名古屋とその近郊の | ![]() |
ぼちぼち長屋(ほどほど横丁) |
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■ アクシオス千種とライフ&シニアハウス千種
今年度の都市住宅学会の大会が名古屋で開催され、その見学会があったので参加した。JR中央本線千種駅に集合して徒歩5分。都市機構(旧・住宅都市整備公団)が施行してきた千種駅南市街地再開発事業がこの秋に完成し、2棟の超高層ビルが広小路通り東のアイストップにその姿を現した。1棟は特定建築者として(株)大京が建設した「ライオンズタワー千種」。こちらは26階建て116戸の分譲住宅として分譲が開始されている。分譲価格は坪50万円程度で住戸面積は55〜113m2。もう一棟は、都市機構の賃貸住宅が入る「アクシオス千種」。こちらは、賃貸住宅が入るのは11〜31階で、3〜10階には「ライフ&シニアハウス千種」が入る。さらに商業施設棟として、専門店街「フィットハウス」と、隣接して配送センターと駐車場棟がある。この日は、「アクシオス千種」を見学するグループと「ライフ&シニアハウス千種」を見学するグループに分かれたが、あいにく私は「アクシオス千種」グループになり、30階から名古屋の街を展望し、中央に空いた巨大な空洞をのぞき込んだ。室内は都市機構の賃貸住宅として特別なものではないが、住戸面積は51〜101m2で家賃は10〜20万円。第1期募集は3.6倍の倍率を付けたそうだ。「ライフ&シニアハウス千種」を管理するのは、高齢者向け住宅供給の全国的な先駆けを果たしてきた(株)生活科学運営。3階、4階にはフロントや浴室、食堂等に加え、デイサービスセンター、保育園、診療所、薬局、歯科などがテナントとして入る。5階、6階に介護が必要な人のためのシニアハウスが27室。この階にはショートステイ用に居室も9室用意されている。7〜10階は自立した高齢者のためのライフハウス56室。既に12室が入居し生活を始めているそうだ。正直、名古屋圏でこうした都市型の高齢者向け居住施設が成功している事例は少ない。これは、地域に定着して暮らす高齢者世帯や同居世帯が多いという事情があると思うが、千種駅前というまさに都市型の環境でどう経営が成り立っていくか、興味深い。 |
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![]() ![]() 西側外観 / 「ライフ&シニアハウス千種」入口 |
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商業施設棟 / 「アクシオス千種」外観
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■ 名古屋市土地区画整理地(植田中央、高針北部)
1時間あまり見学した後にバスに乗り込んだ。名古屋市の東郊をめざすが、道中、愛知県・名古屋市の住宅都市施策として全国に名高い土地区画整理地を見て回る。車中でも説明があったが、愛知県の区画整理施行面積は千葉県の約2倍、神奈川県の約3倍。そのうちの約半分は名古屋市内で施行されており、政令指定都市との比較では、横浜市や東京都特別区計を圧倒的に引き離し、約3倍の施行面積を誇る。この日、見て回ったのは、平成9年に換地処分が終わった植田中央と昭和61年に換地が終わり既に20年近くが経過する高針北部の2ヶ所だ。説明者は、未だに未利用地が多く見られることを何度も嘆いていたが、車中から見た限りでは、未利用地に節税対策の生産緑地として果樹が植えられたり、畑になっていたりして、それはそれで住宅地のなかにほっとする空間をつくっている。公園などの作られた空間ではなく、無造作な土の匂いが却って良い環境をつくっているように感じた。 |
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■ ゴジカラ村
名古屋市を東へ抜け、隣接する長久手町へ。次に見学するのはゴジカラ村だ。ここへは3年ほど前に、雑木林を極力残して建設したケアハウスの建設時と完成時、そしてゴジカラ村を含んで当時計画されていた長鍬南部土地区画整理地の一画にあった自然地形型住宅地を見学したことがある。今回久し振りに訪れて、まず驚いたのが区画整理の進捗状況だ。この区画整理は、来年長久手町で開催される愛・地球博の駐車場用地として予定されていることから、当然できていなくてはいけないのだが、それにしても一面造成されてしまったのには驚いた。ゴジカラ村への入り口も、かつての素朴な看板と土埃の道ではなくて、区画整理で整備された幹線道路とつながった造成地の中にある。自然地形型住宅地も遠方から眺められたが、現在どういう計画になっているのか。計画どおり進んでいることを祈った。ゴジカラ村自体はそんなに多くは変わっていない。福祉専門学校である「もりのがくえん」、自然の中で自由な保育を展開する「もりのようちえん」、特別養護老人ホーム、そしてケアハウス「雑木林館」等々。これらにこの春に付け加わったのが、足助町から移築してきたという3棟の古民家。やや殺風景な土埃舞い立つ駐車場の間に鎮座しているのが、移動式のトレーラーハウスである「ゴジカラ村役場」。偶然、すれ違った理事長の吉田氏に案内され、ゴジカラ村役場や古民家を見せてもらったが、その際に熱く語っていたのが「ゴジカラ村構想」だ。この地区内に、木造住宅を10数戸建築し、定期借地権住宅として分譲する。彼らには、村民として雑木林や集会所となる古民家などの管理をするほか、ごみ回収や道路の維持管理などの作業も委託する。村民は入村金と利用金の他、月々10万円の共益費を払ってもらうが、これはゴジカラ村の税金だ。これらで先ほどの整備費や作業委託費をまかなう。来週にもその説明会を開催するそうだが、相変わらず構想が壮大で夢にあふれている。吉田氏なら必ずや成功するのだろう。 |
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![]() 長鍬南部土地区画整理事業 |
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もりのようちえん ![]() ケアハウス「雑木林館」 |
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ゴジカラ村役場 ![]() 古民家 |
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■ ぼちぼち長屋(ほどほど横丁) 遠方からの見学者も感心したケアハウス雑木林を出て次に向かったのが、同じ(社)愛知たいようの杜が運営する高齢者居住施設「ぼちぼち長屋(ほどほど横丁)」。名古屋市に隣接する住宅地と畑にはさまれた環境の中に、その建物はあった。ざっくりした造りの木造建築が合わせて5棟ほど散在している。右手に集い処、左手にカフェと事務所。そして奥に、3棟に分かれて全部で13室の居室があり、南面を畑に面して暖かく気持ちよさそうだ。高齢者9名と若い女性4名が生活をしている。女性たちは普通の学生などだが、お年寄りと挨拶を交わしたり一緒に食事することで家賃が下がる仕組みもあるそうで、老若男女の自然で楽しい生活空間が作られているようだ。高齢者の介護サービスは別途愛知たいようの杜のスタッフが担当している。実はこの施設は、土地所有者が自ら建設を行い、たいようの杜は企画運営と介護サービスの提供等を行う形態であり、直接所有や建設を行ったわけではないという。この長屋の奥には、今時の簡易な造りの単身者向けアパートが建設されていたが、ここを案内してくれた松井氏曰く、「ああしたアパートを造っても10年もすれば陳腐化して空き家に苦しむことになる。それに比べ、こちらの施設はけっして空き家が発生することもなく、ますます繁盛するだろう」。然り、時代の流れを見れば、まさに経営的にも的確な判断だ。単なる福祉ではなく、卓抜な経営センスがあるからこそ、このたいようの杜は、次々と斬新な取り組みが行えるのだろう。 |
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■ 高蔵寺ニュータウン
見学者にも好評で、時間が予定より大幅に超過。次第に暗くなりはじめるのを気にしつつ、次は高蔵寺ニュータウンに向かう。昭和41年から事業が始まった、千里に次ぐ日本で2番目のニュータウンにして、土地区画整理方式によるニュータウン整備の先駆けでもある。区域面積は702.1ha。計画戸数20,600戸、計画人口81,000人だったが、現在約5万人で土地区画整理事業自体は昭和56年に完了している。既に完了後20年以上が経過し、高齢化を始め様々な問題が見え始めてきた中で、今回見学したのは、かつて地区センターにあった商業施設の高齢者福祉施設へ転用されている事例と、ニュータウンセンター地区に昭和51年にオープンした大規模商業施設の建て替え事例だ。前者は、松坂屋ストアだった時代、私もよく利用したが、3年ほど前に閉店し、その後はしばらく何も利用されていなかったが、こんな施設になっていたなんて知らなかった。デイサービスセンター、訪問介護ステーション等に利用されている。ただ、隣接する旧来からの商店との間が不細工なフェンスで仕切られていたのが興ざめだ。 ニュータウンセンター地区の方は、サンマルシェという名前でユニーがキーテナントになり、中庭に面して専門店が並んだ明るい施設だった。売上高もユニー店舗の中でもかなり高いという話だったが、売り上げびが伸び悩み始めたのを機に、ユニーの意向も踏まえ、センター施設経営を行う高蔵寺ニュータウンセンター開発株式会社が決断をした。オープンは来年春。果たしてどんな施設になるのか、今から楽しみだ。もっとも、建て替え工事中の間に他の店舗に逃げた客がどういう動きをするのか、心配でもあるが。 |
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高齢者福祉施設 太陽・高蔵寺 |
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| 見学会はこの後、名古屋へ帰る道すがら、勝川駅周辺の再開発や立体換地方式による区画整理事業などを見学する予定だったが、すっかり暗くなったこともあり、またせっかく我が住まいのある高蔵寺ニュータウンまで来たこともあって、ここでバスを降りた。自分が住む街をこうした見学するというのもおかしな気分だが、それはそれで面白かった。いやそれより、再開発から区画整理、高齢者向けの居住施設など、バラエティに富んだ見学ができ、実に充実した見学会だった。 | |