事故・災害事例を分析すると発生の原因としては、大きく分けると「不安全行動」「不安全状態」「安全管理上の不備」の3つに分類されます。
発生原因の90%は、近道行為や省略行為など「不安全行動」によるものであると言われています。
このヒューマンエラーは「エラー発生要素」と言われる心理的落ち込み状態で発生しています。この状態になるには「エラー要因」と言われる集中力欠如や確認不足などの動機づけが考えられます。
以上、「エラー要因」→「エラー発生要素」→「ヒューマンエラー」は事故災害の発生原因と考えられがちでありますが、これは人間の「不注意」による結果であって発生原因ではありません。
災害の真の原因は「エラー誘発要因」と言われるもので「多忙・疲労」「教育・知識不足」「設備・環境不備」「自惚れ・なれ」「性格不良」「周知徹底不足」「高齢化」などに起因しています。
この真の原因であるエラー誘発要因を分析すると人間の「邪心」と言われる「怠る心」「怒る心」「威張る心」「焦る心」「腐る心」「迷う心」が深く関わっていることが分かります。また、この邪心は欲望、不満、焦りなど「精神的動揺」によって起こることも明白であります。
この精神的動揺は感情をコントロールできない「メンタル面」の弱さにあると思います。この状態になると人間は否定的な考え方をするようになり、穏やかな気持になれないで「ミス」を犯すことになります。
従って、真の要因は「エラー誘発要因」→「邪心」→「精神的動揺」→「メンタル面」の弱さという図式になります。
エラー要因(動機づけ)
集中力欠如;集中できない、気力・体力消耗、意識の低下、心身の疲労・負担
確認不足 ;見にくい、聞き取りにくい、情報不足、注意の分散、推測
不安全行為;行為の制約、動作の自由制約、扱いにくい、気の緩み、慣れ
緊張過多 身体硬直、混乱、焦り、苛立ち、緊張感持続・過多
エラー発生要素(心理的落ち込み状態)
うっかり・ぼんやり、意欲・気力の減退、忘却、思い込み、先入観、習慣、無理な推測、一点集中思考、 早合点、短絡的発想、楽天的発想、錯覚、反応・対応の遅れ、動作の自由がきかない、識別不能、無理・乱暴な行為、余計な行為、条件反射、本能的行為
怠るこころ うっかり、横着、思い込む、確認不足、手抜きする エラー誘発要因(真の原因) 多忙・疲労 ;作業量に比べ作業員が少なく忙しい (怒る心)
身体機能反応度;腐る心 「ついていけなかった」
錯覚・錯誤 ;怠る心 「うっかり・ぼんやりした」
懸命 ;焦る心 「他の事は考えなかった」
思い込み ;怠る心 「・・するはずがない」
確認不足 ;怠る心 「何度もやった作業だ」
慣れ ;威張る心「慣れた得意な作業だ」
性格不良、過信;威張る心「自分だけは大丈夫だ」
怠慢 近道行為;焦る心 「急がなくては」
省略行為;怠る心 「めんどうくさい

怒るこころ カッカする、忙しい、教育不足、興奮する、ケンカする
威張るこころ;軽視する、自惚れる、我を通す、過信する、慣れる
焦るこころ 無理する、イライラする、欲張る、緊張する、慌てる
腐るこころ ヤケになる、機能低下、コセコセする、錯覚する、放心する
迷うこころ クヨクヨする、不安がる、忘れる、心配する、ケチケチする
高齢化 ;高齢者の身体機能が遅い (腐る心)
教育・知識不足;作業に対する経験や知識が少ない (怒る心)
設備・環境不備;無理な姿勢での作業をやらねばならない (腐る心)
自惚れ・慣れ ;経験に頼りすぎ他人の意見を聞かない (威張る心)
性格不良 ;落着きがなく危険性を正しく判断できない(焦る心)
安全意識の欠如;気まぐれで指示・注意や規定を無視する (怠る心)
周知徹底不足 ;指示や命令が直接伝達しにくい経緯がある(迷う心)
直接・間接的原因
精神的動揺
欲望 ;焦る心 (コセコセ)
不満 ;腐る心 (カッカ)
反抗、不和;怒る心 (ケンカ)
上調子 ;怠る心 (うわのそら)
不安 ;迷う心 (クヨクヨ)
無知 ;腐る心 (しらない)
焦燥 ;焦る心 (イライラ)
放心、失念;怠る心 (ウッカリ・ボンヤリ)
上記の要因が複合的に関連しあって下記の直接的な
災害発生の原因である管理的原因、物的原因、人的原因につながっています。
管理的原因(安全管理体制の不備)[管理上不備]
●安全管理組織の欠陥
1.安全衛生委員会の未開催
2.安全衛生管理者等の
任命と職務
●規定、基準の不備
1.作業手順書の不備
2.社内規定、社内基準の不備
●安全教育の不備
1.安全知識の欠如
2.安全研修の不備
3.安全研修未受講
4.請負業者に対する指導の欠如
●設備管理の不備
1.図面、台帳、連絡標の不備
2.保守点検体制の不備
●工器具類管理の欠陥
1.台帳類の不備
2.点検整備体制の不備
●監督・監視上の欠陥
1.TBMの実施不十分
2.作業配分の不適切
3.作業区域の不徹底
4.指定外作業の実施
5.予定外作業の実施
6.作業指定の不適切
7.相互連絡の不十分
8.安全運動、活動の未実施
●適正配置の不備
●人事管理の不備
●工法の欠陥
●安全対策実施の遅延
●周知徹底の不足
●コミュニケーション不足
物的原因
(知識・能力の不足)
[不安全状態]
●機械・施設の欠陥
1.構造の欠陥
2.装置の欠陥
3.自然劣化
4.安全距離不足
5.絶縁不良
6.充電部露出
7.作業環境の欠陥
8.滑りやすい、躓きやすい床
9.足場弱体、手摺不良
●警戒設備の欠陥
1.標識、施錠不良
2.警戒区域不明瞭
●保護具服装の欠陥
●設備・装置の欠陥
●工具・材料の欠陥
●整理整頓の欠陥
人的原因
(態度・適正の不良)
[不安全行動]
●点検・整備の不良
1.安全装置の点検修理
2.機械装置の点検修理
3.電気装置の点検修理
4.加圧容器の点検修理
●作業方法の不良
1.安全確認不足
2.作業手順の誤り
3.手抜き
4.機械装置の誤動作
5.危険物取り扱いの誤り
●作業動作の不良
1.作業位置不適切
2.姿勢の不適切
3.昇降動作不適切
4.移動動作不適切
5.不用意な手出し
6.飛び入り、飛び出し
7.飛び降り、飛び乗り
8.速度違反
●安全装置等使用不適切
1.安全装置、防護装置不使用
2.欠陥機械、装置、工具の使用
3.安全装置、防護装置不足
4.機械装置等選択不適当
5.機械装置等操作不適当
●機器材料工具整理不良
●作業服装の着用不良
●保護具類の準備不足
●共同作業の不備
●作業規律の不備
●不安全状態の放置
●安全措置の不履行
●危険場所への接近
●その他不安全な行動
●その他の要因
上記、要因、原因により事故・災害の発生に至る。
事故・災害の発生