[終] 参考文献とあとがき
 

[終-1] 参考文献
    :この本を書くにあたって読んだ本。本棚から見つかった順。
 

・新しい生物学 第3版 生命のナゾはどこまで解けたか
    野田春彦、日高敏隆、丸山工作 著  講談社ブルーバックス

    :二〜三年前に読んでた本だったけど、読み返すと意外に役立った。

・新しい高校生物の教科書 現代人のための高校理科
    栃内新、左巻健男 編著  講談社ブルーバックス

    :読んで字のごとくだが、とても分厚く、挫折しそうなほどためになる。

・大学1・2年生のためのすぐわかる生物
    大森茂著  東京図書

     :かなり本格的な内容のダイジェスト。読み応えはあるが前知識がないと辛い。

・理系なら知っておきたい 生物の基本ノート[生化学・分子生物学編]
    山川喜輝  中京出版

    :多くの部分がこの本の基礎となった。非常にわかりやすい本。

・現代生物学の基本原理15講
    大瀧丈二  大学教育出版
    :ただ漫然と知識を詰め込んだ人が読むと非常にためになる本。今回のベスト3。最終章の遺伝子工学応用への批判は唐突だがとても面白い。

・生物学と人間
    赤坂甲治 編  赤坂甲治・丹羽太貫・渡辺一雄 著  裳華房

    :平均的に分野を概観した良著。

・基礎の生化学
   猪飼篤 著  東京科学同人

    :本人は判りやすく書いてるつもりなんだが、名詞が多すぎて読み手の集中力が保たない。生化学という分野上仕方ないけど、もう少し割り切った方がいいと思った。が、学部生への教科書なら仕方ないのか。あ、アデニンの覚え方は役に立ちました。

・生物と無生物のあいだ
    福岡伸一 著  講談社現代新書

    :分子生物学史を読み物として非常に面白く記述する良著。

・おとぎ話の生物学 森のキノコはなぜ水玉模様なのか?
    蓮実香佑  PHP

    :題名通りの本。面白いが、むしろ机上理論的発想の本だ。スカウトしたいくらい。

・はじめる生物50テーマ 入試への基礎
    浅賀恵利子 著  Z会
 
     :入試の生物ってのはどんなもんかと思って買ったんだけど...。こんな人間の暗記力の限界を試すような苦行をしてまで生物を学びたい人間がいるのだろうか? 学生が気の毒になった。

・生物学のすすめ
    J.メイナード=スミス 著  紀伊國屋書店

    :生物学のトピックを、どこまでわかってどこまでわからないかを示す。この、“わかって”の部分の解説が、背筋が震えるほど感動する良著。ベスト1にしたいくらいのベスト3だけど、何故か今回の本書にはほとんど活かされていない。

・新しい教養のすすめ 生物
    西田利貞、佐藤矩行編  昭和堂
    :気合の入った良著であることはわかるのだが、一連の専門書のかなり初期に読んだせいで、ありがたみがあまりわからなかった。教養なんていっているが、そういう意味では専門家向けなのか。

・生命のセントラルドグマ RNAがおりなす分子生物学の中心教義
    武村政春 著  講談社ブルーバックス

    :著者に年齢と居住地域が近いせいか、たとえが抜群に上手くわかりやすい。本書でDNA→タンパク質付近に今回あまり立ち入れなかったのが惜しいくらい。良著。

・新しい発生生物学 生命の神秘が集約された「発生」の驚異
    木下圭、浅島誠 著  講談社ブルーバックス

    :良著。なのは判るんだが、この分野の名詞の多さに辟易もする。この分野をやろうと志す人向けだ。

・生物学のすすめ  黒田洋一郎 馬渕一誠 編  筑摩書房
:生物学科に入ろうとする人向けの本。なのだが、入るなって言ってるとしか思えないくらい専門用語バリバリの本。それだけにまだしも面白いところもあるが、免疫学の項なんて題名を読まずに書いてるとしか思えない。

・理科年表読本 生化学へようこそ リカとルナのバイオ探検
     八木達彦 著 飯田雪子 絵  丸善株式会社

    :生化学の名詞の多さは辟易ものなのは仕方ないが、この本は真っ向勝負で解説している姿勢に非常に好感が持てる。一見萌え系イラストものなのだが、この手のもので、挿絵から、本文に増して上手く説明してやろうという気概が見出せるものなんて初めて見た。ホントに判りやすいかはともかく、そういう努力に熱いものを感じる、ベスト3の良著。

・生物学の歴史
    溝口元、松永俊男 著  放送大学教育振興会

    :題名のまんまの本。初心者向けではない。唐突とも思える優生学の黒歴史、人権蹂躙史は、空恐ろしさを感じる。これへの批判的記述も含めて生物学書として場違いな気もするが、こういう著者の感情とか思想がふと出てしまう記述は読んでいてとても面白い。

・生物学超入門
    大石正道 著  日本実業出版社

    :ホントに入門。一冊目として読むならお勧め。内容も結構深いしね。

・よくわかる高校生物の基本と仕組み 実はこんなに味わい深い生物学入門
    鈴木恵子 著  秀和システム

    :題名の通りの本。これも判りやすい。Z会の本読む前にこれを読め。

[終-2] あとがき
 

 ギリギリになるのが例年のことになりつつあっていかんなぁとは思うが、今年はまぁ、この分野でこの内容なら仕方ないかなぁとも思ったり。(ちなみにこの“仕方ない”では長崎の人は怒らない。)
 生物の本を何冊か読むと判ると思うが、入門系の書籍になると特に顕著になるのが、総じて散漫な印象があるってことだ。僕は上手な説明とは文と文の間の“接続詞”で決まると常々思っているのだが、生物学は扱う分野がミクロな分子現象からマクロな生態系までと多様すぎるため、これら相互の意味の繋がりを取る事が難しいのである。僕が読み取れなかっただけかもしれないが、多くの本はそこを不明確にしたまま次の章に進むから、単純に各々の章が独立して存在し、たまたま本として一冊にまとまっているといった感が拭えないのだ。
 まぁ教科書としてなら知識の固まりとしての形体でもいいかもしれないが、本書はとにかく読み物なのだから、馬鹿な内容であることとは無関係に、通して読ませるにはやはり一冊の本としての論理性がいるのだ。
 しかし、その辺の気負いがあればこそ、今年も全く筆が進まなかった。ペドシリーズは、少女を研究する方法論が(架空にせよ何にせよ)あって、そうして確立している架空の学問の概論を執筆していたらたまたま現行我々の世界に存在する○○って学問に類似してしまった、って感じに作ることを自分に課している。(と言うと聞こえが良いが、要はそういうスタンスでしか書けないのだ。)では転じて今年、美少女と生物ってのはどう位置づけたらいいのだろう。そもそも美少女って生物の一範疇だろう。それなら、生物学の手法を使って美少女の体内を覗く、生態を観察するっていう、まさにはじめにで書いたようなことをやるのか? けれど、それで面白いものになるのか? それで書いていったとして、ペドシリーズといえるのか?(ペドにはなるけどね。)
 そういう根本的なところで自己矛盾を抱えている時は、モチベーションは絶対に沸いてこない。全く書けないまま、またしてもGWに突入してしまった。

 ’06年暮のサーバパンクの一件から入れなくなっていたニコニコ動画だったが、取った番号が既に入れるようになっていることにたまたま気づいたのが丁度この時。運のつきと思われる方がいたらホントにその通りで、GW中はここに上げられたアイマス関係の作品を見るのに、ネット廃人と言われても否定できないくらい没入してしまった。
 そこで見せ付けられたのは、昨日より今日、今日より明日と、日々を追うごとに楽しく進化していくアイマスのMAD映像で、そこで楽しげに踊る少女たちはゲームと言う限定状況で作られた範囲のダンスでしかないはずなのに、無限の魅力を放っていたのだ。
 この進化・深化はいったいなんだ。多くの見知らぬ者達と入り浸っているこの場で展開されている少女のダイナミズムはいったい何なんだ。
 それは我々がこれまでに持っていた空想美少女の像、この娘はこんな属性を持っているんだと、我々の中での彼女の知識が決定・深化していくそれまでの価値決定とは全く違っていた。それもそのはず、そこに表現されている彼女たちは、昨日の彼女とは違い、また明日の彼女も今日とは違うのだから、そうした存在をステレオタイプに固定できよう筈が無いのだ。
 彼女らは我々の言うとは違う意味合いで“生きている”。それは現実の生物の有り様をパロディにするなんて単純な位置づけのものでは全然表現できない。そうではなく、もうなんていうのか、完全に概念として新しい存在なのだ。ニコ動での衝撃を自分の中で整理しながら、そうしたことはその時点では漠然としか浮かんでいない考えだったが、それでも一冊の本を費やすに足る考察対象と出来得るくらいに深いことは、直感的に判った。
 語るべき内容は、それを代表する言葉、“名前”を持ったときに確定する。我々の思いがまとめられて、我々が思うことによって常に“生きる”総合体としての存在がある。今回その存在を“仮定”し、更にその存在に“統合少女体”と名づけたとき、なんの脈絡も無く、「勝った。」と思った。何に対して勝ったのかはよく判らないが、とにかくその瞬間、この本の完成は約束されたのだ。

 とは言え、達観したのが遅すぎたのも事実。曲がりなりにも社会人であるから、平日は執筆できない。必然的に、それ以降の土日はほっとんど執筆だけでつぶれてしまった。あまりの内容の多さに間に合わないことを夢にまで見るという、同人作家が一度は通る道まで通ってしまった(いやな道だった)。
 実際、上記アイマス~ニコ動現象を説明するには分子生物学、それもレトロウィルスと逆転写酵素をパロディにすればよいことは薄々考えの範疇にはあったものの、生物学という全体の流れの中でのそれらを記述するのでないと、読む人間にはわからないだろう。ということで、それを説明するにはこれ、これを説明するにはまずこれ、と段々と前予定を立ててゆき、そこから書くという方針だったのだが、これがまた書いても書いても核心に達しない。割と独立している七章と九章は先に書いてたから、そうして書き終えた六章はホントに最後の最後になって言いたかったことにたどり着いたという感じになって、感慨もひとしおであった。そうして提示できたのはまさに、ファンの“好き”意識がオリジナルの少女を変質させる仕組みのパロディだったわけで、それこそ今回の本の核心部分だったのである。

 なんてカッコつけたこと言っているが、遅くなったことでもっとも迷惑をかけたのは挿絵を担当することになったhae氏であることは言うまでも無い。今回こんな感じで遅きに失したにも拘らず、いつにも増して高いレベルで僕のイメージを要求以上に表現してくださったのは感謝に絶えません。これに懲りずに、次回作でもまたご一緒くださるとうれしいです。

 では今回はこの辺で。次回作は...何にしようかなぁ。
 

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