春日井・下街道
(春日井〜勝川)

(2007/ 5/19)



勝川大弘法 / 春日井大弘法

 新聞の地方面を見ていて偶然見つけた「下街道ウォークラリー」。春日井駅前の春日井大弘法から勝川駅の勝川大弘法までを歩くもので、毎月第3土曜日に実施している。春日井大弘法で用紙をもらい、中間地点、鳥居松公園付近から歩き始めた。ここから東側までは路面もインターロッキング舗装されているが、これから向かう西側はアスファルト舗装。
 歩き出すとすぐに右側に風情のある塀と植え込み、日本家屋に蔵。さすが古くからの街道とカメラを向けつつ、しばらく歩くとマップに解説のある林寅正邸。明治年間の議員だった林小参の隠居所だったとのこと。屋根は新しいが生け垣が立派だ。さらに足を進めると鳥居病院の裏手。裏門が新しく手を入れられているようだが雰囲気が残る。幕末に鳥居良庵が内津村から出てきた西洋医術による治療を始めたとのこと。
東側景観

林寅正邸 / 鳥居病院
 引き続き歩き続けると、しばらく生け垣の多い住宅地が続くが、次第に空き地が多くなり、プレハブや新建材の住宅が並ぶ普通の住宅地に。大きな道路を渡る際に南側を見ると、王子製紙の大きな煙突が見える。しばらく歩くと、ちょっと魅力的な木造住宅が。でも新しそうだなと表札を見ると、設計事務所の看板。古い街道にはこうした建物が似合う。
おしゃれな木造住宅
 ようよう単調な住宅地を抜けて、少し左折南下した先にあるのが桂林寺。寛文11年(1671年)建立。この街道北側の慈眼寺も同じ頃に建立されており、当時、このあたりは新田開発が真っ盛りだったようだ。広々とした濃尾平野に水田が広がる春日井の原風景は、ちょうどこの頃できてきたもののようだ。

桂林寺 門と本堂 / 庚申堂
 両側に水田や畑が残る真っ直ぐの道をしばらく歩くと、緑が連なる尾張広域緑道を横切る。同じようにスタンプ用紙を持って早足で歩く初老の女性がいたので声をかける。毎月のように歩いているとのこと。全線4.5kmの道のりは、健康のために歩くにはちょうどよい距離かもしれない。再び建て込み始めた住宅地の一角から、北側にSATYの姿が見える。
 道はここで県道内津勝川線(旧国道19号)に戻って、勝川駅前に向かう。途中、北側にこんもりとしたお宮がある。八幡社。これまで何気なく車で通りすぎていたが、初めて境内に入ってみると、本殿自体は大きくないが、由緒ありげな風情。寛文11年(1671年)遷座とあり、柏井荘の総鎮守であったとのこと。保存樹の札が下げられた大きな樹木が何本も聳えていた。県道を渡る歩道橋から行き先を眺めると、場違いな茅葺きの民家が見える。マップに特段の解説もないが、茅もきれいに手入れされており清々しい。
 ようやく勝川駅前に近づいてきた。喫茶店など3箇所ほどを巡り、路地を抜けると、歩行者天国となったにぎやかな通りに出た。勝川大弘法通り。毎月第3土曜日は弘法市が開かれ、道の中央にNPO等が出店するテントが並んでいる。まずは勝川大弘法へ寄って、それから弘法市本部でスタンプを押してもらい、記念の遍路手形をもらう。
 勝川駅前の再開発は、最初の商業ビルや続いて建てられたホテル棟まではどうなることかと思ったが、その後の住宅系再開発は順調に建設が進み、いよいよ完成も間近になりつつある。駅前から見る景観は壮観だ。ペデストリアンデッキの向こうに弘法市のテントが見える。

無料休憩所「かちがわ大弘法茶屋」
 ここからはJR中央線で春日井駅まで移動する。勝川駅ではしばらく前から鉄道高架事業を実施中。上りが仮線に移り、下りは高架上に移っている。いつも通勤で通り過ぎるものの、ホームから南側の住環境整備事業地区をじっくり眺める。7年ほど前に見学で行った時と比較してだいぶ整備が進んでいる。
 勝川から一駅、春日井駅で降りる。駅前ロータリーから斜め右に進むと、春日井大弘法が見える。昭和10年築とはいうもののお化粧され、とってもきれいに彩色されている。駅前中央通りをそのまま直進する。振り返ると見事なまでの現代的空間。だいぶ歩いてようやく下街道にたどりつく。ブラリーモールのおしゃれなサインポールも建つコミュニティ道路になっている。しばらく歩くと四九の市を開催中。5〜6軒がパラソルの下にお花や野菜などを広げており、そこそこ人も張り付いている。

駅前中央通り / 下街道 / 四九の市
 下街道とは、善光寺街道とも呼ばれ、概ね今の国道19号線に沿って中山道につながる街道。中山道が恵那から西へ向かい、鵜沼・犬山方面に向かうのに対して、直接、名古屋方面・南西方向へ向かう脇街道で、本街道である中山道よりも距離も短く難所も少ないことから江戸時代からよく使われてきた。しかし本街道ではないので宿場や本陣はなく、勝川や鳥居松も商店が連なる街道筋の町だった。
 四九の市に面して馬頭観音などを祀った観音堂がある。またしばらく行くと春日井市立郷土資料館。安政3年(1856年)築の離れ座敷で、明治13年には明治天皇巡幸時の休憩所になった。中には下街道沿いの町々の歴史資料などが展示されている。江戸時代の名古屋の俳人、横井也有が「鶉衣」の中で読まれた句を刻んだ句碑も建っている。その向かいの洋館も趣がある。個人宅のようだ。

観音堂 / 春日井市立郷土資料館
 またしばらく行くと、「株式会社清水屋本店」の箱文字が並んだ2階建ての空き店舗がある。今は国道19号沿いの市役所前にある清水屋ショッピングセンターの元々の店舗だ。さらに西進すると立派な間口を持つ木造住宅がある。あいにく工事中だったが、酒・米・肥料などを販売してきた蔦屋だ。伝統的な景観を保存する修景工事であることを祈りたい。

清水屋本店 / 蔦屋 / 下街道ブラリモールを振り返る
 アーケードが続く広小路通りを渡ると常夜灯と小さなお堂がある。お天王さま。さらにその西には古い商家が何棟か残っている。江戸時代からの油屋である油茂商店は表の看板に隠れてきれいに修景された商家と奥には本宅に蔵が並ぶ。屋根に乗ったネコの棟飾りが楽しい。

お天王さま
油茂商店
 途中、電車も使ってぐるっと約2時間。ちょうど気持ちのいい距離だ。下街道はこの両側にも延々と続いている。坂下や内津の町などわが家からもほど近い。またじっくり歩いてみるのも面白い。


(参考) 春日井市・勝川地区【中心市街地すまい研究会】
     春日井・下街道・坂下宿