東雲キャナルコート

(2006. 1.13)




 久し振りに東京へ行く機会があり、都市機構の方の案内で東雲キャナルコートを見学させてもらった。
 地下鉄有楽町線辰巳駅から辰巳運河にかかる橋を渡って5分。橋上から、東雲キャナルコートの全景が一望できる。周辺部は建築中だが、機構が中心となって整備した中央ゾーン「CODAN」は既に完成、H15年7月から入居が開始され、17年3月には全戸入居されている。
 CODANの最も大きな特徴は、積極的なデザイン・コントロールを行ったことだ。最初に、三枝成彰(作曲家)を座長、残間理江子をコーディネーターとする「まちなみ街区企画会議」を立ち上げ、新しい都心居住のコンセプト検討を行った。委員のメンバーも作詞家の秋本康やマーケティングコンサルタントの西川りゅうじんなど実に多彩だ。そこで得られた(1) Good Adrdress、(2) Activity、(3) Variety、(4) 24hours、(5) Vivid の5つの街づくりコンセプトを下に、6つの街区についてプロポーザル提案を行われ、伊東豊雄を始めそうそうたるメンバーがそろった。彼ら6組の建築家に、企画会議の委員だった建築家・山本理顕(6組の建築課のうちの一人でもある)がデザインアドバイザーとなって、他にランドスケープアーキテクト・長谷川浩己、照明・近田玲子、サイン・廣村正彰などが加わり、デザイン会議が組織され、デザインガイドラインを策定。それに基づき、お互いの設計に相互に意見を言い合う形でデザイン作業が進められた。その結果、非常に調和の取れた、都会的なデザインの街が誕生した。
 住宅戸数は2,135戸。UR賃貸が1〜4及び6街区の1,712戸、5街区は都市機構から定期借地で東京建物が借り受け、423戸の賃貸住宅となっている。都市計画は、用途地域が第2種住居地域(建坪率60%、容積率400%)のところを、高層住居誘導地区の指定を受け容積率600%に緩和、中央ゾーンはさらに街並み誘導型地区計画の指定を受け、斜線制限と日影規制が適用除外となっている。各街区の入居募集は平成14年10月から始められ、実に平均倍率は14.2倍、最高では210倍の倍率をつけた。平均家賃は2500円/m2、15〜18万円のところが多いというから、名古屋では全く考えられない。入居者は20〜30代が圧倒的で、半分近くが単身者。若年子育て層も多く、15年8月にオープンした保育園や学童クラブなども盛況のようだ。また、東京の東に立地するにもかかわらず、山の手・世田谷方面から移住してくる人が多かったのも特徴だとおっしゃっていた。ちなみに、銀座へ地下鉄でわずか7分という立地もあり、駐車場利用率が非常に低い(50%程度)というのも、名古屋では考えられないことだ。

玄関デザイン / 中廊下 / プライベートコモン

シースルーエントランス / SOHO住宅のフリースペース / 3街区の中廊下
 各住宅のデザイン性は非常に高い。特に色遣いや照明が斬新的。加えて、SOHO住宅やプライベートテラス、シースルーエントランス、アネックスルーム(離れ)、コモンヴォイド、ブリッジ型立体街路などの意欲的な仕掛けが試みられている。
 また、S字アベニューが街区の中をうねり、立体的な展望を見せるのに加え、各街区の間に、ビスタの広場、緑の広場が差し込まれ、視界が抜けて気持ちいい空間を作っている。緑の広場はそのまま外周部街区の都市計画公園につながり、辰巳運河までの眺望を誘っている。中央地区南側の三菱グループが開発したゾーンも既に54・55建ての超高層マンション1,149戸が建築され、好調に分譲された。現在は、辰巳運河に面した3街区で民間超高層分譲住宅が建築中で、いずれも売れ行きも好調だそうだ。また、地区の北西部には、大型商業施設としてイオンを誘致。広い駐車場も備え、15年10月にオープン以来、周辺部からの客も集め盛況とのこと。その他、東雲キャナルコート全体としては、約900戸分の超高層住宅予定地と複合街区としてのリザーブ用地を抱えている。ちなみに、学校は周辺の既存校でなんとか収容可能になったようだ。

1街区外観 / 2街区の保育園

緑の広場と都市計画公園 / 照明と組み合わされたサイン(夜はさぞかしきれいだろう)
辰巳運河からの地区外観
 デザイン性に優れ、売れ行きも好調で、非常にうまくいっている住宅プロジェクト。もちろん東京だから成り立っているということは否めないし、今は非常に若い街だが、将来的にはどんな街として成熟していくのかわからないが、こうしたプロジェクトに関わることのできた機構の人にはうらやましい限りだ。