その日の夜は、それぞれ、別の行動をとることになった。
一日寝て過ごしたというイスラさんは、「ちょっくら栄養補給」に出かけることにしたらしい。
だけど、こんな時間にナンパ・・・じゃなくて「栄養補給」なんてできるのかしら。日もとっぷり暮れて、八時を回ってる。
「真夏の別荘地だからね、街中のようにはいかないけど、それなりに皆出歩いてるもんだよ。若い女の子達も」
イスラさんは深夜まで営業しているお店をしっかりチェックしているようだった。抜かりないなぁと、思わず感心してしまう。
栄養補給・・・つまり生気を飲むことは、わたし達にとっては死活問題に繋がるから、自然とそうなるのかもしれないけど。
イスラさんは出かける目的を「栄養補給」と言ったけれど、本当は避難目的なのかもしれない。
化学実験の事故による火災、家屋全壊か半壊するほどの爆発を、一番恐れていたのはイスラさんだったから。
息子のイレクくんの身を心配しているというより、「巻き添えは勘弁」って顔をしてた。
過去に数度、故意ではないにしろ化学実験中に爆発騒ぎを起した張本人のイレクくんはというと、バケツ一杯の防火用水と消火器を持って、二階の北端の客間――そこに寝泊りしているわけなんだけど――へと向かう。
「今回ばかりはさすがに気をつけますよ。ミズカさんに怪我を負わせてしまっては申し訳ありませんから」
イレクくんはわたしの心配を拭おうとして、笑顔を見せる。
「・・・今回に限らず、「いつも」気をつけた方がいいと思うけど・・・」
「そうですね。今回はそう危険な薬品は扱わないので万が一のことは起こらないと思いますが、十分気をつけます、ミズカさん」
イレクくんはにっこり笑う。だからわたしもそれ以上は言えなくて、うやむやに流してしまった。
それはそうと、イレクくん、いったい何を精製するんだろう。
趣味といっても、今回はユエル様からの依頼があって作ることになったのよね?
さりげなく、いったい何をユエル様から依頼されたのか、訊こうとした。けれど、この「さりげなく」というのが我ながら情けないほど下手で、結局は訊きそびれてしまった。
ユエル様のいないところでそれを訊き出すのは、礼を失した行為だ。そう考えて、思いとどまったというとこもある。
――弁えなくちゃと、自戒したばかりなんだもの。
ユエル様を失望させたくない。・・・せめて、嫌われるようなことはしたくない。
だからわたしがイレクくんに言えたのは、「くれぐれも気をつけてね」という、繰り返されたその一言だけだった。
イレクくんが部屋にこもってすぐ、アリアさんがエントランスホールに降りてきた。昼間とはがらりと雰囲気が変わっている。
長い金髪をぴっちりと後頭部にまとめ上げ、グレイのスーツに身を包んでいた。
白いブラウスの隙間から見える白珠の肌とタイトスカートから伸びる脚線美が、目を釘付けにさせる。けれど下卑た感はまったくなく、一流企業のトップに立つバリバリのキャリアウーマンみたいだ。胸元と耳、指に光っている透明な石はきっとダイアモンドだろう。
美女は何を着ても、美女然としてるなぁ・・・。
ユエル様もそうだけど、立ち居振る舞いからして違う。
ええっと、『立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花』だっけ。その言葉がぴったりとくる。
匂いたつような華やぎがある。
卓越した美人って、目の保養になるけれど、心臓には悪い・・・かも。毎日見ていても、ユエル様の綽約とした仕草や目映いばかりの美貌には、未だに胸が鳴るもの。動悸、息切れ、あと眩暈もするから、頭にも良くないかもしれない。
わたしの視線に気がつき、アリアさんは優艶と微笑む。そしておっとりとした声で、わたしの名を口にするのだ。その場に跪き、両手を組んで、お祈りしたくなっちゃう。
アリアさんは階段を下りてすぐ、わたしの横にいるイスラさんに目をやった。
「あら、イスラ、あんたも出かけるの?」
イスラさんはアリアさんの美貌に見惚れるでもなく、平常に応える。
「あぁ、まーね。アリアも出かけんの?」
「ちょっと下見と根回しを兼ねてね。それと、ついでに食事もよ」
アリアさんが言う「食事」とは、イスラさんが言うところの「栄養補給」だ。
・・・だけど、下見と根回しってなんだろう?
わたしは小首を傾げた。
「それでスーツかよ。足に拳銃でも仕込んでそうだな」
「あいにく拳銃もナイフも手榴弾も仕込んでないわ。あたしは平和主義だもの」
アリアさんは不敵に、そして悪戯な女神の如く艶然と笑んでみせる。
拳銃だの手榴弾だの、不穏な単語を二人はさらりと口にする。けど、違和感なくて、実際持ってても不思議じゃないような口ぶりだ。もちろん持ってはいない・・・はずだけど。
でも、「女スパイ」って雰囲気も、あるにはあるアリアさんだ。ガーターベルトに拳銃が・・・って、つい思い浮かべてしまった。想像しただけでも、悩殺確定です、アリアさん。
一方、イスラさんは着慣れた風な軽装だ。ジーンズにTシャツ、その上にブルゾンを羽織っている。イスラさんはカジュアルなスタイルが好きらしい。気さくなイスラさんに似合った格好だと思う。
ユエル様やアリアさんとは違って、イスラさんの場合、「美しい」というより「ハンサム」って形容が合う。ええっと、現代だと、「イケメン」とか言うんだっけ。
外見的に言うなら、ユエル様より年少に見えるけど、本当はどうなんだろう。あまりかわらないのかな?
年の差三十歳・・・と言われたとしても、三十歳くらいなら「たいした違いじゃない」って言われそう。
こうした時間感覚には、まだちょっと慣れない。
わたしにしたって、ごく普通に生きていたなら「おばあちゃん」な年齢のはず。というか、生きていられるぎりぎりの年齢ってとこだろう。そう思うとやっぱり不思議で、「人間以外」の存在なんだなぁって戸惑いながらも、実感してしまう。
でも、それを辛いとか悲しいとか嫌だとか思ったことはなかった。ただ慣れないだけ。
どうしてかな。
ユエル様が傍にいてくれるからなの・・・かな。
わたしのこと気遣ってくれて、わたしのこと守ってくれて、わたしのこと唯の「ミズカ」として見てくれて・・・・・・
「ミズカちゃん?」
「はっ、はいっ!?」
アリアさんに顔を覗き込まれ、わたしは敬礼するかのように大慌てで背筋を伸ばし、顔を上げた。
いけない、いけない。またぼーっとしてしまった。
「ミズカちゃん、あたし達出かけるけど、・・・平気?」
「はいっ、大丈夫ですっ」
「そう?」
アリアさんは優しげな青色の瞳を心配そうに曇らせ、わたしの顔を窺ってくる。わたしはもう一度「大丈夫です」と、笑って応えた。
「なるべく早く戻るつもりではいるけど、もしかしたら朝までかかっちゃうかもしれないわ」
アリアさんは昼間出かけた時とは違って、面倒くさげな様子だった。たまっている仕事を片付けに行く。そんな感じだ。
「あぁ、そうだわ」
アリアさんは人差し指を軽く顎にあて、視線だけをイスラさんに向けた。
「この際だわ。イスラにも手伝ってもらいましょうか」
「唐突な申し出だな」
イスラさんは片眉を僅かに上げた。
「どうせ今から食事に行くところだったんでしょ? ついでよ、ついで。その方が事も早く済むし。それにミズカちゃんのためよ。ね?」
イスラさんは頭を掻き、「ま、いっか」と呟いて、付き合うことを承諾した。
「ユエルに恩を売っておくいい機会だしな」
「それ、本人の前では言わないようにね。ユエルをからかいたくなる気持ちはわかるけど、今はやめといた方が賢明よ?」
「まーなぁ。ほんとあいつ余裕ねーし。けどケツ叩かねーと、期限切れになりかねないぜ?」
「大丈夫よ。余裕ないってことは、ちゃんと焦ってるってことでしょ」
「それもそうか。けどあいつがこうもグズグズするとは、ちと予想外だったな」
「本気だからこそよ。それ以外にも、そうならざるを得なかった原因はあるんだけど。期限付きでかえってよかったと思うわ」
「言えてるな」
わたしはアリアさんとイスラさんのやりとりを、小首を傾げて聞いていた。話の内容はちっともわからなかったけれど、一つだけ、気になる言葉があった。
「期限」――それに、「期間」って、なんだろう。
その言葉を、何度も聞いた。
眷族の存在理由を聞いた時、アリアさんの亡くなった旦那様の話を聞いた時、ユエル様とイスラさんの話を立ち聞きしてしまった時――・・・。
アリアさんが言ってた。
「眷族を持てる期間は決まってる」って。その期間を過ぎると、眷族は持てなくなるって、言ってた。
今まで聞きかじったそれらを要約すると、・・・・・・ユエル様の「眷族を持てる期間」がじきに終わる、ということなのかな?
それが、何なのだろう。
何かとても大切な・・・重要なことのように聞こえる。今のアリアさんとイスラさんの会話からは、少なくともそう感じられた。
「ミズカちゃん」
わたしはきっと不安そうな顔をしていたのだろう。
アリアさんはわたしのほうに向き直り、「大丈夫よ」と言って笑いかけてくれた。
「あたし達がいるわ。だからそんな顔しないで? ね?」
「いえ、あのわたし・・・っ」
また要らぬ心配をかけてしまった。
どうしてこうわたしって、すぐに気持ちを顔に出しちゃうんだろう。昔は・・・ユエル様に会うまでは、そんなことなかったのに。
がっくりと肩を落とし、ため息をつく。
――・・・と、いけない。こういう「ため息」がまた余計な心配をかけちゃうんだ!
わたしは軽く頭を振って、ため息を散らした。
「ミズカちゃん」
イスラさんが、やにわにわたしの手を取った。
「は、はい?」
イスラさんは黄みのかかった茶色の瞳でわたしをじっと見つめ、両手を包み込むようにして握る。
「俺がいない間淋しいと思うけど、なるべく早く戻ってくるから、我慢しててね、ミズカちゃん」
「・・・はぁ」
「俺もミズカちゃんの傍にいたいんだけど、これもミズカちゃんのためだから」
「え? あの、わたしのためって・・・」
イスラさんが顔を迫らせてくる。わたしは身を引こうとするのだけど、がっちりと手を掴まれてしまっていて、背中を反らすのが精一杯だ。
「うん。一肌も二肌も脱ぐよ、ミズカちゃんのためなら!」
顔、近すぎです! イスラさんの前髪が、額にかかるんですけど!
な、なんですか、この体勢はっ?!
「あの、ちょっ・・・イスラさんっ?!」
ひえぇっ! と情けない声を上げそうになったその時だった。
「放せ、イスラ」
わたしの肩を、突如足音もなく現れたユエル様が掴み、引き寄せた。
「ミズカ」
「ユ、ユエル様」
肩越しに振り返り、ユエル様の端正な顔を仰ぎ見る。突然な登場に鼓動は跳ねたけど、安堵もした。
「こういう時にこそ平手打ちなり肘鉄なり、思いきり食らわせてやればいいんだよ、ミズカ」
「や、その、ユエル様っ。あれはですね、わざとやろうと思ってできるもんじゃないんですけど」
恥ずかしさのあまり、顔が赤くなる。
ユエル様の顔が近いせいも、・・・あるけれど。
「あれは、事故というか、とっさというか、うっかりというか、無意識的なことなのでっ」
「ならば、これからは意識して殴るようにしなさい。できればもっと、力を入れて」
「そ、そんな、できませんよっ!」
「――イスラ、いつまで掴んでる。放せ。気安くミズカの手を握るな」
わたしの手を握ったままでいたイスラさんだったけど、ユエル様に鋭く睨みつけられ、ようやく放してくれた。
「おー、こわっ」
ちっとも怖いなんて思ってないイスラさんは、おどけて笑い、わざとらしく両肩をあげる。
「出かけるのなら、さっさと行け。帰ってこなくてもいい」
ユエル様の不機嫌指数は、うなぎのぼりだ。冷然とした口調で、イスラさんを突き放す。
けれど、イスラさんはまったく意に介さない。
「ギスギスしちゃって、やだねぇ。余裕のない男はモテないぜ、ユエル?」
それどころか、さらに煽ってる。いじめっ子の心理なのかもしれないけれど、ユエル様みたいな気位の高い人にそれをしちゃぁ、ますます嫌われるだけなんじゃないかしら。
横から見ているわたしの方が、ハラハラしてしまう。
心配顔のわたしを見かねてのことだろう。アリアさんが口を挟んでくれた。
「もう、イスラ! さっき言ったばかりでしょ? ちょっとは空気を読みなさい」
アリアさんに襟首を引っ張られ、イスラさんは首根っこを掴みあげられた仔猫みたいに身を丸くした。
「まったく、しょうがないわねぇ」
アリアさんは大きく息をつき、ユエル様に顔を向けた。
「ユエル、あたし達出かけるけど、大丈夫ね?」
「ああ」
ユエル様はため息まじりに応えた。
窘められたのはイスラさんなのだけど、まるで一緒に叱られたかのような渋い顔をしてる。
「大丈夫だ、アリア」
そう言って、ユエル様はまたため息をつく。
わたしの肩を掴んだままでいるから、声が近いし、ため息が耳にかかって、鳥肌がたってしまった。
「それじゃ、行ってくるわね、ユエル。ミズカちゃん、今日は疲れたでしょう? ゆっくり休んでね」
アリアさんはにっこり笑いかける。
優しさにあふれた微笑に、胸がきゅぅと痛くなる。鼻の奥が少しツンとする。でも、苦しいわけじゃない。
「気をつけて行ってきてください」
どこへ行くのかは訊けなかったけれど、ただ生気を飲みに行くだけではない気がした。訊けば、きっとアリアさんやイスラさんを困らせてしまうだろう。それに、あれやこれやと追求するのは無作法だ。わたしがしていいことでもない。
わたしにできるのは、「いってらっしゃい」と声をかけるだけ。そして、帰りを待つことだけ。
「ありがと、ミズカちゃん。ほら、イスラ、行くわよ」
「へーへー。そんじゃね、ミズカちゃん。すぐ戻ってくるからね〜」
イスラさんはにこやかに手を振る。アリアさんに引っ張られつつも、名残惜しそうに手を振り続けた。
わたしは笑顔でアリアさんとイスラさんを送り出したのだけど、ユエル様は憮然とした顔をしていた。玄関ドアが閉まるまでは。
ひときわ大きなため息がユエル様の口からこぼれ出たと同時に、わたしの肩から重みか消えた。
「まったく、いつまでたっても騒がしいな、あいつは」
振り返り、そこに見たユエル様の顔は、苦虫を大量に噛み潰したような渋面だった。けれど、冷たくも刺々しくもない。
「賑やかで楽しい方ですね、イスラさんって」
つい、口元をほころばせてしまった。
「賑やかにも程がある。ミズカ、イスラをあまり甘やかさないように」
「・・・はい」
笑いを堪えて、頷いた。
イスラさんって、ユエル様を逆撫でるようなことを言ったりもするけど、雰囲気を和らげるのが上手だ。
それがイスラさんの持ち味だって、ユエル様もきっと分かってるんだと思う。
「ミズカ」
「はい」
ユエル様の柳眉がわずかにしかめられている。失笑を堪えているわたしを窘めようとし、やめたみたいだ。
やれやれと肩を落とし、諦めたかのようなため息をついた。
「今日は疲れたろう、ミズカ。早く休んだ方がいい」
「はい」
「私も何やらどっと疲れたよ」
「あ、じゃぁ、お風呂の支度しますね。疲れたときはゆっくりお風呂につかるのにかぎります」
今、わたし達が仮住まいにしている屋敷は、造られてからの年数はかなり経っていて古いのだけど、設備は新しく充実している。
浴槽に湯をはるのも、ボタンひとつ押すだけ。だから支度をするといったって、浴槽に蓋をするとか、タオルを用意するとか、そんな程度だ。
「他、何かご用はありませんか、ユエル様? 早く休ませてもらうことにしますから、その前にできることがあれば、しておきます」
わたしがそう訊くと、ユエル様は笑みを浮かべた。小悪魔的なそれは、鼓動を速める促進剤だ。つい、身構えてしまう。構えたところで、まったく防御できないんだけど。
「・・・そうだな。それじゃぁミズカ」
ユエル様は目を細め、軽く握ったこぶしを口元に当てる。含み笑いをごまかしてるようだけど、ちっとも隠しきれてませんよ、ユエル様。
こういう顔する時って、わたしをからかう時だ。
分かってるのに。じゅうじゅう分かってるのに!
「ミズカに、背中でも流してもらおうかな」
と言われて、顔どころか、耳まで真っ赤になったわたしだ。
「なっ、何言い出すんですか、いきなり! でっ、できません、そんなこと!」
頭から湯気が出そうな勢いで慌てふためくわたしを、ユエル様は楽しそうに眺めている。
「いや、そうすればミズカも一緒に風呂に入れるし、私も自分で身体を洗う手間が省けるから、一石二鳥かな、と」
「そっ、そういうのは一石二鳥って言いません! というか、ご自分の身体を洗う手間くらいは惜しまないでくださいっ!」
「ミズカがそう言うのなら、致し方ないね。まあ、無理強いは好きではないし、一人で入るとするよ」
「そうしてくださいっ」
わたしがむくれてみたところで、ユエル様はその反応すら面白がってる。
はじめっから冗談だと分かっているのに、軽く受け流せないのが口惜しい!
けど、ユエル様ってめんどくさがりなところがあるから、「自分の身体を洗うのが面倒」というのは本心だ。そのくせお風呂好きなのよね。わたしの三倍くらいの長さの入浴時間だもの。
何をしてるのか訊いたことがあるけど、本を読んでいたり、寝ていたりするらしい。
のぼせないのが不思議。体内に冷却装置でも備わってるんだろうか。
「それじゃ用意しておきますから。お疲れなようですし、入浴剤はローズマリーのバスソルトでいいですか?」
「そうだね。それでお願いしようか」
ユエル様はまだくすくす笑っている。
もうっ、いいかげんその艶っぽい微笑はしまってくださいってば!
・・・だけど、よかった。
ユエル様の冗談を上手くかわせないのは口惜しかったけど、ほっとした。
気になることはたくさんあるけれど、それよりもこうしてユエル様に笑っていてもらうことの方が、わたしにとっては何よりも大切なことだ。
ユエル様に、笑っていてほしい。
傍にいて、その笑顔をずっと見ていたい。
だから・・・疑問に蓋をしておけばいい。目を、瞑っていればいい。
でも・・・――
わたしは、ばかだ。
自分のことばかりに気を取られて、見逃してしまったのだ。
笑うユエル様の顔色が、ほんの僅かだったけれど、蒼ざめていたことを。