実にトントントンと事が進んだ印象だが、実際には競売に係る債権者とのやりとりや、県・市との調整など、かなり苦労したようだ。
住戸面積は57.97m2で家賃は一律70,000円。他に共益費6,000円、防犯費(カメラ設置)1,000円。24時間生活見守サービスには2名が契約され、3,675円。ただし、未契約者についても生活異常時にはオーナーへ連絡がいくように警備会社と契約。1、2階のデイサービスは、介護サービス会社にフロアー貸しをしている。
建設費に対して共用部分の2/3を瑞浪市から補助(うち1/2は国、1/4は県負担)。家賃補助も市からあり、国、県がその3/4を負担している。公募にあたって、介護度優先や市内・地域優先枠を設け、地域のための住宅であるよう配慮した。管理開始当初は満室だったが、1世帯が田舎に所有する持家管理の都合で夏前に退去され、現在募集中。ただし、いたずらに入居を急がず、じっくりと理解してもらって入居するよう時間を取っているとのこと。
加藤さんに言わせると「最初は商売として考えていた」ということだが、話を伺っていると、住宅の管理者を超えて、高齢者の日常的な生活支援まで行っていることを面々と語られる。
入居者の平均年齢は75歳くらい。東濃地域では唯一の高齢者向け住宅ということからか、本来であれば自立した高齢者が入居対象のはずが、けっこうギリギリの人が多い。入居者のうち、介護度2が1名、1が2名。しかも高齢者の介護度は年々進んでいく。次第に病状が進む認知症傾向の高齢者がおられ、その世話でかなりつらいことも経験。こうした入居者が相手だと、休みを取ることもできない、と言う。
今後、日本の高齢化はますます進んでいく。住宅の何割かは高齢者居住住宅となる。賃貸住宅もそう。そうした時に高優賃はどういう存在になるのか。リコシエ村にしても、加藤氏自身が高齢者になるだろうし、体力も低下していくだろう。それでも大丈夫な、というかオーナーには何ら負担がかからない、バリアフリー等の一定の設備を用意することでサービスの外部化が容易にできる住宅を供給することが高優賃の目的ではないだろうか。
その意味では、加藤さんの日々の努力は尊いけれど、高優賃としては特殊なものと位置付ける必要があるだろう。
もちろん、日々の努力だけでなく、加藤さんの高優賃に取り組もうという心意気や行動力も高く評価できるが、そうした方以外にも、本当に金儲けだけしか考えていないオーナーでも参画できる仕組みが求められる。しかし、地主の土地活用に対して補助金を出すという仕組みは、特優賃の例からしても納得のいかないものを感じる。土地運用益が若干減っても社会貢献意欲を引き出し、それでも負担になる部分に対して金銭的な支援をする、といったさじ加減が難しい。
PS.
家で「リコシエ」の綴りを調べてみる。語感から、仏語かなと思って調べてみるが、なかなか見あたらない。ようやく行き会ったのが「ricochet」。意味は「石等が平面に斜めに当たって水切りのように跳ね飛ぶこと」。「波紋」というより、水面に波紋を起こす飛び石。高速で水面に突き当たり、跳ね飛び、跳ね飛びして、何回も飛んでいく。そしてその数だけ波紋が水面に広がる。加藤さんの行動力はまさにそんなイメージかも知れない。 |