エリック・ドルフィー

アット・ザ・ファイヴ・スポット Vol.1 2003年1月5日
エリック・ドルフィーは、伝統的なハード・バッパーであると同時に前衛的な側面を持っている特異なジャズマンである。少し聴けば、誰でもその独特な音色の特色がすぐ分かるであろう。妙に甲高かったり、低いドロンとしたフレーズを連発したりと、非常につかみ辛いが、完全にいっちゃってはいない。まだ理性のかけらみたいなものを持っているので、聴くに堪えないことは無いだろう。本作はそんなドルフィーの世界を満喫するのにうってつけのアルバムである。
<ファイアー・ワルツ>
かなりきてます…ドルフィーのソロは、常識では測れないほど広くはばたいている。普通の人が聴いたら耐えられずに逃げてしまうかもしれない(*_*)ブッカー・リトル、マル・ウォルドロンも影響を受けているみたいで、両者とも独創的なソロを展開する。
<ビー・ヴァンプ>
これは比較的聴き易い。ファンキーな刺激と、前衛的な刺激がほどよく溶けあっているような革新的なプレイだ。
<ザ・プロフェット>
ドルフィーのソロが暴走しまくり(~_~;)壮絶な苦しみをすべて吐き出すかのようなプレイは、聴く者の背筋をゾクっと凍らせる。これを大音量で鳴らしたら、確実に近所から苦情がくるだろう…次のブッカー・リトルのプレイも結構変わっているが、それでもドルフィーに比べたらなんと安心なことか。生半可な気持ちでは聴けません。
本アルバムのマイベスト<ビー・ヴァンプ>


ラスト・デイト 2002年11月20日
早い話、ジャケットのよさに惹かれて購入した。スタジオで静かに物思いにふけるドルフィーの絵である。アルバムを開くと、バスクラリネット(たぶん)を携えた横顔のドルフィーの写真など抜群にセンスの良いジャケットだ。36歳という若さでなくなったドルフィー最後のアルバムで、オランダで収録されたものである。ドルフィーは、いわば前衛派ジャズの先駆け的存在であるが、ハード・バップの要素も取り込んだ貴重なジャズマンであった。
<エピストロフィー>
イントロのブロウに驚かされるが、すぐファンキーなメロディーを吹くドルフィー。その後のアドリブはバスクラリネットの出せる音すべてを引き出そうかというような非常に大胆なものである。リズム・セクションは完全にドルフィーのサポートに徹しているかのようだ。
<サウス・ストリート・マグジット>
フルートに転じてアップテンポで吹奏する。
<ザ・マドリグ・スピークス・ザ・パンサー・ウォークス>
今度はアルト・サックスに持ち替えて、馬の嘶きのような奇妙なフレーズを連発する。
それにしても3種類もの楽器を次々と吹きこなすとはたいしたものだ。決して名人芸に終わらず、完全に自分の音楽の世界を作り上げている。そしてアルバムの最後には「音楽は演奏とともに空に消え去ってしまい、二度とそれを取り戻すことはできない。」という意味深な発言が収録されている。
本アルバムのマイベスト<エピストロフィー>