2/50mm、Rodenstock Heligon F2/50mm、Kodak Ektar F2/47mm の三種が存在する。いずれも銘玉と呼ばれるレンズであるが、描写はそれぞれに異なる。

この機体は、クセノンF2/50mm付である。4群6枚のガウスタイプであり、芯のある柔らかさ、透明感ある繊細な描写が美しい。
終戦直後のノンコートレンズのため、逆光には弱く、フレアが出やすいのが欠点である。

トッププレートには、Retina II の銘が刻まれている。Retina I では、フィルムカウンターが大きく表に出ているため、このような刻印を配置する場所は無かった。Retina II のフィルムカウンターは巻上げノブ左側に内蔵されている。

この写真の左端、リワインドノブとアクセサリーシューの間に段差があるのが、戦前型 Type 150 である。また、Type 150 では、フィルムカウンターリセットギアが、この写真のように軍艦部背面右上部ではなく、軍艦部前面右角に設けられている。

フォーカシングヘリコイドの動きを連動距離計のミラーに伝えるのが、レンズボードを支える×型支持具の間に見えるバーである。フォールディングカメラの距離計連動機構は精度を出すのが難しいと云われるが、Retina II のフォーカシング精度は優秀な方である。ファインダー二重像がやや見にくいのが欠点である。
フォーカシングヘリコイドを無限遠に設定しないと、前蓋を閉じることができないレチナの伝統は、Retina II でも生きており、距離計連動機構の保護にも役立っていると思われる。

トップカバーを外した距離計部分。アルミニウム削り出しの頑丈なブロック構造となっている。
向かって左側が測距用ミラープリズム、右側がビューファインダー+ハーフミラーであり、基線長は45mmほどである。
通常フォーカシングヘリコイドに連動して動くのは測距用ミラーである場合が多いが、Retina II の場合は、ビューファインダー側が動くようになっている。
この構造は、Type 011 / 014 ともに共通のものである。

F3.5クラスのレンズを装備する Retina I に比べ、F2.0クラスのレンズを装備する Retina II では、レンズサイズの増大により、前蓋はより厚く大型のものとなっている。
とはいえ、レチナ伝統の軽快感は損なわれておらず、よくまとまっている。
なお、ボディ底部に被写界深度ゲージが付いた Retina II は、この Type 011 が最後のモデルである。




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