解説・ペド生物学概論

藤野竜樹


  こんにちは。加藤のヤヌス片割れ、藤野です。雨ばかりで体調崩しているのにまたしても解説を担当することになりました。相変わらずわかんないギャグをどこまで追えるかわかりませんが、とにかくやってみましょう。ちなみに今回の報酬は144分の1チャムファウのフィギュアです、って小さっ!!(2mm?)

・零章 はじめに
 いつものようにオタク事情から始めているが、TV発信の萌えがなくなったという宣言からは加藤のあがきが伝わってくる。が、今回のようなネットネタへの移動はある程度時代の要請であろう。
 うたラジ。これを書いてる7月上旬に終わった。やっぱりというか、結婚はしなかった。ちなみに加藤の夢を一蹴したのは僕だ。
 アイマス。ニコ動の有料化をものともしない盛況ぶりで、ネタの腐敗をもっとも畏れる本書にとっては頼もしい限り。
 作画崩壊。4月アニメの三巨頭はかりんエマなのはってとこか。でもなのはなんかキャラデザインからして崩れてるから、ひょっとしてそこまで再現しているんだろうかと邪推してしまう。
 統合少女体。これまた小難しいことを書いてきた。我々の萌える二次元少女はアニメや絵だけど、それを見て「○○ちゃんの○○が萌える。」という思いも全てひっくるめて一つの存在を仮定しようとしているらしい。もの凄く譬えが難しいが、“日本語”というのはどうだろう。本やテレビにある見える文字、記録された音だけが日本語ではなく、総体の日本語とは我々の話す会話、考える思念もひっくるめたもので、全体が一つになって日本語を形作っている、と考えるのだ。更に、日本語は生きている。100年前の日本語を読んでも違和感があるのはそのためだ、って考えも広げられる。この例と置き換えると、こうした捉え方に似た全体性を統合少女体という言葉で表現したいのか、と類推できるんじゃなかろうか。
 

・一章 萌伝子
 唐突に999のネタだよ。忙しいのに懐かしの劇場版を見て影響されたようだ。が、修道院にいたのは遺伝子の概念を思いついたメンデルだ。彼は長期間のエンドウマメ生育実験で形質が保存されること、優性の形質が子供に出ることを突き止めた。彼の偉いところは結果を数量的に評価して、万人になるほどと納得させる科学的手法を先駆けていたことだが、それはそもそも当時の風潮からかけ離れたものだ。だから、どうしてそうした方法論→仮説を思いついたのか。結果が歴史に与えた影響が計り知れないだけに知りたいところだ。
 遺伝子が仮説として提唱されても、じゃあどれがそうなの?って特定は難しかったが、エイブリー肺炎双球菌のS型菌の性質がR型菌に移植されることから、遺伝子がDNAにあることを突き止めている。当時はタンパク質に遺伝子があるって仮説が主流だったから、氏の発表は叩かれまくったらしいが、歴史は最後に彼に勝ちを導いたことになる。(関係ないが、本によってはアベリーと書いてあるので、最初別人かと思った。)
 DNAは核酸の一種だ。(?たん”は電子が抜かれた状態、つまり酸化反応を揶揄している。してみると、むねぺったんは胸電子をとってしまった結果なのか。)次の研究標的はなんでDNAが遺伝子なのかってことに移ったが、この時点での評価ツールは化学的なものだったから、定量的実験で判断できる分子の量しか判んなかったんだね。A(アデニン)、T(チミン)、G(グアニン)、C(シトシン)の各ヌクレオチドがA=T、G=Cの存在比を取っていることをシャルガフが法則化しても、何故そうなるのかはわからなかった。で、その辺にわだかまっていた謎を一気に解決したのがワトソンクリック二重らせんモデルだったわけだ。確かに凄い発見だったんだけど、やっと使えるようになってきたX線解析でロザリンド・フランクリンが懸命に写した立体構造写真を見たってところが疑惑っぽくて科学エピソードの中では面白いところ。ワトソンは自著でちらっとだけ見たって言ってるし、ティンと来たのは俺が考えていたせいだって言ってる。しかし、X線解析像ってのは近いところが一番でかく、遠いところは小さくって具合に歪められた像になる(低い天井の裸電球に当たった時の、自分の影はこんな感じになる)から、パッと見で元の像の想像なんてできない。X線解析に多少なりとも造詣が深かったのはクリックなので、実際に判断したのは別の場所、それもクリックだろうと言われている。
 エコールってのは加藤もびっくりの真性ペド監督が作ったロリ映画だ。閉鎖空間物として結構良く出来ていたので意外だったのだが、それを話したら品性を疑われてしまった
 DNAの構造については有名なので割愛する。ただ、DNA部品の繋ぎ方に方向性があるってのは意外に知られていないんじゃなかろうか。プル結合のネタ元、燐酸のつなぎ方に方向性があるためだ。図1-5がさかさまになっているのはそういう意味である。ヌクレオチドの部品であるCは順に番号を振られているが、他のCとの結合は5番目でまず行い、次の人と3番目のCでつながっていく。だからこの数珠繋ぎは「5末端から始まり、3末端で終わる。」ことになる。
 

・二章 発生
 ペドシリーズは一見変質的内容と捉えられガチだが、ホントにそう...じゃなくて、実は18禁的内容にはかなり気を使って避けている。一般性がなくなるのと、そもそも粋じゃないからと言っているが、真性の変質者になることに抵抗があるからだと私はにらんでいる。まぁそれだから、発生というテーマで正面から受精を扱うときにはかなり悩んだようだ。ロリ少女と受精ってキーワードはどうすればエロチックにならないか。それこそエコール問題だ。
 受精の際に精子の遺伝子と卵子の遺伝子が混じるから多様性があるというのは確かだが、実はそれ以前、減数分裂という、2n本のDNAを持つ1精(卵)細胞が2回分裂してn本のDNAを持つ4精(卵)細胞になるとき、爺さん由来のDNAと婆さん由来のDNAが混交することで、4細胞とも種類の違うn本DNAを持つようになっており、これで多様性はほぼ無限となる。ちなみに2nってのは生物共通でもなんでもなくて、植物には3n分のDNAを持ってる種もある(タンポポとか)。だがその場合受精はできない。(単性で増える。)
 受精した卵は一気に分裂を始める。2回くらいの分裂まではそのまま分割しても双生児になるが、それは栄養を外から供給できる胎盤性生物だけで、栄養を卵の中だけで自給自足しなければならない他の生物では難しい。
 これ以降の話は分裂毎に細胞が多く、小さくなって胚になり、原腸陥入して、外胚葉(皮膚・神経など)、中胚葉(陥入部、筋肉・骨)、内胚葉(消化管・肝臓)に分化してゆく。で、こういう経過で、どのようにして各細胞がユニークを発揮して行くのかという話になる。ここに、前後、上下、などの体軸(極性)決定はビコイドナノスって物質が知られている(ナノーはアイマスの一キャラの口癖)が、こうした構造を誘導する因子(オーガナイザー)をアクチビンと呼ぶ。アンテナビンの元ネタだ。アクチビンは分化前の細胞に適度に与えることでいろいろな種類の細胞に成長させることができるのだが、ということは、こうした初期細胞以外で分化前細胞を見つけて単離し、アクチビンで培養できれば移植臓器問題は解決できることになる。こうした細胞が胚性幹細胞ES細胞だ。タッチペンでおっぱいを揺らすのも画期的だが、成功したらそれこそノーベル賞ものなのだ。(韓国の教授が実験結果を捏造した、あれだ。)先駆けて特化した細胞が隣接する細胞の成長運命を次々と決定することも知られており、原口背唇部の研究が有名だ。原口背唇部の移植によっては頭が二つできるんだから恐ろしい。
 誘導物質は親から事前に与えられていることが多いが、ある程度成長したら自前の遺伝子を発現させて形状を完成させる。この時に発現する遺伝子はある程度グループ化されており、これがホメオボックスである。このグループはかなり遠い生物種でも共通化されており、進化的に早期に完成したことが判明されるわけだ。エルンスト・ヘッケルが「個体発生は系統発生を繰り返す。」てなことを言ってるが、これはこうしたことの表れでもあるわけだ。ひとひらのヒロイン麻井麦とデューク東郷のデザイン開始が同じなのはびっくりだが。
 

・三章 美少女の構成属性
 生物の体を構成するのがタンパク質脂質核酸であることを示し、中でも生体のほとんどを構成しているタンパク質を取り上げている。
 タンパク質は炭素を中心にしてアミノ基(CH3-)とカルボキシル基(COOH-)、及び側鎖(と水素)が繋がっている。アミノ基とカルボキシル基は脱水してCONHのペプチド結合をとり、これが直線的に繋がった鎖がタンパクの基本構造だ。側鎖には20種類あり、これがアミノ酸の20種の元というわけだ。側鎖は極性の有無によって疎水性に親水性が別れるが、疎水の場合、自分の周りをタンパクで囲むように変化するなど、できあがり形状が立体を構成する原因の一つになる。本文では疎水親水を世間さまとの関係構築に喩えているが、たしかに歳を食うほどオタク趣味は難しくなる。タンパク質の構造はそもそも、らせんを巻くαヘリックス、平面状に並ぶβシートで二次構造、側鎖中のシステインのS同士がジスルフィド結合を形成する、または上記疎水側差が影響する三次構造がある。昔ツクダオリジナルにマジックスネークっていう立体パズルがあったが、トポロジー的にはまさにあんな感じだ。更に二本以上のタンパク質が合体する四次構造がある。単体・単純で存在するタンパク質はむしろ少ない。
 タンパク質は大きく分けて構造となるもの、体を構成するケラチン、アクチン、コラーゲンなどと、専門機能を持つもの運搬、ホルモン、免疫などを専門にするものがあるが、一番重要なのが生体反応を活性化する触媒酵素の機能だ。酵素は反応物ABの一部と同じ形を作ってはめ込めるようになっており、はまったらABには局部的に力がかかるからAとBに分かれるという反応がおきやすくなる。触媒だから自分からエネルギーを作るわけではないが、食べ物の消化、分解には欠かせない物質だ。また酵素は一反応物に対してしか反応しないのも特徴だ。これは生体内で必要な物質を必要量だけ分解するというときに制御しやすいという利点がある。また、制御を容易にする手段としては、酵素の活性部位にも一つ部品がくっつかないと触媒にならない、ってモノもある。も一つ部品にあたるのが補酵素NADだ。また、酵素のお尻にくっつくと反対側の口が少し閉じて漸く正しい活性部位となるなんてものもある。こういうのをアロステリック酵素といい、お尻の部分をアロステリック部位という。
 最後に出てきたアニメイト向けの数式はこうした触媒反応を表現したもので、ミカエリス・メンテンの式という。医学部の一年目に必ず学ぶ式らしいが、それはこの式が体内で薬がどういう風に反応するかを計算するために必要だからだ。
 

四章 美少女の成長
 自己増殖に関する章。DNAの自己複製から細胞分裂までを扱っている。DNAが二重らせんであり、AとT、GとCが相補的だから、一本になってもお互いを複製できる。てなところまでは科学番組でも結構やってるので有名だけど、じゃあどこから複製が始まるの? ってのは案外知られてないんじゃなかろうか。僕もジッパーみたいに端からY状に解けると思っていたんだけど、始まる場所は途中、場合によっては何箇所もある。本文ではこの“途中”ってことを番組を途中から見ることに引っ掛けているわけだ。転写方向が5→3の方向にあるとは前項で言ってるけど、このため分岐した二本鎖も繋がる部品は両者均等ではなく、分離後に部品が3→5の順で露呈する側は、繋がる側としてみると5→3で結合を進めることができるから早くできる。リーディング鎖ってのはそこから来てる。一方反対側は、露呈するのが5→3の順だから、たとえば10個分露呈したら、今開いたところに素早くひとつくっつき、それから10個分だけ外側に5→3の順で部品がくっつく。次も10個前後露呈したところで接続が始まる。っ手具合にとても手間がかかる。タイムラグがあるってことで、こっちはラギング鎖という。断片(フラグ)が繋がってできるから、ラギング鎖側のこうした仕組みを岡崎フラグメントという。非効率に繋がるここは間違いの元だが、進化のヒントかもって考えられている。
 そうそう、後述もするが、全DNAが遺伝子というわけではない。人の材料となるタンパク質の設計図部分が“遺伝子”なんだけど、DNAでの同機能は5%程度と言われるからだ。まぁ、番組全部が少女のシーンでないのと似て...いないですか、そうですか
 DNAの複製期は本文にもあるが、顕微鏡でも見えない頃は静止期と言われたが、今は前段階であるG1期、複製期のS期、終息期のG2期に分けられる。DNAはG2期に折り畳まれて巨大構造化し、染色体となる。
 そこからは分裂中期となる。中期は染色体が細胞の赤道に集まり両極から中心体が染色体を半分ずつ引っ張る。引き終わると分裂周期になり、完全に二つに分かれることになる。分かれるときには赤道がくびれるのだが、締まる力は筋肉と同じアクチンが行う。
 

・五章 美少女の代謝
 生化学の分野。人間を一つの機関とみなし、燃料供給から結果としての行動までを見る。具体的には食物からどう生存エネルギーを得るか、を化学反応の視点から追及する
 食べ物は大まかに炭水化物脂肪タンパク質で、これがおのおの小単位に消化され、吸収される。炭水化物(デンプン)はウェイトレスではなく、アミラーゼによって分解され、マルトースを経て六員環のグルコースになり、小腸で吸収される。脂肪は三叉のフォークみたいな形状をしている(手で持つ柄の部分は無い)が、リパーゼにより三叉の根元のグリセリンから刃の部分の脂肪酸が根元でボキッと折られて吸収される。吸収されるこれら三つはいわゆる生きていくための燃料となる。タンパク質というと、ペプシンという酵素でペプチド鎖にぶつ切りにされ、トリプシン、ぺプチダーぜによりアミノ酸になってから吸収されるのだが、アミノ酸にするということはすなわち、生体の材料を作っているということだ。タンパクをつぶしてタンパクの素材を作るってのは一見馬鹿馬鹿しく見える。だが、アルミ缶を回収してもプルトップをそのまま製品に再利用したりしないのと同じ理屈、必要な大物部品を探すより、原料に戻したほうがラクなのである。
 こうして燃料補給はした。ここからは使う側、この場合は細胞なんだけど、細胞の燃料の使い方となるわけだ。が、グルコースや脂肪酸は貯蓄はできるが使いにくい10万円金貨みたいなもので、日常小回りの効く通貨に変更する必要がある。で、これがATP・アデノシン三燐酸。構造だけで言うなら図5-1のことだ。ギリシア語では数字をモノ(1・mono)、ジ(2・di)、トリ(3・tri)というが、燐が三つだからTであり、二つになるとADPになるわけだ。図でいうプル・ル・ンの部分に燐酸が入るのだが、燐酸結合はお互いの電荷のせいで不安定なものだから一個一個が外れやすい。しかも、その時のエネルギーは結構大きいときた。重い物をシーソーに落とすと反対側の物が飛び上がるが、これと同じ理屈でこのプル結合、じゃなくて燐酸結合が外れるエネルギーを利用して他の体内反応を行う、つまりシーソーに載せて持ち上げるのに使うわけだ。で、運びやすいってこともあって、体内での日常通貨としてATPが採用されたってことなのだ。
 ということは、燃料であるグルコース、グリセリン、脂肪酸などを分解する過程で細胞はどうにかしてATPを作んなくちゃいけないんだけど、特に有名なのがグルコースを分解する解糖系(グリセリンも途中参加する)と、そこでできるピルビン酸を分解するクエン酸サイクル(脂肪酸も途中参加する)だ。
 両サイクルでこれらはCO2とH2Oにまで分解されるんだけど、なにしろやたらめったら化学式のオンパレードでうんざりする。なんでこんなにややこしいんだってことだけど、たとえば脂肪酸なんてガソリンとほとんど同じ構造式だ。ということは内在エネルギーを急に開放すると爆発するくらい凄い力なわけだ。じゃあどうしてるのか。例えばメタンCH4は都市ガスの元だから、一気に燃焼させると爆発してしまう。けれど、電気陰性度の大きい酸素に少しずつ置き換える。すなわち、CH4→CH3OH(メタノール)→CH2O(ホルムアルデヒド)→CHOOH(蟻酸)→CO2って具合に。こうすると、各反応ごとのエネルギーは小出しにされるから、過激な爆発より格段に扱いやすくなる。で、要は両サイクルってのはこういうことをやっているわけだ。クエン酸サイクルなんてサイクルってくらいだからサイクルで変わっているのはそもそも原料として巻き込まれるピルビン酸だけで、あとは全体として変わらないままリサイクルできるんだから脅威のシステムなのだ。
 解糖系とクエン酸サイクルの詳細は略すが、本文の内容はうまい要約となっている。特にクエン酸サイクルは細胞内小器官であるミトコンドリアで行われるんだけど、七つの反応経路がギリシャ神話にたとえられるかどうかはともかく、ポイントは補酵素NADHの生産(水素を集める)にあるので、シスター系の少女が人を四人救ってるってのは訳判んないようでいて実は間違ってないのである。
 では何のために水素を集めているのかっていうと、そうして集めた水素原子H(プロトン)をミトコンドリアの外壁と内壁の間に溜めるため、かつその後、それを一気に内側に放水するためだ。このとき、校舎入り口にあたるのがプロトンチャネルで、回転ドアにあたるのがATP合成酵素なのだ。モーターと同じような理屈で、プロトンが流れ出る勢いで回転ドア・合成酵素を回し、その力でATPを作っているのである。
 なお、これらの経路はいわゆる呼吸としてわれわれの日常反応に帰着されるんだけど、CO2解糖系とクエン酸サイクルで排出されるのに対し、酸素O2は最後に回転ドアを通った後の水素と反応して水になるために吸われる。要は、O2→CO2が直接の反応ではないということだ。

・六章 美少女の分子生物学
 分子生物学は生物学の本の中でも半分くらいを占めることすらあり、今の主流分野だ。生化学が測定物の量的判断をする分野であった(どの場所で、物質はこんな風に変質する、ってのは見るが、それはインプットとアウトプットを見ているわけだ)ことに比べ、分子生物学は細胞というモデルが確固としてあり、そこで起きている現象を追求するという実証学的な分野であるように思う。すなわち、DNAからどうやってタンパク質ができるかという経路を明らかにしたり、細胞が自己外の物質の認識をし、自己内反応がどう進むか(逆もあり)といった、どの場所で、どの部品がこう変質しているというのを明確にするってことだ(生化学でIO間のブラックボックスとなっていた部分を見ている)。そういうことだからこの分野はもの凄く多岐にわたるんだけど、代表的な意味でDNAからタンパク質ができるまでの経路をここでは扱っている。
 DNA(の一部)はタンパク質の仕様書だ。タンパク質の組成は20種類のアミノ酸だが、対するDNAはATGCの四種類しか無い。じゃあどうしてそんなことができるのかと思うが、驚いたことにコンピュータと同じ理屈なのだ。JISコードで“生”は4038、“物”は4a2aという十六進数四組(0xとかは略す)だけど、十六進数であるこれはもともと二進数で、“物”は0100 1010 0010 1010と書ける。これが電気信号のON,OFFに還元できるからこそPCはこれを利用できてるってことなんだけど、DNAはそういう意味では四進数の三つ組だってことになる。AACとかTAGとかね。三つ組がどんなアミノ酸をコードするかってのはそれこそ暗号なんだけど、表6-1のメイドのシフト表はそれが元。これが全生物共通だってのは、進化が実在だったことの一つの証拠になる。(日本とアメリカの暗号電文が同じってことはありえないでしょ。)
 じゃあその仕様書と完成品はどう繋がるのか。DNAは分裂を取り沙汰することが多いから意外かもしれないが、書き換えられたらかなわんからDNAってのは本来ガードが厳重で、核の中にあるうちは門外不出なのだ。核内でタンパクを合成するわけにはいかない(核膜孔は狭く、出来たものが出られない)から、仲介者が要る。それがメッセンジャーRNAで、Go疾駆というのは苦しいが意味はなんとなく取れる。mRNAはDNAをほぐした片方から合成する(もう片方はラギング鎖になるからできない)んだけど、デオキシリボースで構成されるDNAに対し、RNAはリボースだ。デオキシが無いだけじゃんと言うかもしれないが、確かにリボースとデオキシリボースは酸素が一つ余分に有るか無いかの違いだ。デは“無い”、オキシは“酸素”、要はリボースにある酸素が無いと言ってるわけだ。ただ、反応力が旺盛なOが有るか無いかは分子構造的には大問題で、保存目的のDNAと生成目的のRNAが各々の組成を使い分けていることは納得できる選択だ。で、RNAはDNAからタンパク質としての単位分転写合成(RNAではTはなくUで、AUGCの四文字で構成)され、一本鎖で行動することになる。ただ、そもそもこの合成の仕組み、ポリメラーゼとかプロモータ、ターミネータとかいろいろあって面白いんだけど、この辺はするっと端折っているようだ。
 出来たRNAに転写された情報は実はイコールタンパク質コードというわけではなく、無駄なものが多い。要らない部分が核内で切られる過程、スプライシングは、ゴシックロリータがゴスロリに縮められているってことで比喩しているようだ。要らないって言われる部分が文中補足されているメガトロン、じゃなくてイントロンで、必要なエキソンって部分だけを残すようにするわけだ。これは進化史的には遺伝子多様性を得るための措置らしいが、正確なところはまだ不明確だ。
 で、こうして完成したmRNAが核外に出て行ってタンパク質を合成するわけだが、合成工場となるのがrRNAなどで構成されるリボソームだ。これはmRNAを挟み込むのだが、コスプレ喫茶が二店舗ってのはそういう意味だろう。客に来るのがいよいよタンパク質組成であるアミノ酸なんだけど、一人では店に...リボソームには来ない(正確には来ても合成に役立たない)から、仲介者がいる。それがトランスファー(搬送、ここでは意訳的に仲介と言ってもいい)RNAだ。運び屋たんと言ってるのがそれで、tRNAはアミノ酸の種類、20だけ別種が存在し、それぞれがそれぞれのアミノ酸を乗客としている太鼓もちってわけだ。こうした太鼓もちがいる理由の一つはRNAのコード部分に比してアミノ酸がでかいから近づけないからで、言うなればこの店では女の子と客の間に太鼓もち(運び屋たん)が割り込んでいるわけだ。やな店だ。アミノ酸はこうして狭い店に押し込められている間に隣のアミノ酸とくっつき(脱水してエステル結合-CONH-する)、これがタンパク質一単位の結合となる。太鼓もちはこの時点で退散し、リボソームは一つずれてmRNAを取り込み、tRNAがつれてくる客(次のシフトで次の客)を呼び込む。これを繰り返すと、アミノ酸が店を出る時には隣のアミノ酸と数珠繋ぎになっているというわけだ。こうして一本繋ぎのタンパク質の基礎が出来上がる。
 区切りが悪いから八章の内容にも割り込むけど、タンパク質ってのは一本線だけじゃダメで、正確に曲げられ、余分な飾りをつけ、また他のタンパクと組み合わされてこそただしい働きをする物質となる。これを行うのが小胞体とゴルジ体で、初等教育から高等教育を経て卒業させる学校に喩えているわけだ。リボソームは小胞体にくっついて存在することが多いが、学校近くに関連施設が多いことを考えるとこれは不自然ではない。実際リボソームで合成されるが早いかタンパクは小胞体に引きずり込まれるのだ。ゴルジ体を高校に喩え、私服を着ることで外社会に馴染ませるってのは、ゴルジ体の中身の液体成分が細胞外の組成に類似させていることを言っている。細胞の中にもう一つ膜・仕切りがあるということは、その中は細胞の中にある細胞の外っていう位置づけなのである。(ゼリーの中の泡みたいなもの。あれは外と同じく空気でしょ。)実際小胞体やゴルジ体は、外に面した細胞膜がくびれ、中に取り込まれることでできる。で、そこでちゃんとした構成をされた物質が、晴れてタンパク質として活躍できるわけだ。企業ブースのコスプレ姉ちゃん達はオタクがどういうもんかをわきまえてあそこに立っているわけで、だから素直に萌えられないんだよね。(そういうこともひっくるめて萌えるんだ、ってことかもしれないが、そういうことなら、僕の考え方は野暮ってことなんだろう。)
 遺伝子の逆流が最後のトピックだ。そも、ここに見てきたDNA→タンパクって流れは一方向で完璧なシステムとなっている。つまり生物の構造物であるタンパク質が、その生物が生きていく間になんらか変えられることがあったとしても、それがDNAにまで遡って転化することは仕組み的にありえないよね、ってことになるわけで、これはラマルク的な形質遺伝、“生存中の経験が後代に遺伝する”ことが原理的に有り得ないことをさす。こうしたことを二重らせん発見者のクリックはセントラルドグマ(中心教義)と表現したわけだ。クリックはあくまで技術論的な意味で発言しているが、これが世論的にどう広まっちゃったかは、エヴァなんかの使い方を見れば苦笑気味に理解されよう。
 が、有り得ない筈の逆方向、生物(RNA)→DNAをやっちゃうものがいる。これがレトロウィルスだ。ウィルスは正確には亜生物で、結晶構造体なんだけど、自身のDNAを寄生細胞に滑り込ませて増やし、“増殖”するから生物?って位置づけなのだ。レトロウィルスはDNAではなくRNAを遺伝子としてもっていて、これを寄生細胞に直接入れ、自身のRNAからDNAを体内で逆合成し、それを宿主のDNAに割り込ませるわけだ。セントラルドグマの完全に逆をやっているわけで、これが進化の一要因であったことはほぼ間違いない。中心教義ってことばはいまだに独り歩きしているが、発信元の生物学におけるそれはとっくに意味を失っているというのが皮肉だ。固執より実用。ここで発見されたRNA→DNA合成に必要な逆転写酵素ってのは、現状遺伝子工学では必須の道具になっているくらいなのだ。
 

・七章 美少女の免疫システム
 免疫というのは字のごとく“疫”病から“免”れるシステムだ。鼻水や痰、顔の脂もそうしたシステムの一環だから、風呂入らないような奴は論外だが、極端に潔癖症なのは生物としては愚行ってことである。まぁとにかくそれらは外部害悪遮断システムだが、体内での防御システムがここで扱う免疫って位置づけだ。
 免疫の役割を持つ細胞をリンパ球といい、マクロファージ、B細胞、T細胞に分けられる。食える外敵は食ってしまうのがマクロファージで、噛み砕いた一部を細胞外に突き出して自慢するんだが、これを見て動き出すのがヘルパーT細胞だ。B細胞の生成と指令、キラーT細胞の発進要請などをおこなう。B細胞は抗体をつくって放出する。外敵が抗原で、対処するのが抗体だ。抗体は抗原を溶解したり、増殖部分に取り付いて機能不全を起こす物質だ。作り出しちゃえば早いが、それまで三日くらいかかる。風邪の期間が大体三日ってのはそこから来ている。またB細胞は抗原を覚えてて、このB細胞が生きている間は同じ要因の病気には感染しない。抗体は抗原を直接攻撃するわけだから、抗原が細胞に侵入しちゃたら手が出せない。感染しちゃった細胞は残念ながらもう直らないから、キラーT細胞ってのが“殺す”わけだ。
 問題はここから。マクロファージの提示する抗原にT細胞が反応するんだが、ミクロ的に言うと提示された部分に合致するかどうかしか確認手段がない。つまり目で見て確認するわけじゃなく、提示される形状だけいろんな合致部を持ったT細胞が事前に“存在する”ってことなのだ。抗原はなにしろ何百万いるかわからないからネットでの悪口に喩えてるんだけど、T細胞はホントに合致部が違う種類が何百万もいるのである。で、たまたま合致したT細胞が、今度は優先的に増殖される。けど、T細胞だって元はDNAだ。何百万種用意してたらDNAは抗原情報だけでいっぱいになる。一体どうやってんだ。ってのが謎だったんだが、これを解決したのがノーベル賞とった利根川さんなのだ。
 ライダーマンは改造部分が右手だけ、他の部分は生身だ(ってことになってる)から、全身改造されたV3に比べて弱い。じゃあどうやってデストロンと戦ってたのかっていうと、右手の部分をいろいろな武器に差し替えて対処していたのだ。ドリルとかアームとかね。だから彼自身が変わるわけじゃなくて、まぁ自分の家とかにどんどん武器をコレクションしていって、選んで使えばいい。で、こうした可変部が三箇所あり、各々がコレクションをたくさん持っている。ってのが合致部であり、抗体なのだ。
 抗体はこの可変部がV領域、D領域、J領域のH鎖と、V領域、J領域のL鎖で構成されるんだけど、VのDNAコレクションが200種、Dが20種、Jが5種あるから、順列組み合わせで200×20×5×200×5=2千万っていう数字が出る。つまり各々の数分のDNA領域を確保することで、抗体にこれだけの多様性が生まれるわけだ。この辺はだから挫折絵orzを用いた比喩はほぼ的を射ているようだ。ついでに言うと、この部分のDNAは再合成されるときに変異が起きやすいようになっているらしく、多様性は実質無限大なのである。で、リンパ球はこの部分をランダムに変えて作ってるから、何百万種の用意は常に出来ているということになる。
 

・八章 統合少女体の機構
 細胞についての解説は六章のところでやったから、残りの部分についてだけ。
 筋肉はアクチンとミオシンで構成される。束になったアクチンの隙間にミオシンが滑り込むことで収縮するのだが、筋肉が太くなるのはこのときだ。ミオシンは模式的にはノコギリ刃のような構造で滑り込むときにエネルギー(ATP)を使うが、外すときにカルシウムイオン・Ca2+がなくなるという命令が無いと外れない。死ぬと命令もエネルギー補填もされないからその位置で硬くなる、死後硬直ってのはそういう理由による。
 ちなみにティン肉ってのは当然筋肉のことなんだけど、これはアイマスのOPでプレイヤーをプロデューサにスカウトする時に、「ピンと来た!」という台詞が「ティンと来た!」と言っているように聞こえることが元ねた。アイマスどころかニコニコ動画を見てないとまったく何のことかわからないので、これはあまりほめられたギャグではない。
 で、神経だ。神経細胞は特殊な形をしていて、周囲に伸び出た樹状突起と、特に飛びぬけて長い軸索が特徴だ。情報のやり取りをする細胞で、樹状突起が入力、軸索が出力にあたる。樹状突起から来る情報が累積され、閾値を超えると軸索に出力するってのは、01信号ではないファジイ制御ってのがあったけど、あれが真似た元だ。軸索を電気が伝わる速度(伝導速度)はまちまちだが、数十m/sといわれる。確かに速いんだけど、転じて言えば生物の反応速度はこれ以上にはならないことも意味している。
 ではどういうときに入力があるのか。軸索の先端からはシナプス小胞と言われる部分が破れて中から伝達物質が放出されるのだが、それを隣の樹状突起が受け取る時が入力ということになる。この物質には興奮性と抑制性があり、いわゆる情報の修飾を行っている。これにより、神経系は単なる電気信号の集まりではない多様性を持たせているのである。ちなみに、ここで言う情報の出入を行う相互部分を総称してシナプスという。
 

・九章 ペド生態学
 生物学は個体レベルでの研究ばかりを言うのではなく、ここで見るような生物が生きる環境の研究もある。フィールドワーク研究者がそれだ。
 生物の生きる領域を総称して生態系と呼ぶが、それは大きく生産者、消費者からなり、消費者は更に被食者と捕食者がいて、これが複数階層をなす。生産者とは一般に、細胞の活動に必要な物質、グルコースや脂質を合成し、かつ呼吸に必要な酸素を合成する立場の者を指す。平たく言えば植物のことだ。消費者はそれ以外一般の動物、つまりグルコースや脂質、タンパク質などの合成物を取り込んで再利用し、細胞活動のエネルギー源とする生物群一般を指す。捕食者とは更に、他の生物から栄養素を取る生物群を指している。他人の作った物を手っ取り早く利用するほうがラクなのは当然で、こういう構造はどうやっても出来るわけだが、ラクする立場はある程度利用する側が存在してこそ居られるということなので、自然個体数は少なくなっていく。こうしたことを表現したのが生態系のヒエラルキー構造、生態ピラミッドなわけだ。
 生態系は一見一方向だが、生存調整という意味でバランスの取れた系だ。捕食者が多くなりすぎると被食者が減り、被食者が減ると捕食者が餓死する。すると安全になった被食者が増えるという具合にフィードバックが常に起きる。生産者だけだったらいいのにと思われるかもしれないが、初期生命の一つであるシアノバクテリアは水と二酸化炭素から光合成によって有機物を合成し、老廃物として酸素を作ったのだが、酸素は当時の他の生物にとって毒だし、海水中の鉄を酸化鉄として沈殿させてしまうという環境激変を起こし、地球を変えてしまった。この段階でシアノバクテリアの一人勝ちと思うかもしれないが、二酸化炭素を使い切っちゃったせいでどうも地球が寒冷化し、なんと地球全体が凍ってしまったのだ。この凍結は光を失うことでシアノバクテリアが減少したこと、火山などで二酸化炭素が大気中に増えたことなどでまた暖かくなって環境が戻ったんだけど、単一生命の繁栄はかように永続しないのである。
 こんな風にバランスが微妙な生態ピラミッドだから、ほんの少しの変化でも大きな変化になる。実際の地球温暖化などは最たる例だけど、本文でもインターネットの普及による萌え界の構造変化を扱っているというわけだ。それはいいとも悪いとも言えないのだが、利便性が上がったことで興味の持続期間が減少するという現象は注意すべきだろう。生産者がこれに乗せられると、飽きっぽさのスパイラルが起き、やがて仕組みそのものの維持を困難にするからだ。それは系の崩壊であり、終局的にはレイチェル・カーソンの指摘する、生態系が或る日ふと破壊された状況、沈黙の春をもたらすのである。
 

・付録章 進化論
 進化論ってのはどこまで科学なのかが今もってわからない。科学が実証をもって正論とするなら、ある種から新たな種が生まれる現場に、人類は未だ立ち会ってはいないのだ。でも、じゃあ科学じゃないの?って言われると難しい。進化論が正しいとすると、つじつまの合うことが世の中多すぎるから、なにしろ今は正しいとされている、としか言いようがない。と書いてきて、なんだ物理法則も考えてみればそうじゃんと思い直したりする。まぁなにしろ進化論というのはある種そういうものだということを認識してください。
 冒頭、ダーウィンが国費使ってグッズ買い漁るって描写があるが、これは間違い。ビーグル号は確かに国の船だが、彼は私費で同船に乗ったのだ。凄い金持ちだ。
 元文にあった時事ネタ談義を略した。ここでのネタにされている当時のオタクネタはコメットさんやフルバ、ななかなんだけど、今見ると不況の時代が癒しを求めていたんだねぇってしみじみ思う。この当時はボーナスも最低限で、子持ちの同僚は暮らせないとか言ってて洒落にならなかったなぁ。
 さて、進化論と言えばダーウィンと相場が決まっているが、本文にもあるように、実は「生物は進化ってあるかも」って話は当時結構いろんな人が囁いていて、彼の発想ではない。自然淘汰説もウォーレスがほぼ同じ考えでいたから、例の種の起源はウォーレスと連名で発表している。ダーウィンの凄いのはこれらを大系的に齟齬無く説明したことにある。
 本編にもあったから略すけど、メンデルも紹介している。この時のアプローチは今回と随分違うので、比較して呼んでもらえると面白いかもしれない。
 今では信じられないが、進化論と遺伝学は長らく対立していた。一方は変化、一方は不変を売りにする説なんだからそりゃそうかとも思うのだが、これを統一したのが集団遺伝学だ。進化は見たこと無いけどとにかく変化を表すなんらかの数値を設定して、全体が変わっていくさまを見ていこうという数理解析的分野だ。進化論史を見ると両極端説が対立ばっかりしてるんだけど、ここでもそう。自然選択の影響が強いとする連続進化説のフィッシャーと、いいや遺伝的浮動の影響が強いんだとする断続進化説のライトのことで、学会での対立はかなり見ものだった。らしいけど、まだ遺伝子はどこにあるのかわかってなかった当時だから、議論は堂々巡りだったようだ。
 エイブリー→クリックの流れでDNAに遺伝子があるとわかったのはその後で、ここまではっきりしちゃうとここからはDNAがどうやって別種に変わるのかって議論になる。
 で、また対立が来る。リチャード・ドーキンスは利己的な遺伝子で有名だよね。ハタラキバチが女王の子を育てる意味を説いたあたりは説得力がある。が、この人の累積的淘汰説っていう、淘汰には方向性があるって考えの方が思想的にはいっそうラジカルで面白い。対するS・J・グールドはエッセイで有名だ。断続並行説という、環境変化があったときに進化するという説。生物進化を統計的に解析はやはり面白かった。どちらの説も一理あるんだけど、それだけにこの二人はもの凄く仲が悪かったようだ。
 後は亜流の説。ラマルクの獲得形質説は、後に尻尾を切られたねずみはそれでも長い尻尾のねずみを生む等の実験で完全に否定された。鼻つまみネタは若草物語から。
 全体論敵進化論。今西錦司。生物は環境を棲み分けて、棲み分けられる環境ができればそこに進化する。進化の原因は環境か個かって対立の、環境説の代表者。本は面白いけど、状況証拠だけだから、今は分が悪い。
 中立説。木村資生。六章に見るイントロンとエキソンの関係の先駆け。DNAの位置交換は結構起きるけど、ほとんど生体に影響せず、あるときドカンと進化するってもの。
 構造主義進化論。柴谷篤弘。DNAだけじゃなくって、もっと構造的に考えようよって説。本文でもあまり良いこと言ってないけど、今でもそうした思いは変わらない。構造主義ってどうにも観念論なんだよね。
 進化は本当にあるんだろうか。かなり種分化した個体でも、本流と掛け合わせればすぐにまともな子ができる。生物の柔軟性を進化論者は認識しているんだろうかって日高敏高氏が書いていた。我々が見られないのは人類の認識する時間と進化の時間は全然違うことが原因なんだけど、そう言われるとそもそもの疑問がまたわいてくる。一体進化論って科学なんだろうか。
 

 ってなところで、ようやく全解説が終了だ。俯瞰だけでもえらいページ数になったから、報酬なんて少ないくらいだ。とはいえこの解説だけで生物学を概観しているということは、本文はほぼ全分野パロディをしきっているわけで、まぁご苦労さんなことでとしか言いようが無い。今回は逆にオタクねた部分の解説が滞ってしまった感があるが、まぁその辺は読者の方がよほど詳しいわけで、特に加筆しなくてもいいだろう。
 
 
 

(ここまで解説)
 

 さて、先述もしましたが、以上が今度机上理論学会に間借りして出す“ペド生物学概論”の解説です。なにしろ会場で待ってますので、是非買って笑って使ってください。いやほんと並みの入門書より余程判りやすいから。
 


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