[2章]美少女の発生
 
 さて、これから本格的に萌えの集合概念である統合少女体の研究を見ていくのだが、いっかな統合少女体といえども、最初に単体の美少女として誕生する時は、個人もしくは少数の集団からなるクリエーターと呼ばれる存在から生み出されることになる。これは一般に美少女を“デザイン”していく行為にあたるのだが、美少女生物学ではこれを発生と捉えて、その細部を研究している。ここではその様子を伝えていこう。

[2-1] デザインの最初期
 
 

 美少女をデザイン(絵でも、ストーリーでも)したいという衝動なり感情なりがなんらかクリエーターに沸き起こったとき、ペド発生学ではその瞬間を“受精”と捉える。

 漫画家は漫画を描くとき、何の躊躇いも無くさくさくと作成するのだろうかというと、そんなわけも無く、ストーリーなり絵柄なり、なんらかアイデアを浮かばせるのに常に呻吟している(結果としての描線に迷いはないとしても)。それは天才と呼ばれた手塚治虫や藤子F不二夫らですら、その作品内に呻吟する自分たちを揶揄気味に登場させていることからも明らかだ。

 クリエーターに原初イメージが沸いた、というときの、その“沸く”という行為も、全くの無から創造されるなどということはあり得ず、更に事前に彼の中に前イメージが存在する。それこそが萌伝子と呼ばれるものであり、二種類存在している。すなわち、

   内萌伝子        : 自分の感性、才能

   外萌伝子        : 世間からの刺激(時勢、仕事など)

の二つである。これら内外萌伝子が何らかの瞬間に融合したとき、それが“受精”なのである。

 萌伝子は人型の場合23種ある*1とされ、{内に由来する萌伝子}と{外に由来する萌伝子}と併せて併せて46本存在する*2。この中では大きいと小さい、スレンダーと肉感的、長髪と短髪など、ありとあらゆる種類の対立項目がその中に包含されており、それらが拮抗して優位項目が発現することにより、その美少女の根本的なデザイン、性格の方向性が決定する。(決定されるのはデザインそのものではなく、方向性であることに注意。「こんな感じで行こう」というくらいのものと思ってもらえばいい。)
 

*1 萌とは更に広く“かわいい”に包括されるのだが、例えば“花”を創造する場合に“花”の中に必要なカワイイ伝子は20種ある。すなわち必ずし も23種は決まった数ではないということだ。ある野菜などは最小本数のカワイイ伝子を持つことで有名である。すなわち、「一本でもニンジン。

*2 両者から46本もらうと92本になってしまう。これを防ぐため、我々は無意識のうちに両者の“半分”の23本をもらっている。頭の中のイメージ はサイコーなのに表現してみるとどうってことないものになってしまうというのはザラなのだが、それは元々の魅力を差っぴいて使っているんだ からというところに起因している。この半分化を“幻想分裂”と呼ぶのはしてみると尤もである。(全部もらって来ればいいじゃないかと言われる かもしれないが、それはもうデザインとは言わず、パクリという。)


 

[2-2] 発生初期と誘導物質
 

 “ハッとする”受精を経て、クリエーターの思考錯誤という胎盤内で美少女は徐々に具体化されていくことになる。クリエーターの胸に秘めて、美少女の胸を描く段階であることから、この段階の少女を“パイ様”という。

 パイ様におけるデザインは描線こそ多数だが、基本イメージは同じ底から引っ張り出しているものであるため、どのデザインもそこから逸脱することはない。そしてデッサンなり設定なりの試行回数を重ねるごとにデザインの方向性が固まってゆく。この概算の存在形態を決定する過程で、クリエーターが自分の好みだけを優先するのではなく、「自分以外の者に受け入れられる」という判断が絡んでくる。これはいわゆる外圧とでも呼べるもので、これとクリエーター自身の感性とのせめぎあいで、徐々に美少女は形を整えられるのだ。この過程において、“クリエーターの感
性もしくは外圧に由来して少女形態を決定する物質”を誘導物質・アホ毛ピンと呼ぶ。

 良く知られているアホ毛ピンとしては、少女の上下左右・大小を決定するチッコイドナノーがある。デッサン時にチッコイドを多く発すると、濃度の高い部分がロリ化する。すなわち濃度が高いほど全体のデザインが丸っこいイメージになる。逆にナノー濃度が高いとセクシー度が上がる。この二つのアホ毛ピンのバランスにより、「ロリ顔なのに巨乳」「子供なのに先生ダゾ〜」といった少女も形成されることになる。

 アホ毛ピンは最初期デザインの場合はクリエーター由来のものが多いが、リメイクやコンシューマ化のような二次的なデザインではプロデューサースポンサーなどの外圧が濃度を決定することも多い。セクシーが売りだったキューティーハニーが、土曜夜7時濃度を高くしてリメイクしたら健康的なデザインになってしまったり、反対にOVA濃度を高くしたらより永井的なデザインになったこと(これはこれで萎えちゃったんだけど)があったが、あれなどは外圧の好例である。こうした場合には、売れ筋販売カラーなど、利益追求が元になっていることが多いが、「どう見ても高校生(幼稚園児であることも!)なのに居酒屋に入る」要素などは、“なにがなんでも18歳以上”物質の濃度が非常に高い結果であり、18禁作品に多い。(これは日本政府が出しているアホ毛ピンであり、入れないと逮捕すらされてしまうという強制力のある物質である。)

 アホ毛ピンの利かせ具合によってデザインが変わるのなら、人為的にアホ毛ピン濃度を調節することで自由にデザイン変更できるのではないかという視点から研究されているのが、パイ性幹ちぃ胞である(ちぃ胞については別章で説明)。チッコイドとナノーのバランスの微調整は非常に困難を伴うため、これまで成功例は無かったが、どきどき魔女神判におけるタッチペンを使ったロリ少女の巨乳胸揺れ操作などは珍しい成功例と言えるだろう。同ちぃ胞が別名DSちぃ胞と呼ばれるのはそうした理由である。

 こうした試行錯誤を経て、やがて少女・パイ様はその形態を明確化させてゆく。すなわち環境的な位置づけ(先生とか看護婦とか巫女とか)である外パイ様性格や行動を決定する内パイ様身体形状(いわゆる絵筆で描画される顔、体型)を決定する中パイ様に分岐してゆくのである。
 


 

[2-3] デザイン決定と萌伝子
 

 しかし考えてみると、アホ毛ピンはあくまで誘導物質である。大人っぽく、ロリっぽくなど、デザインの方向性はそれで決めることが出来るものの、実際に目を細くして艶をだしたり、逆に大きくして子供っぽくしたりという具体的なデザインはどうやって決定しているのだろう。まさにそうした具体的な形質形成に関わるのが萌伝子なのである。

 “少女は”というデッサン人形がある。言に反して中森某に似ないよう無個性化しているため特定の偏見を持たずに接することが出来*1、萌伝子の影響を調べるのに最適な素材としてさまざまな実験に用いられてきた。

 少女はAの研究によって明らかになった萌伝子の有名なものに、耳が尖ってエルフ化するアテナペディア因子や、絶対領域が1/2倍化するバイソックス因子がある。*2 これらはこの萌伝子を直接いじって出来た少女はAのデザインが変化するという実験を行うことで特定されたものだ。勿論萌伝子は性格や行動にかかわる因子も存在するが、形態決定因子はデザインの変化として実験結果に明確に現れるため、研究が進んでいるのである。

 さて、そうして形状に関わる萌伝子因子が決定されてくると、驚くべきことが判ってきた。こうした萌伝子はあるDNA上にグループを為し(ホレボックスという)、しかもある程度連続性を持って存在しており、更に少女はA、美人系、ロリ系などのようにかなり最終的な存在形態が異なるものでもDNAでは共通相関を取っていることが判ったのだ。


図2-1 ホレボックスと少女共通性


 図2-1に見るように、各ホレボックス、例えば美人のキャラクターは胸や腹腰がボンキュッポンだが、ロリ系キャラクターだと貧乳寸胴だったりする、これが同じ萌伝子の発現の違いによることが判った事はまさに胸囲的...驚異的な成果なのであり、デザイナーがエルルゥに刺される様な事態にもなりかねないのだ。

 発生について、かつて詳細にこれを調べたエロンスト・ヘッケルは、デザインの初期に○と十字でラフにスケッチされていただけの個体が、絵柄が発展してゆくうちに分岐してゆき、やがて美少女花沢さんになることに驚き、「個体発生は系統発生を繰り返す。」と、萌の神秘をしみじみと表現したが、それは萌伝子のこうした共通性に由来したものだったのである。
 

*1 こういうのはむしろ無個性がいい。下手に顔なんかが描いてあると思い入れが出来、タンス上のフィギュアと化してしまう。

*2 絶対領域の持つ危険な無限力については拙著・ペド心理学概論に詳しい。在庫少。


図 個体発生は系統発生を繰り返すでござる の巻



 

 このようにして美少女デザインは発生し、一次完成した形で世に出されることになる。ここで一次完成と書いたのは、実はこれから世間に見出されてからが、統合少女体としての生が始まるからである。

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