「My Lost City」

ここでは、1992年リリースされたアルバム「My Lost City」の楽曲解説をしようと思います。
あくまでも個人的な目で見たものなので「へぇ〜。でも自分はこう思うなぁ」と考えてくれると
うれしいです。

〜久石譲「My Lost City」楽曲解説〜
このアルバムも連動の著書として「I am ~遥かなる音楽の道へ~」というものがある
新たな出発という意味なのか・・・もう廃盤されてしまった。(アルバムも著書も)

1920年代は芸術を本当に人間の一部として最も親しめることができた時代だという。
それが「Age of illusion」と呼ばれる時代だ。ところが世界恐慌を過ぎたころから
芸術というものが人間からかけ離れたような存在になってしまったのだ。
つまり、芸術家というのはみんなであったと自分は思う。
またこの作品はスコット・フィッツジェラルドの作品へのオマージュというところなのか・・・
実は久石譲は過去に彼の作品を読んだのだがそのときはあまりしっくりこなかったそうだ。
改めて読んだとき、価値観の違いに気づいて一気にスコット・フィッツジェラルドの世界に入って
このアルバム「My Lost City」を出すきっかけとなったそうだ。My Lost Cityはフィッツジェラルド
の短編小説から。また、冬の夢もそうである。

Prologue (01:23)ue (01:23) MY LOST CITYのプロローグ。
漂流者
~Drifting in the city~
(08:08)
彼が「My Lost City」を読んだとき、まず第一に浮かんだキーワードが「漂流者」であったそうだ。漂流者というと、「Drifters」なのだが、コレではまずいと思い、「Drifting in the city」というサブタイトルにしたそうだ。この曲の主軸である(アルバムの主軸でもある)メロディは十数日悩んだ末に決まったメロディだと本人は言う。都市生活者とは皆漂流者なのではないのか、という作品の意義をこめて作られた。
このアルバムの主軸曲とも言え、このアルバムのテーマともいえる曲だ。
1920~Age of Illusion (05:44)on (05:44) 芸術が本当に庶民に親しまれた時代。アール・デコ(直線や曲線や波線(図形的な)で描かれる絵)などが目覚め始めた時代。Age of illusionと呼ばれた時代だ。非常に雄大な曲となっている。芸術を!という訴えかけるようなメロディとも自分は感じられる。
Solitude~in her... (06:06) 初めは短三度下降の音階のクラシック調なメロディから始まる。
この曲のフレーズは狂気~madness~の所々で使われている。所々で使われている。
Two of Us (04:20) 大林宣彦監督映画「ふたり」より。これのVocal曲「草の想い」はお互いに譲り合ったが結局プロデューサーで奥様の大林恭子さんにじゃあ「ふたり」だし二人でうたったら?ということで、渋い男二人のデュエットが誕生した。実は大林宣彦監督は立派な音楽家なのだ。ピアノも弾けるし作曲もできるのだ。
Jealousy (05:28) またこれも非常にバンドネオンがいい音色を奏でている。夜のバーに流れていそうなナンバーともいえるだろう。ジャズのようなのだが、ジャズのようでない。
Cape Hotel (03:39) 全体的にpで奏でられている。まろやかなところだけどマイナーがやはり織り交ざっている。次の狂気との落差というものが凄い。あえてこの順番にしているのだろう。dolce(ドルチェ)。
狂気~madness~(04:17) この曲は紅の豚で作曲されたわけではなく、このアルバムの曲で宮崎監督はMY LOST CITYの曲はみんな気に入っていたそうだ。そして時代的にもぴったりなので本当はすべて使いたいぐらいの気持ちだったらしい。まあそれでは意味がないので、狂気~飛翔~という名前でそのままで紅の豚で使われた。
冬の夢
(06:05)
これはスコット・フィッツジェラルドの「冬の夢」のイメージナンバーというところか。おくりびとのような穏やかなメロディにマイナー超な暗い部分が織り交ざったような感じ。
Tango X.T.C. (04:17) 大林宣彦監督映画「はるかノスタルジー」より
ブエノスアイレスの少しはずれで生まれた音楽「タンゴ」。彼はこの極に掛ける思いが凄く強いのだろう。というより芸術家なら当然こだわるべき点だ。アコーディオンの音では駄目だ。ということだ。バンドネオンと呼ばれる楽器ではくては駄目だ。あのボタンで奏でられる音はアコーディオンとまったく違う。その気持ちは自分も痛感するほどわかる。というよりコレに限らない。こだわりというものは、絶対にものづくりには欠かせないに決まっている。
My Losy City (03:03) 最初のメロディは漂流者のメインフレーズから同じメロディだがストリングスを初めから織り交ぜており非常にスーッと突き抜けるような感じだ。後半は一番最初の曲「Prologue」の和音が来て静かに終わる。

※あまりメロディには同じという言葉は使いたくないというのが自分の本心。それぞれの曲の顔はたとえメロディが同じだとしても、顔は違うと思う。

 

ピックアップ(My Lost City)

一部は著書「I am~遙かなる音楽の道へ~」に書かれた制作秘話を参考にして書いてファンに引き寄せられるような内容で書いたつもりだ。