作州津山・城東めぐり

(2002.1.12)




 正月もまだ幕の内の1月11日から12日にかけて、岡山県津山市へ行きました。目的は、高齢者向け住宅リフォームの研究交流活動をもう10年以上も続けている、津山福祉住宅研究会へのヒアリングと交流でしたが、併せて作州津山の城東城下を歩いてきました。と言ってもその日は昼には名古屋に帰る必要があったため、朝7時半から1時間、後半はほとんど走っての一回りでしたので、いくつか見落としているかもしれません。
 朝、まだ霧が立ち込める中を、津山城跡・鶴山公園南の森本慶三記念館(旧津山基督教図書館)からスタート。旧出雲街道まで南下していよいよ古い町並み見学、と思いきや、建物は古いものの看板も多く地味。私が知っている津山は景観保存地区に指定して、修景補助も行い、かなり整備されていたはず。それでも所々にいかにも城下町らしい品格のある町家が見られ、なかなかと感じつつ歩いていきました。があったり、しかし駐車場になってしまった区画もあり、人口9万の、中国地方の山あいに佇む地方都市としては、やや寂れ始めているのも仕方がないかと思いつつ・・・。
 ところが、城の東を流れる宮川にかかる大橋を渡ってからが本番でした。出雲街道が大きく鍵の手になるところで、いくつかのきれいに修景された町家が現れます。濃茶の腰壁に漆喰塗りの1階には木格子が嵌められ、2階は格子窓を中央に、左右の袖壁の腰の部分には様々な文様が描かれている。卯建の部分がアールヌーボー調の文様となっているものもあり、実に上品で美しい。しばらく行くと和菓子屋が蔵をホールとして開放している建物もあり、美しい民家が生活の中に根付いている様子が嬉しい。また、2階の屋根瓦の端が2〜3列ほど本瓦葺きとなっているのは雪対策でしょうか。1階の瓦が全て本瓦葺きとなっている民家もありました。
 さらに行くと、あまり手入れされていない軒の低い長屋が続き、時間を40年ほど巻き戻したみたいだなと懐かしい気持ちでいると、そのまま苅田酒造の大きな建物につながっています。苅田酒造は正面は長屋と連続して、低い2階つしの地味な印象で、小さく掲げられた看板と杉玉がなければ危うく見落としてしまいそうでしたが、小路を挟んで隣家と並ぶ妻面の景観が素晴らしい。妻面にあけられた窓の上に庇、さらにその上の小庇。奥の蔵には何段にも小庇が付けられ、その手前にそびえる煉瓦積みの煙突がアクセントになっています。改めて見ると母屋の上には大きな堂楼が上がっていました。
 さらに歩くと、火の見櫓がそびえるきれいな建物が・・・。これが市が公開する作州城東屋敷です。通りに面した町家と小路側にはやや控えて蔵があり、ちょうどポケットパークのようになっているのは、あとから作ったのでしょうか。なかなか雰囲気があります。奥には蔵と奥の屋敷の間に坪庭もしつられてきれいに整備されていました。こんな朝早い時間でなければゆっくり見られたのに。中にはだんじりも展示してあるそうです。
 さらに東へ歩くと、きれいに修景された建物をいくつか見ることができます。いくつかのきれいに整備された民家に並んで箕作阮甫旧宅(外観は意外に小さい)があり、城東むかし町家が公開されている。こちらは大変立派。最後に荒神曲がりの周辺にもきれいな町家が数多く並んで雰囲気を作っています。
箕作阮甫旧宅
 と、概ね町並み保存地区の大方を歩いたところで時計を見ると、朝食時間まであとわずか。さらに先には、赤煉瓦の洋学資料館や、あのB’sの稲葉くんの生家もあるそうだけど、今日はここまでと後ろ髪を引かれる思いで、しかし今度は1本北の裏道を走って帰ってきました。こちらは北の山側にいくつも寺院が並び、小路の奥に見える寺門の姿はなかなか風情があります。最後に入道坂のきつい下り坂を宮川に向かって走り降り、赤い鳥居の千代稲荷神社に向かう橋を渡って、鶴山公園の東側をぐるっと廻って元の場所に戻ってきました。ああ、しんど。でも霧の中に静かな朝を迎える城下町・津山の上品な雰囲気は十分堪能した朝の散歩でした。