Jewels of Nostalgia

KODAK Retina I Type 141
Kodak Anastigmat Ektar F3.5/50mm
Compur-Rapid TB,1sec. - 1/500sec.
1937, Made in Germany

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レチナシリーズ誕生の経緯、およびそのメーカーであったドイツ・コダック社の沿革については、Retina Type 117 に記したとおりである。
この Type 141 は、Type 119/126 に続く四代目レチナである。基本的なスタイル・機構は、Type 119/126 を踏襲しているが、最も大きな変更点は、Retina I としては初めてボディレリーズシャッターボタンを装備した点である。
この時代のボディレリーズシャッター装備カメラの中には、動作が渋いものや、押下ストロークが異様に長いもの、ひっかかりを感じるものが少なくなく、ともすれば手ブレの原因になったりすることがあるが、この Retina I Type 141 の場合は、いたってスムーズな操作感である。押下ストローク、シャッターの落ちるタイミング、いずれも良く考慮されたもので、手ブレの心配などは皆無、動作音も静かで優秀な機構である。


Kodak Anastigmat Ektar は、委託生産された Schneider Xenar である。現代風に云えば、OEM ということになる。そのため、Schneider Serial Numbers 一覧から、生産年時を特定することが可能であり、このレンズは、1937年12月〜1938年11月にかけて生産されたものであることが分かる。
この機体のレンズは、前玉内部のクモリがひどいため、コントラストは冴えず、発色も実に渋い。カラーバランスも若干アンバーに片寄っている。とはいえ、シャープネスは充分であり、クスナー伝統の繊細な描写感は失われていない。

軍艦部の配置は、写真左から巻き戻しノブ、ファインダー、フィルムリリースレバー、フィルムカウンター、シャッターボタン、リワインドクラッチ切替えレバー、巻上げノブとなっている。
トッププレートは光沢ある梨地クロームメッキ仕上げであり、初期型レチナのニッケルメッキや戦後型レチナのクロームメッキとは一味異なる雰囲気である。

フィルムカウンター外周部に設置されたシャッターボタン。Type 141 で初めて装備されたボディレリーズシャッターである。二重露出防止機構はまだ無く、常時レリーズ可能である。
フィルムカウンターは内周部の矢印部分のみが回転する。このあたりの仕上げは非常に精緻なもので、ナーゲル社以来の工作技術の確かさを感じさせる部分である。
ファインダー右横は、フィルムリリースレバーである。Type 119 と同様のものであり、フィルムカウンターリセットの際にも、このレバーを用いる。

戦後型の Type 010 に似た、クロームメッキ仕上げであるが、細部の質感はかなり異なる。
裏蓋開閉用ラッチ、ディスプレイスタンドなどの仕上げは、戦後型では平滑なクロームメッキであるが、このモデルでは細かい梨地仕上げとなっている。




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