Jewels of Nostalgia

Balda Jubilette
Meyer Goerlitz Trioplan F2.9/50mm
Compur B,1sec. - 1/300sec.
1938, Made in Germany

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バルダ社は、1908年、旧東ドイツのドレスデンに創業したカメラメーカーで、多種多量のボックスカメラ・フォールディングカメラの生産を行なったことで知られている。第二次世界大戦前には、「スーパーポンチュラ」、「バルダックス」、「バルダクセッテ」などのフォールディングカメラの名機を生み出している。
中心となる製品群は、いわゆる「中級品」、「大衆品」であり、フォクトレンダー、ライカ、ツァイス・イコンなどの高級品とは意識的に競合を避けていたように思われる。しかしながら、その技術力には定評があり、一説によると、ドイツ中のあらゆるカメラメーカーのOEM生産を受託していた、と言われているほどである。

1930〜50年代のバルダ製カメラは、フィルムサイズや、レンズ、シャッターの組み合わせをクラス分けすることで、様々なユーザーの求めに応じていたらしく、基本的なボデイ構造は同じながら、レンズとシャッターが異なるモデルが非常に多いのが特徴である。
また、1930年代中頃、業界が軽合金製ダイキャストボディに移行しつつあった中、板金プレス加工ボディを作り続けたのも、バルダ社製カメラの特徴であった。板金プレス加工ボディは製造コストを低く抑えることができるため、ベーシック〜ミッドレンジモデル指向のバルダ社の営業戦略に合致していたのであろう。
とはいえ、当時のバルダ社製カメラの剛性感はなかなかに高く、いずれのカメラもガッチリした印象を受ける。波板加工など剛性強化技術に対する自信も、ダイキャストボディを必要としなかった理由のひとつかもしれない。

この Jubilette は、1938年にバルダ社創立30周年を記念して発売されたものである。元になったモデルは、Balda Baldina (初代)かと思われる。バルディナをボディ(前蓋)レリーズシャッターに変更、ファインダーのパララックス補正機構を省略、ボディのニッケルメッキトリムを黒エナメル塗装に変更したものが、ジュビレットと考えて良い。
ジュビレットはかなりの数が生産されたらしく、現在も中古市場では、初代バルディナよりよく見かけるカメラである。カメラとしては旧式な構造ながら、その寿命も意外に長く、第二次世界大戦後も、西ドイツでは Balda Baldinette として、東ドイツでは Belca Beltica として、改良を加えながら再生産されている。


レンズは名門メイヤー・ゲルリッツのトリオプラン。名前のとおり、三群三枚のトリプレットである。
戦前のノンコートレンズであり、コントラストが低いのは仕方ないとしても、解像感はかなり甘い。
無限遠がずれているわけでもなく、一応決まった場所にフォーカスは来る。前玉をねじ込む位置を色々変えてみても、特別シャープな位置は見つからない。おそらく、良く言えばソフトな柔らかめの描写を身上とするレンズなのであろう。

軍艦部の様子。
左から、巻き戻しノブ、ファインダー、フィルムカウンターである。
フィルムカウンター左上のボタンはシャッターレリーズボタンではなく、前蓋開放ボタンである。このボタンを押すと、大音響と共に前蓋が開き、スプリングの力でレンズがせり出してくる。まさしくスプリングカメラである。
シャッターレリーズボタンは、前蓋のヒンジ側に取り付けられている。写真では巻き戻しノブ前方のボタンである。このカメラは左手レリーズである。

前蓋を閉じた状態。
このカメラのフィルム巻上げノブは、写真の左下、すなわちボディ右下底部の大型ノブである。ノブ横のフィルムリリースボタンを押した後でないと、フィルムは巻き上げられない。フィルムリリースボタン横には押下防止用のクラッチが装備されている。

フィルム巻き戻し時には、特にリワインドクラッチがあるわけではなく、この巻上げノブを少し引き上げて、巻上げ軸をフリーにしてから巻き戻す単純な機構となっている。

軍艦部の写真を見れば分かるとおり、このカメラはボディ前後をモナカ状に張り合わせた板金プレス構造である。
裏蓋を開けると、板金プレス構造の様子が一層良く分かる。
力のかかる部分は、波板状のリブ加工で補強してあり、強度確保のための苦心の跡が垣間見られる。このあたり、ドイツ軍用機・ユンカースの機体に通じる作りである。

この内部構造は、後継機である Balda BaldinetteBelca Beltica I などに、ほとんどそのまま受け継がれている。




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