教会月報「ともづな」 2017年6月号

「恵みからスタート」

                       熱田教会牧師  小林 光

 では、肉によるわたしたちの先祖アブラハムは何を得たと言うべきでしょうか。もし、彼が行いによって義とされたのであれば、誇ってもよいが、神の前ではそれはできません。聖書には何と書いてありますか。「アブラハムは神を信じた。それが、彼の義と認められた」とあります。ところで、働く者に対する報酬は恵みではなく、当然支払われるべきものと見なされています。しかし、不信心な者を義とされる方を信じる人は、働きがなくても、その信仰が義と認められます。

(ローマの信徒への手紙第4章1〜5節)

 

 神がわたしたちの父アブラハムを義とされたのは、息子のイサクを祭壇の上に献げるという行いによってではなかったですか。アブラハムの信仰がその行いと共に働き、信仰が行いによって完成され

たことが、これで分かるでしょう。「アブラハムは神を信じた。それが、彼の義と認められた」という聖書の言葉が実現し、彼は神の友と呼ばれたのです。これであなたがたも分かるように、人は行いによって義とされるのであって、信仰だけによるのではありません。

(ヤコブの手紙第2章21〜24節)

 

一、パウロの主張

 伝道者パウロはローマの信徒に対して、どのような人でも、ただキリストを信じる信仰によって、神さまから義と認められることを伝えました。これを「信仰義認」と言います。義認とは、神さまからそれでよし、OKと認めていただくことです。

 もし、わたしたちの行いによって神さまから義と認められるならば、自分の行いを誇るようになる。

「どうだ、すごいだろう」と自慢するようになる。しかし、「神の前ではそれはできません」とパウロはきっぱりと言うのです。

 その根拠は、創世記第15に記されているアブラハムの信仰です。アブラハムとサラ夫妻には子どもがいませんでした。彼は老年になり諦めていました。その彼を神さまは外に連れ出して「天を仰いで、星を数えることができるなら、数えてみるがよい。あなたの子孫はこのようになる」と言われました。その時に、「アブラハムは神を信じた。それが、彼の義と認められた」(第15章6節)のです。行い(働き)によるのではなく、信仰によって義とされたのです。

 

二、ヤコブの主張

 この「信仰義認」と真っ向から対立するのが、ヤコブの手紙に記されている、「人は行いによって義とされるのであって、信仰だけによるのではありません」という言葉です。しかも、同じアブラハムを引き合いに出して、最愛の息子イサクを祭壇の上に献げるという行い(創世記 第22章)に根拠を置いています。

 わたしたちが神さまから義と認められるのは、信仰によるのか、それとも行いによるのか、二者択一で考えると迷路に入り込みます。

 

三、恵みからスタート

 パウロの言う「信仰義認」を歪曲して、「行為なんてどうでもいいんだ」と、頭だけの信仰に陥る人々に対して、ヤコブは「ちょっと待った」とブレーキをかけたとも受け取れます。

 しかし、ここで大切なことは、信仰にしても、行いにしても恵みからスタートするという点です。恵みとは、ただで頂く贈り物(プレゼント)のことです。「まさか、このわたしに」というサプライズです。これだけ熱心に信じたからとか、これだけの事を行ったから当然頂く、となれば、それは恵みではなく、報酬です。そもそも自分の力で信じる、自分の力で行える、と思うところに問題があります。信じることも行うこともできるのは、聖霊の働きがあったからです。自分の力や働きを中心にするならば、信仰も行いも恵みではなくなってしまいます。

 聖霊によって信じさせていただいた、行わせていただいた、と恵みとして受け取る時にのみ、正しく「信仰義認」をとらえることができます。

「恵」という漢字は、「十」と「思」からできています。イエス・キリストの十字架の赦しを思うことからスタートいたしましょう。


教会の主な歩み

2017年5月16日(火) 幼稚園遠足(名城公園)
21日(日) 礼拝説教 「神は真実な方」 ローマ3章1〜8節
求道者会
墓前礼拝(熱田教会八事墓所)納骨
28日(日) 「花の日・子どもの日」合同礼拝
 説教 「からだとこころのたべもの」 マタイ6章9〜13節
花を持って病床の兄姉慰問
夕礼拝説教 「御言葉の種を蒔き続けよう」 マタイ13章1〜9
 証し 「熱田教会と在日大韓基督教会とのつながり」 加藤久雄先生
 特別讃美:YEAN Church(Choi kyu sub 牧師)
 通訳&特別讃美:金珠実姉
持ち寄り愛餐会
6月1日(木) 親子教室「とんとん」遠足(白鳥公園)
4日(日) 聖霊降臨主日聖餐礼拝
 説教 「十字架のキリストを仰ぐ」 ローマ3章9〜26節
 受洗者:1名
 受洗者歓迎会
礼拝受付担当者会・CSスタッフ会・めぐみ会
11日(日) 礼拝説教 「信仰の法則」 ローマ3章27〜31節
定例役員会
12日(月) ともづな編集委員会

 

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