高齢者の住まい(首都圏編)
(2005.10.17〜18) |  |
10/17から18にかけて、東京・神奈川・静岡の高齢者向け居住施設を見学してきました。
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■ コレクティブハウスかんかん森
最初に向かったのは、荒川区東日暮里にある「コレクティブハウスかんかん森」。SRC造12階建ての複合施設「日暮里コミュニティ」の2・3階に入っている。1階はクリニック、保育園、レストラン。4〜12階は介護付きのシニアハウスが46室、自立高齢者向けのライフハウス44室となっている。事業主は(株)生活科学運営でコレクティブハウス部分の運営・コーディネートをNPO法人コレクティブハウジング社が担っている。土地は、区立中学校跡地を教育施設、福祉施設として購入者募集していたものを購入したとのことだった。
コレクティブハウスは全部で28戸。住戸専有面積は24.55〜62.06m2で、家賃が71,000〜174,000円。他に共益費が7,000円となっている。また入居時一時金として175,000円を集め、共有物品の購入をしたそうだ。
コレクティブハウスたる所以は共同生活を営む点にある。ここでは、居住者組合森の風を組織し、いくつかの共同生活を共にしている。その一つがコモンミール。これは週に3回、入居者が共同で食事をし、このための食事当番を全員が月に1回担当するもの。また掃除も3ヶ月に1度全員が担当することになっている。その他、ガーデニングや木工などの趣味のグループや、洗濯機の利用運営を担当するランドリーグループ(1回50円の洗濯機が4台ほど並んでいた)、森の風の歴史記録をするアルバムグループ、かんかん森の情報発信を行うアピールグループなどがあり、我々は見学対応係の木村さんに案内いただいた。
現在は、0歳から80歳までの28戸36人が入居しており、うち単身者が2/3。男性は1/4。一番多いのは20歳代で、様々な職種や経歴の人がいるが、「ノンヒエラルキーが特徴です」とおっしゃられていた。2003年6月オープンなので既に2年4ヶ月。この間に、死亡等により高齢者3名が退去され、代わりに若い独身女性3名が入居したとのこと。ちなみに退去後の入居者選定は特に事業者や居住者組合等で行うことはなく、入居希望者の暮らしぶりを見ての決断に任せていると言っていた。
上階に高齢者向け居住施設があるが、相互の交流は少ないとのこと。コレクティブハウスは居住者の意識も参加型だが、ライフハウス、シニアハウスの居住者はサービスは提供されるものという意識が強く、共同して庭づくりをしようとしたこともあったが、うまく合わなかったと言っていた。しかし、上階に親が住んでいる入居者もおり、将来的にはライフハウス、シニアハウスへの転居や、介護サービスの利用なども事業者((株)生活科学運営)としては当然視野に入れているとのことだった。
日本で最初の、震災復興ではない多世代居住型コレクティブハウスは、非常に理想的に運営されているという感想を持ったが、同時に、これを高齢者向けと捉えることの無理も感じた。むしろ、3名退去後の入居者がそうであったように、若年独身女性にとって非常に魅力のある居住形態ではないか。一方で、中高年の現入居者は次第に高齢化していくとすると、高齢者層と若年層に二極分化したコミュニティができあがることも考えられる。これには上階に高齢者居住施設があることで対応できるのかもしれないが、いずれにせよ、この住宅の20年30年先の将来がどういう状況になっているのか、大いに興味がある。
また、こうした共同生活が楽しめ苦にならない人というのは、やはり現時点では特殊な(悪い意味でなく)メンタリティを持った人に限られると言えるだろう。加えて、共同住宅居住に対して抵抗のない人が多いという首都圏の特殊性もある。第2号、第3号のコレクティブハウスがなかなか生まれないというのは、そういう事情によるのだろうと思う。
(デジカメのメモリーを忘れたため、画像なし。すいませんm(_ _)m)
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■ 高齢者グループリビング「COCO湘南台」
高齢者グループリビング「COCO湘南台」は神奈川県藤沢市にある。JR藤沢駅から小田急線湘南台駅からタクシーで5分ほどの低層住宅地の中にある木造2階建ての建物で、周辺の鉄賃アパートとほとんど区別がつかない。
運営はNPO法人「COCO湘南台」で、1999年に開設。現在、94歳から66歳まで、男性1名、女性9名の計10名が入居し、うち4名が要介護認定を受けている。介護サービスは外部の介護支援センターなどを利用しているが、生活支援として、昼食・夕食と共用部分の清掃をワーカーズ「おりーぶ」に委託し、食事は一緒にしている。
費用は入居時に370万円。月々に、家賃70,000円、食材費30,000円、家政費(ワーカーズ)20,000円、共益費16,000円の合計136,000円を負担。その他、駐車場代10,000円、ペット持ち込み1,000円を徴収している。
各住戸は約25m2で、アトリエ(集会所、一部はNPOの執務スペース)、食堂・リビング、ゲストルーム、大小浴場、洗濯コーナーなどの共用部分があり、全部で484.2m2。もちろん建物内はバリアフリーでホームエレベータもついている。敷地面積は913m2。
元市会議員をしていた西條さん(一緒に居住、コーディネーターを務める)が、周囲の高齢者等に声をかけ、土地を地主さんから20年契約で借り上げ、建設した。この「COCO湘南台」に続いて、2003年に「COCOありま」を建設。さらに現在「COCOたかくら」の参加者を募集中だそうで、この3ヶ所で一区切りにしたいとおっしゃっていた。
高齢者が集まって生活する場としては、非常にアットホームでスムーズに運営がされている。生活サービスもけっして大がかりなものではなく、ワーカーズのボランティア精神もともに、無理のないこじんまりとしたものだが、それで十分と思える。食堂・リビングは天井が高くトップライトになっており気持ちがいい。
「COCOたかくら」で初めて土地をNPOとして購入したようだが、それまでの2団地は地主さんの好意が成立の大きな要因となっている。みんなのささやかだけどやさしい心が寄せ集まってできあがった、素敵な住まい、と言える。 |
  
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■ ライフハウス 友だち村
藤沢から三島まで普通電車に揺られること2時間近く。伊豆箱根鉄道で終点の修善寺まで行き、さらにタクシーで15分。ライフハウス友だち村は、伊豆半島の真ん中、大見川のせせらぎが耳に快い小さな集落の中にあった。
RC造6階建て。環状の建物は、女性建築家を対象にした設計コンペによる鈴木道子さんの設計だ。27.97m2〜142.53m2の全部で42室の居室が1階から6階まで並び、加えて1階に食堂多目的室、サークル室、一時介護室、一般浴室(かけ流しの温泉)等があり、2階には倶楽部ハウス8室(うち5室はシェアハウスタイプ)が並ぶ。
居室は終身利用権方式の分譲で、価格は2000万円前後が中心で、最低は1,354万円から最高は6,597万円まで(2番目に高額なものは3,745万円)。月々の利用料は、一人入居で管理費が52,500円。他に、食費や水光熱費、電話代、介護費用等は自己負担となる。食費は30日昼夕食注文したとして月45,000円。万一、要介護となったときは、一時金は不要で、(株)生活科学運営の運営する他の施設(日暮里コミュニティのシニアハウスなど)へ住み替えが可能だ。
42室のうち、現在38室が入居しているが、このうち夫婦は6組。男性単身者1名で、他の31室は女性の単身者。58〜83歳で平均67歳だそうだ。2002年12月にオープンして、既に15組が退去、うち3名は死亡されたとのこと。また現在要介護は5名。いずれも外部の地元介護サービスを利用している。また住宅内で調理等の仕事をしている方が2名おられるとのこと。
この姫之湯地区は地元の世帯数が42世帯。その地区に42戸の高齢者住宅ができるということで、当初地元の反対もあったが、地元との交流・開放を進める中で、今は地域に受け入れられている。当初は介護施設も町営施設をオープンするということで、施設内に設置することができなかったが、現在はそれらの施設も満杯状態で、来年4月にもデイサービスセンターをオープンさせる方向で調整中だそうだ。
また友だち倶楽部という制度があり、1口100万円で入会した会員は年間60日まで1泊3,150円で利用できる。会費は入居した場合には終身利用権の一時金に充当できることとなっており、6名が切り替えて入居したとのこと。
今回、我々もこのゲストルームに泊めてもらったが、なかなか気持ちがよい。施設全体も快適で、周辺の環境も良いし、サービスにも不満はない。老後を豊かな自然の中で、気の合う仲間とのんびりと暮らしたい、と思う人には文句のない施設ではないか。しかし同行した者からは、こんな都会と隔絶したところで暮らすのはいやだ、という声もあった。入居者の1/3は東京との二重暮らしだそうだが、ここでは生活の質というより、老後の生きがい、生き方はどうあるべきか、が課題となるのかもしれない。 |
  
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■ 全体を振り返って
最後に、友だち村の共用施設「わかった会館」を借りて、今回の見学会参加者で意見交換を行った。わかった会館は木の小屋組があらわな小さな施設で、地下には木工や機織り等の作業室となっている。玄関部の透明な波形屋根が明るい。
各住宅・施設を通して共通するのが、入居者に女性が多く男性が少ないこと。またそれぞれ特徴があるのだが、これが理想、正解というわけではなく、それぞれのライフスタイルに応じて、適した人、適しない住宅がある。
これからの高齢者の住まいとしての普遍的な形をめざすとすれば、地域の中に生活・福祉サービスを提供する仕組みがあり、その中で気のあった仲間といつでも会って楽しめる居住の場をつくることが必要だろうか。そうした環境に一番近いのは「COCO湘南台」のような気がする。地主さんも含めて、こうした住まいがいくつか作り出せる仕組みをつくることが望ましいのではないか。 |
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