豊橋市
二川・大岩まちづくり
(2005.3.1)
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建築アルバム
東駒屋横路地
豊橋市二川地区で開催された、
「住まい・まちづくり協働戦略地域会議 −地域づくりと住環境 防災・バリアフリー−」
に参加した。豊橋駅で乗り換えてさらに東へ一駅、16時に
JR東海道本線二川駅
に集合。駅から南へ500mほど歩いたところにある
豊橋市総合動植物園「のんほいぱーく」
までの間を、人にやさしい街づくりモデル地区整備事業(県費補助)により整備したというので往復する。駅舎に設置されたエレベータ整備に対して補助が出ている。駅南の広場には、のんほいぱーく内でもテーマの一つになっている恐竜のオブジェが飾られている。街路事業により新規に開設した道路には様々な動物のオブジェが飾られている。歩道途中のベンチは、住民参加のまちづくり計画策定作業の成果として設置されたもの。国道1号線を跨ぐ歩道橋にはエレベータとスロープが設置されている。のんほいぱーくは市としても力を入れて整備している施設だけにアクセス道路の整備もお金をかけている。
二川駅南広場 / 歩道途中のベンチ / 国道1号線を跨ぐ歩道橋とのんほいぱーく
駅まで戻って、自由通路を越えて駅北へ。北側にそびえる弓張山地(たいまつ山)の山容が街全体をやさしく包む。だが、山に向かった景観はけっして美しくない。駅正面のアイストップには広告と擁壁が見える。駅前の旧東海道を東進。道は両側歩道があり広い。古い建物を利用した居酒屋もあるが、概して景観に対する意識は見られない。北側の地方主要道豊橋湖西線に抜ける
路地
を歩く。狭い道。コンクリート擁壁。今日の一つ目のポイント、ファミリーマート。コンビニで夕食用の弁当を買うこと。だが、道路にひっきりなしに車が通り、渡れない。信号は少し遠い。道路沿いには、コンビニの他にホームセンターなどの広い駐車場を備えた店舗が多い。山がたおやかだが、誰も気にもかけていない。
JR二川駅 / 駅北の景観
駅前通り / 古い建物を利用した居酒屋
路地 / 地方主要道豊橋湖西線
無事弁当を購入後、今度は駐車場となった空き地を抜けて、県道と旧東海道の間を走る幅員3〜4mほどの道を歩く。
空き地や駐車場
が目立つ。途中で再び路地を抜けて
旧東海道
に戻る。駅前では広かった旧道もこの辺りでは幅員5〜6mほどになる。が、自動車がひっきりなしに通る。余裕を持ったすれ違いができないし、我々が歩いていることもあって、そこかしこで渋滞が発生している。古い平入りの町家も少しはあるが、現代的にお化粧した商店や一戸建て住宅が並ぶ。敷地は典型的なウナギの寝床で、間口6mほどに奥行きは80m近くもある。背割りとしても当然、旗竿敷地状態になる。旗竿状の路地が見られて景観的に不揃い。途中、
伏見稲荷への参道
があって面白い。
空き地・駐車場 / 伏見稲荷への参道 / 旧東海道沿いの景観
大岩神明宮に続く交差点に、新築されて間もない
消防団詰所
がある。まちづくり協議会の活動の成果として、トイレと休憩所が併設され、シャッターに描かれた絵がきれい。ちなみに描いたのは町内の方らしい。旧道・町並みに並行して走るJR東海道本線をくぐるガードが、つい最近拡幅された。10年越の活動の成果として喜んでいたが、「街の整備には時間がかかる」という協議会幹事長の言葉はこれを指している。
消防団詰所 / 旧東海道町並み
途中、元製糸工場跡を開発したカラフルな戸建て住宅団地が見られる。そして
二川宿本陣資料館
。あいにく改修中で内部は見られないが、ずいぶん前から市が整備して公開している。その東隣の町家、
清明屋
も市が買い取り改修中とのこと。公開が待ち遠しい。向かい側の大きな町家が
西駒屋
。しばらく歩くと
紅林醤油
。そして
東駒屋
。いずれも醤油醸造を生業としていた。今はいずれも廃業し、唯一紅林醤油だけが販売を続けている。
二川宿本陣資料館
各家に屋号の看板 / 狭く曲がりくねった旧東海道 / JR線ガード / 道脇の祠
東駒屋の西の路地はフォトポイント。続く黒板壁と奥の土蔵の白壁が美しい。塀の向こうに廃屋状態の木造工場が見える。この辺りまで来ると相当に疲れて(前日の深酒が祟って)、集団の最後尾をひたすらついていく。
紅林醤油や西駒屋の工場を裏
から眺める。突き当たりを右折して
二川小学校
に出る。左に地区の
老人福祉センター
、大岩寺、右に
二川校区市民館
。そしてようやく今日の夜の目的地、
二川地区市民館
へ。校区市民館と地区市民館が近接してあるのが興味深い。豊橋市の豊かさが垣間見られる。
東駒屋 / 紅林醤油工場裏
二川地区老人福祉センター / 二川小学校
校区市民館 / 地区市民館
第2部の地域会議は、しばらく休憩、腹ごなし後、6時から。
まず、NPO法人東三河ハートネットの柳原氏から「人街WSからまちづくり協議会発足まで」と題して、この地区のまちづくり活動の始まりまでの経緯の報告。H9年度の豊橋市人にやさしい街づくり計画の策定、同じ年にこれまで名古屋で行われてきた人にやさしい街づくり連続講座の東三河地域開催を誘致。講座受講者の「人にやさしい街づくりアドバイザー」への登録と東三河地区のアドバイザー連絡組織の設置がNPO法人東三河ハートネットの設立につながる。
続いて、二川・大岩まちづくり協議会幹事長の後藤氏から、「防災まちづくりと協議会の活動」について。H10年度から始められたモデル地区としての二川・大岩地区人にやさしい街づくりモデル地区計画の策定にあたり住民参加が求められたことが始まりだが、最初の2年間は総代会(自治会の役員会)が受け皿になり、役員だけが顔を見合わせる状態が続いた。助役がまち歩きに参加して、行政のやる気を見せたことが住民のモチベーションを上げ、WS手法による計画づくりが住民の垣根を下げ、参加が増えていったと回想する。「総代会にまかせておいたら何をされるかわからない」と思い参加した、という女性会員の発言が面白い。「町のことをもっと知りたいと思って参加した。」「WSでこんなことを言ってもいいんだ。同じことを思っている人もいるんだ。という思いが段々とまちづくりにのめり込んでいった。」と言われる方。「消防団詰所の絵を推薦したのは私と言える参加意識がうれしい」とも。
二川・大岩地区人にやさしい街づくりモデル地区計画はH13年度末に完成。H14年8月に二川・大岩まちづくり協議会を発足。H15には豊橋技術科学大学の大貝研究室が入って「防災まちづくり」をテーマにワークショップの開催。同じくH15年度に、ハウジング&コミュニティ財団の補助を得て、密集市街地整備調査を実施し、
防災まちづくりマップ
を作成、各戸配布。そして今年度は都市再生モデル調査地区に採択され、住民意識調査やワークショップを開催。大貝先生開発の防災まちづくりシミュレーションシステムを活用した災害危険度評価なども実施していく予定だ。
人口は約3,500人、うち会員は約60人。まちづくり部会、活性化事業部会、ボランティア部会に分かれ、それぞれ消防団詰所の改修や景観条例の研究、二川・大岩寄り道マップの作成や広重53次版画の町並み展示、里山散歩道の整備・清掃や岩屋緑地での見学会、ふたがわ発掘クラブの発行、炭焼き「炭の仲間かまぞく」の活動など、活動は非常に多彩だ。
3番目には、豊橋市都市計画課の伴氏から、「都市再生モデル調査と今後の展開」と題して、より詳細な市の取り組み状況の報告。豊橋市ではH15年度に地震時総合危険度調査を実施した結果、要整備地区51地区、重点整備地区4地区、延焼危険地区8地区を公表。H16に延焼危険地区のモデル調査として都市再生モデル調査を活用して二川・大岩地区で調査をしている。
4番目は、豊橋技術科学大学の大貝教授から、「大学、行政、NPO等との連携・協働について」。H9年度に豊橋市の人にやさしい街づくり推進協議会の会長を依頼され、二川・大岩地区のモデル地区整備計画づくりに関わったことが始まり。「防災」をテーマにすると研究費が取得できるということもあって、様々な取り組みを実施しているとのこと。また、全国の大学のまちづくり支援状況の調査報告があった。
そして最後に、意見交換会。「全市平等は却って無駄遣いにつながる。」といった意見。「住民にとっては、バリアフリーや景観よりも、防災の方が身近・切実なんだなあ」というのが私の感想。せっかくの旧東海道の町並みの整備はもっぱら市の努力に委ねられ、住民は景観に対する配慮もなく、便利で安全・安心な住宅を建設している。仕方ないと思う反面、もったいないとも。まちづくり協議会の活動が継続した先には、景観への意識も生まれてくるのだろうか。せめてそれを期待したい。そのためにも、もっと若い人たちがまちづくり協議会に参加できる仕組みがあるといい。町並みはまた再現することも可能だから。