ビル・エバンス

エクスプロレイションズ 2002年12月22日
有名なリバーサイドの4枚の中でも、ひときわ美しくて芸術的な作品。本作では特にトリオの、まるで楽器が生きた動物のような、生々しい迫力と優しさに満ち溢れている。ビル・エバンスのアルバムは慨して録音状態がよいが、このアルバムはその恩恵を最大限に受けている。音質のよさがエバンス・トリオの斬新なプレイにダイレクトにリンクして、リスナーを耽美な世界に誘う。
<イスラエル>
冒頭から魅力的なピアノ・タッチを見せるエバンス。曲の解釈が、彼らしくエレガントで創造的だ。
<魅せられし心>
触れたらスッと溶けてなくなってしまうかのような繊細でリリカルな表現を見せる。
<エルザ>
愛すべき小品。エバンスの余韻を残す適度に軽いタッチ、ラファロのふくよかなベース・プレイが素晴らしい。
<ナーディス>
妖しげな魅力を放つ曲。ジャズの持つ美しさを極限にまで追求するかのようなイマジネーション豊かなインタープレイが味わえる。
<アイ・ウィッシュ・アイ・ニュー>
コルトレーンの『バラード』に収録されている同曲と比べると面白い。甘く切ないコルトレーンのサックス。対するエバンスのピアノは煌びやかで美しい。
<スウィート・アンド・ラヴリー>
もはや原曲が何かわからないほど、エバンスの解釈は幾何学的な様相を呈している。モチアンのドラムが、いつになく創造性豊かな感じだ。
本アルバムのマイベスト<イスラエル>


ワルツ・フォー・デビイ 2002年12月10日
ジャズ・ピアノ・トリオの代表的名盤。ジャケットの、ピンクの背景に浮かぶ女性の影という巧みな演出が、所有する喜びを感じさせる。ビル・エバンス・トリオというと、エバンスとラファロのプレイにばかり目がいき、モチアンのドラムについてあまり語られることがないが、あの軽快かつ幻想的なプレイがあってこそ、この演奏は生きているのであって、3者が対話しながら更なる高みに演奏を導く様子に注視しなければならない。
<マイ・フーリッシュ・ハート>
ビクター・ヤングが映画の主題歌として作曲したもの。バラードの決定的名演といえるもので、エバンスの1音1音丁寧に練りこんでいくメロディー、それと並行するように応答するラファロのベース、特有のブラシ・タッチで幻想的雰囲気を創り出すモチアンのドラムと、どれをとっても全く隙のない演奏だ。
<ワルツ・フォー・デビイ>
トリオが残した歴史的な演奏。エバンスのテンポのとり方が精緻を極めている。本演奏はテイク2で、ボーナス・トラックにテイク1が入っているが、比べてみると断然テイク2の方が素晴らしいのがよく分かる。テイク1では、曲の落しどころに迷っている感じがする。<ワルツ・フォー・デビイ>という曲に関しては、これよりうまい演奏というのはもう絶対に不可能だと思われる。何度聴いても飽きない曲。
<マイ・ロマンス>
リチャード・ロジャース作曲。スロー・テンポのエバンスのソロから入り、軽快なテンポのさわやかなプレイに移る。しっとりとしながらも暖かなプレイだ。
<マイルストーンズ>
いわずと知れたマイルス・デイビスの名曲。幻想的に展開される店舗はなかなかスリリング。エバンスのリリカルなエッセンスが、しっかり刻まれた高度な演奏である。
本アルバムのマイベスト<ワルツ・フォー・デビイ>


ポートレイト・イン・ジャズ 2002年11月7日
ビル・エバンスのピアノはいつも輝きのあるタッチである。美しい…美しすぎて不満も少しはあるが、やはり素晴らしい。この名盤はよく初心者に勧められたりするが、ちょっと難しい気がする。エバンスのアルバムで、どうせ勧めるのなら私は『ワルツ・フォー・デビー』を勧める。(といってもこちらも結構難しかったりするが…)
本アルバムはピアノトリオである。エバンス・ラファロ・モチアンの3人が対等に向かい合い、対話するような演奏である。特にベースのスコット・ラファロは天才といわれた人物で、最初聴いた時私は、「ベースがこんなに弾いちゃっていいのか?」と、今までベースはリズムをきざむものという概念が崩れていったのを覚えている。夭折してしまったのが誠に惜しい。エバンスのピアノは1音1音がぽろぽろと零れ落ちそうな感じである。
さて演奏曲だが、まず<降っても晴れても>、ウエス・モンゴメリーの『フル・ハウス』でも演奏されているので比較してみたが、同じ曲とは思えないほど音楽の方向性が違う。個人的にはウエスのほうが好きだが、エバンスのピアノのリリカルな響きにもグラッとくるなぁ。
エバンスのオリジナル曲<ペリズ・スコープ>は、和やか楽しのメロディー。
<恋とは何でしょう>は、スインギ−で、ノリのある演奏。
<いつか王子様が>は、テーマからアドリブに入るときの絶妙なリズム感がたまらない。ジャズという音楽に多少慣れてきたら勧めたい1枚。
本アルバムのマイベスト<いつか王子様が>