とこなめ・やきもの散歩道






■ 感動のまちかどフォトギャラリー (2003.5.3)
■ やきもの散歩道心得 おひろめ (2002.10.12)
■ 住宅部会・やきもの散歩道見学 (2001.6.30)
■ 窯屋クラフト/廻船問屋瀧田家 (2000.4.29)
■ はじめて訪ねて (1999.3.13)

■ 感動のまちかどフォトギャラリー (2003.5.3)

 東海地域の4つのやきもの、常滑焼(常滑市)、瀬戸焼(瀬戸市)、万古焼(四日市市)、美濃焼(多治見市・瑞浪市・土岐市・笠原町)の各産地が集まった組織「やきもの産地交流・連携推進協議会」が主催で昨年度「セラミック・フォトフェスタ2002」という写真コンテストが開催された。
 2月にタウンキーピングの会のメンバーが集まった際、この話題と、ちょうどその頃足助町で開催されていた「中馬のおひなさん」の話題がつながって、散歩道内で入賞作品の展示会をやろう、という話になった。
 今までやきもの散歩道で行われたきた散歩道フェスティバルや常滑焼まつりのような一過性のイベントではなく、写真の展示会のような長期間のイベントを行うこと、それも一ヶ所でやるのではなく、散歩道内の各店舗に協力してもらい、地図を持って各店舗を回るような形を取ることで、集客と景観への関心の高揚、そして心得の啓発を図ることができるのではないかと考えた。
 当初は客足が減る6月に、しっとり雨に煙る町並みを歩かせたらどうかという意見もあったが、この数年、GWに開催されていた窯屋クラフト(やきもの散歩道内の窯屋さんが工房を開放して来訪者と交流するもの)が今年は選挙と重なったことなどもあって、秋に開催となったことから、その代替としてGW開催ということに急遽決まったのが3月半ば。それから大急ぎで手分けして、展示協力店舗の依頼、写真パネルの作成、スタンプラリーの準備などを行い、無事4月26日に間に合わせることができた。
 地元中日新聞でも取り上げてもらったが、今年のGWは飛び石連休でかつ前半統一地方選と重なったことから、前半の人出はイマイチだったものの、後半の3連休は連日相当な人出があり、無事好評のうちにこの企画を終えることができた。
 私は3日に家族連れで訪れ、スタンプラリー用紙を片手に全16店舗を回ったが、これらを回ると散歩道のほとんどを歩くことができ、約2時間、十分満喫することができた。と同時に、今回パネルを展示できなかった店舗も多く、改めて散歩道内の活況を実感することとなった。

光きゅうす / 角山陶苑 / 一心窯

代忠窯 / 陶兵八 / 金太郎窯

だんご茶屋 / 義翠窯 / studio COCOLO

ギャラリーほたる子 / 渡辺章製陶所 / 石水窯

ギャラリー茶楽 / ギャラリー十雨 / 常滑屋
 スタンプラリー用紙に書かれた「常滑やきもの散歩道心得」にはところどころ空欄となっており、16店舗にあるスタンプを押すことで「心得」が完成する仕組み。さらにもう1ヶ所それらの文字スタンプを押すと「とこなめまちかどふぉとぎゃらりぃ」という言葉が出来上がり、これを2ヶ所の事務局に届けると記念品(素焼きの植木鉢)がもらえる。うちの娘も次第に完成する「心得」の文章を推理し楽しみつつ町を歩き、妻は各店で陶器の展示や小物を見るといった具合で、家族連れで楽しめたんじゃないかな。
 タウンキーピングの会は、単にイベントをやる会ではないので、今回の成果を生かして、さらにまちづくり協定の普及や散歩道内の建物の維持・保全・活用につなげていくための方策を、引き続き考えていきたい、と思っています。

■ やきもの散歩道心得 おひろめ (2002.10.12)

 この3年ほど、常滑やきもの散歩道のまちづくり協定作成に関わってきました。会の名前は「Toko(タウンキーピング)の会」。常滑沖で建設中の中部国際空港関連の仕事に関わっていた都市計画コンサルタントのN氏を中心に、市役所職員、建築士、商業系コンサルタント、地元の製陶所経営者、ギャラリー・喫茶店経営者等が集まって、1ヶ月に1回程度、やきもの散歩道の活性化や維持保全、まちづくりなどを話し合ってきました。その間、昨年度は、愛知建築士会の地域貢献活動助成を得て、まちづくり協定の検討を進めるとともに、「Tokoの会」自身のNPO法人申請に取り組みました。NPO法人はこの6月に認可を受け正式に活動開始。その最初の仕事が、このまちづくり協定の作成とやきもの散歩道心得のおひろめです。
 まちづくり協定は、商業者、工場・工房、地権者と地域住民がそれぞれの役割を認識しつつ、協力しあい、(1) 建築物とそのまわりのしつらえ、(2) 商工業を営む上でのルール、(3) 期待する来訪者のマナー、の3つの基本的ルールが守られるよう、努めることとしています。一般的なまちづくり協定と違って、商工業者のルールや、来訪者のルールまで対象にしている点が特徴だと思います。この協定を発足させるに当たっては、やきもの散歩道の会の会員が、散歩道内の商工業者や住民をくまなく廻り、理解と協力をお願いしていきました。その過程で、特にお年寄りや来訪者にも一目でわかるものが欲しい、という議論があり作られたのが、「やきもの散歩道心得」です。
 10月12・13日は年1回のやきもの散歩道フェスティバルの日。散歩道の会が中心となり、餅つき大会や登り窯見学会、ハーモニカとオカリナの演奏会などのイベントが行われ、散歩道内の店舗やギャラリーがバザーを繰り広げる中、散歩道まちづくり協定発足式が執り行われました。式典は散歩道の会会長(Tokoの会代表)や来賓の挨拶の後、登り窯広場に据えられた「やきもの散歩道心得」が除幕され、フルートの美しい伴奏の中、心得の全文が読み上げられました。この文章の起草に関わった人間としては、胸に熱いものを感じながら聞き入っていました。もちろん、こうした文章も、いつも心に留め確認していかないと、すぐに忘れ去られてしまうもの。次の行動が大事と考えています。

常滑やきもの散歩道心得


土管、煙突、路地、職人。
  ものつくりの町 常滑の、
   心と風景を、次代につなげるために・・

一 常滑らしい 歴史と文化の薫る 風景を守り、伝えます。
一 ふれあいとぬくもりを大切に、訪れる人をあたたかく迎えます。
一 あいさつと気づかいで、散歩道をゆっくり 楽しみます。
一 住む人、働く人、訪れる人 が、手をたずさえ この町を支えます。
一 食、ひと、モノ の、常滑らしさにこだわり、町の魅力を育みます。


一緒に披露された認定番号23番の丸形ポスト

 夜には、名古屋市立大の瀬口先生を迎えて、まちづくり勉強会も開かれ、散歩道を思う多くの人が熱心にその話を聞き入っていました。先生からのアドバイスは、この散歩道の建物自体はけっしてすばらしい価値があるものとはけっして言えないが、この地の気候や地形と産業が密接に関連してできあがったもので、その点で優れている。しかし、その良さ、その本質を地元住民は知ってはいても言語化して表現されていないのが現状だ。まちづくり協定はこうした住民の持っている本質的な思いの実現化に寄与するものであって欲しい。そのためには、特にこうした地域では、必ずしも建築ルールを部品化し明確にするのでなく、本質に基づいて個々のケースで判断するような仕組みを考えたらいいのではないか。といった内容でした。「行政はたよりにするが、行政任せにはしない」とか「わからないことはヤメヨ」といったわかりやすい言葉も出て、今後への示唆に富んだお話が聞けました。また、同席された日本福祉大の佐々木先生からは、特に心得についてお褒めの言葉をいただきうれしく思いました。
 当日は私も家族を連れ、お披露目式だけでなく、フェスティバル自体を楽しんできました。今日の秋晴れのように、もっともっといい町になるとイイナと心底思います。


常滑やきもの散歩道 まちづくり協定(案)


■目 的

 この協定は、「常滑やきもの散歩道」において、歴史と文化の薫る美しい景観を継承するとともに、この産業景観を生かした地域の活性化と誇りある生活の実現を図るため、商業者、工場・工房が、地域住民、来訪者等と協力し、努めるべき事柄を明らかにすることにより、豊かで実りあるまちづくりを進めることを目的とする。

■まちづくり協定の区域と考え方

(1) この協定で言う「常滑やきもの散歩道」の区域は別添の区域とする。
(2) この協定は、この協定の内容に賛同する商業者、工場・工房により締結するものであるが、主旨に賛同する地権者、地域住民及びその他の関係者との締結を含むものである。
  • 商業者とは、「常滑やきもの散歩道」内で商業店舗(小売り・卸売り・ギャラリー、事務所等)を営み、また働く者をいう。
  • 工場・工房とは、「常滑やきもの散歩道」内で工場を経営し、勤労し、又は陶芸等の工房において制作活動を行う者をいう。
  • 地権者とは、「常滑やきもの散歩道」内で土地・建物等不動産の所有権、賃貸借権、地上権等を有する者をいう。
  • 地域住民とは、「常滑やきもの散歩道」内及びその周辺に居住する者をいう。
  • その他の関係者とは、上記以外で「常滑やきもの散歩道」に関心を持つ来訪者、支援者、営業者(不動産業者・商品納入業者等)及び行政等をいう。
(3) この協定は、紳士協定的な性格のものであり、法的な根拠を持つものではないが、関係者(協定締結者以外の者も含む)はその主旨を踏まえ、誠実に対応することを期待するものである。

■まちづくりにおける商業者及び工場・工房の役割

 「常滑やきもの散歩道」の豊かで魅力的な環境が住民の暮らしとともにあることを認識し、生活と文化を結ぶ役割を積極的に果たしていく。来訪者に対して、共に「常滑やきもの散歩道」を育てる仲間であるという認識の下、持てなしの心を持ち、「常滑やきもの散歩道」を愛する心を伝えていく。

■期待する関係者との協力関係

  • 地域住民は、商業者及び工場・工房、来訪者に対して、共に「常滑やきもの散歩道」を愛する仲間として理解、協力し、まちづくりの主体としての役割を期待する。
  • 地権者は、この豊かな環境が後世に渡って継承され、いつまでも美しい景観が保たれるよう、社会的な役割を担う主体として役割を期待する。
  • 来訪者、支援者、営業者等の関係者は、まちづくりの主体が地域の商業者、工場・工房、住民、地権者等にあることを認識し、手前勝手な理想の押しつけや不道徳な行動を慎み、まちづくりに協力をする。
  • 行政には、この協定の趣旨を理解し、必要な措置と支援を講ずることを期待する。
  • 協定締結者は、上記の各関係者にそれぞれの役割を適切に果たしてもらうよう、その啓発に努める。

■常滑やきもの散歩道における基本的なルール

 この協定の目的を実現するため、次の基本的なルールを尊重し、これを守るものとする。なお、より具体的・詳細なガイドラインについては別途検討の上、これを定める。

(1) 建築物とそのまわりのしつらえ
 常滑やきもの散歩道を特徴づける重要な景観要素である、道路、建物、境界、広告物は、現在の歴史と文化の薫る美しい景観を継承し得るよう、以下の基本的な考え方に沿って、その維持・保全に努める。なお、改修・修繕や新築・増築等を行う場合は、別添のガイドラインを参考にする。
    【道路のしつらえ】(舗装、マンホール、擁壁・手すり)
    • 現状を維持する。
    【建物のしつらえ】(壁面の位置、高さ、外壁の材料、屋根の形式、屋根の材料)
    • 散歩道の歴史と文化を尊重し、周辺環境と調和したものとする。
    • 風土を理解し、周辺建物を尊重したものとする。
    • 防災に配慮したまちなみ形成に努める。
    • 特に散歩道に面する外壁・屋根については、適切な維持管理の仕組み(つくろいのガイドライン)に沿って、外観の調和の保全に努める。
    【境界のしつらえ】(門扉・塀、関守石、外構照明、アプローチ)
    • 散歩道及び周辺環境との調和を図り、潤いを増幅させるものとする。
    • 居住者や来訪者をもてなす気持ちを表すものとする。
    • 散歩道の輪郭を形成する意識をもてるものとする。
    • 常滑のやきもの素材の使用に努める。
    【広告物のしつらえ】(ルート標識、看板、自販機)
    • 上記【境界のしつらえ】として有効なものを除き、広告物は原則として禁止とする。
(2) 商工業を営む上でのルール
 商工業は、地区のコミュニティ形成、文化的な環境形成にとって、重要な役割を担う存在として、「ふれ合い、ぬくもり、こだわり」を大切にした姿勢が必要である。また、住民との共存関係こそが、この街の魅力であることを認識し、良識ある行動が求められる。
 このため、以下の事項を遵守し、住民とともに誇りある街づくりに努める。
  • 地域の行事、地域活動、治安活動に積極的な役割を果たす。
  • 地元の食材、常滑焼きの利用に工夫を凝らし、地元雇用を積極的に行う。
  • ものづくりの場も積極的に開放して、地域交流の場としていく。
  • 手づくり、芸術、本物にこだわり、日々精進を重ねる。
  • 客引き、過度な広告、派手な装飾は慎み、ぬくもりあるもてなしを提供する。
  • 既存の建物を超えるような大きなスケール、高い建物は持ち込まない。
  • 営業時間、騒音対策は周辺住民への影響を考慮する。10時以降の営業は原則行わない。
  • 来訪者へのマナー徹底を図り、良識ある行動を促す。
(3) 期待する来訪者のマナー
 「常滑やきもの散歩道」は、つくられた観光地ではなく、実際に生産が行われ、生活の場がある「生きた街」である。この生きた街のなかでは、来訪者も、少なからず約束ごとが存在する。この生きた街の魅力を来訪者とともに守っていくために、以下のマナーをお願いするものである。
  • 散歩道は、心豊かに、ゆっくり楽しむ。
  • 狭い散歩道ですれ違う際には、会釈で挨拶を交わし、道を譲り合う。
  • 屋外での食事は、周りを気遣い節度を重んじる。持ってきたゴミは持ち帰る。
  • 生活の場である家屋内に向けての写真撮影や覗き見は絶対にしない。
  • 戸外での大人数の会話、夜間飲食店から帰る際の談笑は慎む。
  • 高齢者・身体障害者を助け、子供のいたずらをたしなめる。

■その他

(1) 時代や社会経済情勢が変化していく中で、「常滑やきもの散歩道」の美しさと暮らしやすさがいつまでも継続されるよう、この協定の効果と内容も不断に評価し見直しを行っていくものとする。このため、少なくとも年1回は内容の変更について検討し、必要に応じ変更を行う。
(2) この協定の事務は「やきもの散歩道の会」が務める。
(3) この協定の効果を一層高め、目的の実現に資するため、空工場や空家を活用した商業店舗・ギャラリー・工房の開設や地域に溶け込んだ新規施設の整備、建築物や広告物等の修景等を積極的に推進・支援するとともに、この協定の啓発・周知に努める。
(4) この協定は、関係者の賛同を持って成立し、変更の場合も同様とする。

■ 窯屋クラフト/廻船問屋瀧田家 (2000/4/29)

 昨年訪れたとき建設中だった、廻船問屋瀧田家が4月21日に完成オープンしたという話を聞き、さっそく駆け付けた。GW始まりの29日30日は、同時に窯屋クラフトと題して、常滑の窯屋さんたちが店を出すと言う。やきもの散歩道に面する窯屋も趣向を凝らした展示即売をするというので楽しみにして。
 ちょうどお昼時だったので、まずは東側道路沿いの常滑屋を始めとする工場を活用した店舗群を訪ねた。常滑屋さんはあいにく満席で、隣の「風」で食事。最初からのんびりしすぎ。ここにはこうした喫茶店兼ギャラリーや雑貨屋を始め、家具工房、パン屋など、黒く塗り直した建物の中にいくつかの店舗が並び、かなり賑わっていた。復元した窯の脇でパンを囓る人たち。
 僕もパンを囓りながら、近くの「窯や」さんへ。かつての窯の中に様々な常滑焼の茶器や食器、小物などを並べたディスプレイは、窯の天井や壁面がキラキラ輝いてとてもきれい。さっそく感動しつつ、いよいよやきもの散歩道へ歩を進める。昨年にはなかったギャラリーなどもオープンされており、また工場の店先にも作品が並べられ、人の往来も激しい。「もっとまけてよ」なんて声も飛ぶけど、せともの祭りとは違って、ずっと落ち着いた雰囲気で売り手も素人っぽい。登窯広場もちょうど5周年記念イベント中で、無料陶芸教室に家族で参加して1時間以上も時間をつぶしてしまった。
 時計を気にしつつ、一番のお目当ての「廻船問屋瀧田家」へ。しっくいの白壁がまぶしい主屋は、修復中に訪れたよりはずっとこじんまりした感じがした。といっても土間から左側に10畳ほどの和室が4室×2も。奥の床の間まで見通すとさすがに広さとともに美しさを感じる。土蔵を見学した後、裏手には離れ、そして西側は1階分下がって、休憩所が設けてあります。お茶をいただきつつ、また一服。
 また小さな窯屋さん、アトリエなどを寄りながら、ぐるっと一回り。前にはなかった、古い工場を長屋にして、若者たちがアトリエや喫茶店などに利用している建物などもできていて、いつまでも尽きない人出を見つつ、やきもの散歩道も少しづつ変わってきつつあるかなと思う。実はこのところ、やきもの散歩道の活性化を願う人たちと一緒に、まちづくり活動を始めている。今回回って、なるほど変化が出てきているし、人材も多くいることがわかった。これらの人たちがうまくつながって、新しい動きが生まれるといいな。

■ はじめて訪ねて (1999.3.13)

 知多半島の西側、伊勢湾に面する人口約5万人の街、常滑市は、日本六古窯の一つ、常滑焼の産地であり、独特の色合いの朱泥急須を代表とする茶器、食器を始め、伝統工芸士や創作作家も数多く、愛知県内では瀬戸と並ぶ焼き物の街として、今も栄えています。また、名鉄常滑線の終点、常滑駅からほど近いところに、焼き物工房などが密集し、やきもの散歩道として回遊路も整備されています。地元の近いところに住み、また何度も近くを通り過ぎながら、今回、尾張大野元気村の見学の帰りに、初めて、この「やきもの散歩道」を歩いてきました。
 陶磁器会館駐車場に車を止め、タウンマップを片手にアーチ状の一木橋を渡り、まずは菜の花の咲く中、煙突の林立する常滑独特の景観を堪能しました。ふと下を見ると、斜面には土管でつくった擁壁。瀬戸の「窯垣の小径」同様、さすが焼き物の街は、こうした生産過程で出来てきた不良品や余り物などをうまく使っている。ちょうど通りかかった自転車を引いたおじいさんが、「常滑には石が出ない。よそから買うより経済的だったから。」と親しげに話しかけてきた。小高い丘に、狭い路が曲がりくねり、上り下りする。「おじいさん、坂道が多くて大変ですね。」と返事をすると「かえって健康になれる。」と元気な声。こんな触れ合いが楽しい。
 ところで、この散歩道の中程で、常滑市が「(仮称)海の家 焼き物の道 生活・文化交流館」の整備を進めています。この施設、でんでん山という小高い山の横に残っていた、幕末期の廻船問屋を復元し、生活文化を核とした交流拠点として整備しているもので、私達が行ったときには、母屋と離れ座敷が解体作業中、土蔵が復元工事中で、古材や古瓦などが整理され保管されていました。山沿いの斜面に立地するため、約100坪という母屋の海側半分は地階倉庫となっており、当時の栄華が思い起こされる。ちなみにこの建物、平成12年3月が竣工予定とのことで、完成が待たれます。
 ちょうどのその向かい側にある小径が、有名な土管坂。やきもの散歩道のここかしこに土管の擁壁は見られるものの、切り立った狭く急な坂道の両側にびっしりと土管が埋められ、足下も土管や瓦の破材で造られているのは圧巻。もっともこの道を登ると突然のんびりとした畑に出て、結局戻ってくるのですがね。
 さらに自作の作品を並べ即売する工房などが続く曲がりくねった道を進むと、登窯広場に出ます。ベンチやトイレがあるやや開けた広場は、散歩道のかっこうの休憩地点。一隅には水琴窟もあり、水を流すと軽やかな音を響かせていました。またその横には展示工房館と登窯があり、特に登窯は地形に沿って100mはあろうかという長大な施設で、その大きさに圧倒されます。
 しばらく休憩を取った後(今回は子供連れ、こういう施設は助かります)、また工房が連なる小径を歩き、先ほどは遠くから見た煙突が数本、近くでそびえるのを見ながら一山越すと、家具工房やガラス工房なども並ぶ少し開けた工房群にたどりつきました。女性陣がさっそく買い物・物色に廻る中、子供共々男性陣は喫茶店でダウン。歩いた距離は1.5kmとわずかながら、今まで一度も来なかったことを悔いるほどの、楽しい道歩き。今度はINAXの窯のある広場資料館や世界のタイル博物館のあるBコースもチャレンジしようかなと思います。