白壁と蔵屋敷 五個荘

(2007.9.24)



外村宇兵衛邸

 延藤先生のところへ伺った際に、23日に東近江市五個荘でイベントを行うのでぜひ来てくださいとお誘いを受けた。あいにく当日は所用で行けず、翌日足を伸ばした。平成10年に伝建地区に指定されたそうだが知らなかった。カーナビの示すまま車を走らせると、わが家からわずか1時間半ほどで現地に着いた。とりあえずは観光センターへ向かい、車を止めてマップを入手し、金堂地区までテクテク歩く。
 ほどなく寺前・鯉通り。名前のとおり、弘誓寺、浄栄寺が並ぶ通りに沿った水路に、たくさんの鯉が群れている。弘誓寺の土塀の前には、雄壮なお花がディスプレイされており、中では個展が開かれていた。
 その雰囲気を楽しみつつ足を運ぶと、少し道がずれて、外村繁邸が見えてくる。昨日はさぞかし賑わったろうが、今日はその反動か、ほとんど客もいない。そのためか係りの方がとても親切に解説をしてくれる。座敷に上がって眺めるお庭の「むげ」の木には、黄緑色の実を生っている。外村繁は三高出身の小説家。と言われてもあまり覚えがないが、一緒に写真に写る友人たちには、梶井基次郎や井伏鱒二らの姿も。土間の竈や調理道具が並ぶ様もすばらしい。出入り口脇に外村の代表作の一つ「花筏」が終わりかけながら小さな花と実を付けていた。
 外村繁邸と道をはさんで東隣に外村宇兵衛邸。小路の角にあって入り口の見栄えがいい。外壁には舟板が使われ、雄壮な感じ。水路を屋敷内に引き込んだ川戸も見られる。屋敷内では重陽の節句に合わせて、様々な人形を並べた展示を行っていた。奥の蔵の2階床はケヤキの1本物が使われ、小屋組から吊り下げられた物入れは収納に便利で近江地方ではよく使われると解説されていた。またここ外村宇兵衛邸は庭も立派で、北側には取り壊された屋敷の礎石が残されている。
外村繁邸
舟板
川戸
 外村宇兵衛邸脇の小路を北に上がる。お腹が空いた。あきんど通りと名付けられた東西の道を東にしばし歩き「めんめん たなか」で昼食タイム。こちらのお屋敷も築200年の近江商人屋敷だそうで、川戸には水路との間を堰き止め、鯉が飼われていた。食事も美味しかったし子どもも可愛かった。
 しばし休憩後、道を戻って中江準五郎邸へ入る。ここは昭和初期、朝鮮半島や中国で大いに繁盛した三中井百貨店の中江家4兄弟末子の本宅。こちらも立派なもので2階からは西隣の大きなお屋敷も見られ気持ちがいい。少し疲れたので、家族を残して僕だけ車を取りに西へ向かう。この通りにも白壁、蔵造りのお屋敷が並ぶ。おおっ、声を上げつつカメラを向ける。消防団庫も景観に配慮している。
 中江準五郎邸へ車を回して、少し離れた藤井彦四郎邸へ向かう。こちらは「スキー毛糸」などの製造販売を手がけた藤井糸店創業者の本宅。建物は江戸後期の屋敷を購入移築したもので、併設して山荘風ログハウスづくりの洋館を建てている。母屋の座敷では前衛書道作品展が開催されていた。庭が広くて立派。
 最後に近江商人博物館に寄る。文化学習センターの3階に作られた近代的な展示室で映像やジオラマを活用した展示がされている。
 伝建地区はこんなに狭く残っている建物がこんなに少なくてもいいのって感じ。でも小さくても残っているのは一級品だし、落ち着いた雰囲気も好ましい。すっかり疲れたので、最後は少し車を走らせた集落の中にある「ナチュラルキッチン キュラル」でくつろいでから帰る。築百年の民家にテラスを設けるなど現代的に改装し、美味しいケーキとティーを出してくれる。ケーキセット800円は格安。妻はここが一番の収穫と言っていた。そのくらいよかったです。