1:その瞳に映る存在
2:愛を伝える体温
3:盗むようなキス
4:飛び込んできた天使
5:受け止めた体温
6:答えてくれる幸福
7:同じ夢を見る夜に
8:何よりも甘い涙
9:特別な微笑み
10:37℃(微熱)
11:子猫のようにじゃれついて
12:真っ赤な頬の理由
13:愛を伝えるための震え
14:拗ねた背中
15:砂糖菓子
魔女と王子の甘っぷりを、「100文字以内」で表現してみよう!!
1:その瞳に映る存在
「照れくさいから、そういう台詞は言わないでくださいっ、王子」
真っ赤になってキラは文句を言う。真っ直ぐに向けられるその瞳こそが、
「そういう台詞」を言わせるのだけどね。瞳の中、セレンは笑っている。
〈96文字〉
2:愛を伝える体温
想いを伝えるのに、言葉はあまりに不自由だ。
だから、戸惑わせるほど、抱きしめていよう。長い黒絹の髪を指に絡ませて、口づける。
耳まで赤いなんてからかったりはしないから。もう少し、このまま。
〈92文字〉
3:盗むようなキス
左手の中指に切傷をつくった王子に、魔女特性の薬を使ってみる。気恥ずかしいから素早く、
軽く。
「ありがとう、魔女殿」そう言ってすぐに、同じ所に王子は唇を落とす。
・・・王子を照れさせるなんて、やっぱり無理。
〈100文字〉
4:飛び込んできた天使
庭園で見つけたそれは、灰白色の風きり羽だ。日にかざしてそれを見る少女の背に翼はないが、いつ飛び立ってしまうかわからない。
鳥籠に閉じ込めてしまいたい。そう言ったら君は困るだろうか。笑うだろうか・・・。
〈98文字〉
5:受け止めた体温
セレンに抱かれたまま、少女は安らいで眠っている。
少女の胸元に幾つかの鬱血痕がある。
華奢な身体につけた情熱の「痕」をすまなく思う一方で、消したくない衝動にも駆られる。
セレンの全てを、少女は未だ知らない。
〈100文字〉
6:答えてくれる幸福
王子が甘やかに囁く。
「こういう時は、名前で呼ぶものだよ」
互いの肌で、互いを温めあう夜。腕の中、キラはまだ震えている。
キラは、応える。
「・・・セレン」
ためらいがちに、王子を見つめて。
〈90文字〉
7:同じ夢を見る夜に
秋宵、セレンの悩み事といえば、いかにして恋人を森の舘に帰らせないかだ。
しかし森の魔女は、
「今夜、王子とは夢で逢えますよ」と言って、あっさり帰ってしまうのだ。
魔女殿の予言は、当たるのだけど。
〈94文字〉
8:何よりも甘い涙
気遣いながら愛撫を重ね、秘密の名を呼ぶ。
恥じらいととまどいが、少女の瞳を潤ませていた。
瞼、頬、そして首筋へ、涙を辿るように、セレンの唇が伝う。
甘い吐息と涙が、キラからの誕生日の「贈り物」となった。
〈98文字〉 翌朝小話 「晴れた朝に」
9:特別な微笑み
薄暮の光の中、母の墓前で静かに佇んでいる王子を見つけた少女は、声をかけるのを止め、立ち去ろうと踵を返した。
「キラ、来て。こちらへ」
王子は手を差し伸べた。切なげな優しい笑みを、少女に向けて。
〈94文字〉
10:37℃(微熱)
すぐ傍に王子の顔がある。しかも、腕枕なんかしてもらってて。
そして大抵王子は先に起きていて、こちらを見ているのだ。
王子は艶然と微笑んで、「お早う」を言う。
そんな朝は、平熱でなんかいられない。
〈94文字〉
11:子猫のようにじゃれついて
長い髪は手入れも大変だね。そう言って少女の髪を梳いていた王子だったが、突然、
顔をその髪に埋め、抱きしめた。
「ちょっ、王子っ!」
くるくると髪を玩ぶ王子の気まぐれさに、少女はいつもドキマギさせられるのだ。
〈100文字〉
12:真っ赤な頬の理由
朝食の並んだ食卓で、二代目の魔女はぼんやりと頬杖をついている。
リフレナスはにやついて主をからかった。
「ここのところ寝不足だな?」
王子の屋敷へ行った翌日は、必ず。
主の頬がさらに紅くなって、笑みを誘った。
〈100文字〉
13:愛を伝えるための震え
やや唐突に、王子がきり出した。
「王都へ、一緒に来てほしいのだが」
仕事のお供ですかなどと、少女は無頓着に訊き返してきた。王子は答える。
「会わせたい人がいるんだけどね」
少女の手を取ると、少し、震えていた。
〈100文字〉
14:拗ねた背中
愛想のいい王子は、誰に対してもにこやかだ。町の女の子達にも。
キラは大きくため息をついて歩みを速めた。
「拗ねないで、キラ」「拗ねてなんかないです」「じゃ、やきもちかな」「・・・」
またしても、キラの負け。
〈100文字〉
15:砂糖菓子
激甘の飴玉を「惚れ薬」だと言って、セレンの口に入れた。
キラのささやかな仕返しらしい。セレンは笑み、仕返しの仕返しをした。
飴玉を口移しに、キラの舌に乗せて。
なるほど。効果絶大の「惚れ薬」に違いない。
〈98文字〉