教会月報「ともづな」 2016年1月号

「天に愛という宝を貯えて」

                       熱田教会牧師 小林 光

 

 わたしは、他人の金銀や衣服をむさぼったことはありません。ご存じのとおり、わたしはこの手で、わたし自身の生活のためにも、共にいた人々のためにも働いたのです。あなたがたもこのように働いて弱い者を助けるように、また、主イエス御自身が「受けるよりは与える方が幸いである」と言われた言葉を思い出すようにと、わたしはいつも身をもって示してきました。

(使徒言行録 第20章33〜35節)

 

 私たちの人生には、その後の人生に大きな影響を与える「出会い」が必ずあります。

 町田隆哉兄にとりまして、その1回目は、高校生の時に1冊の聖書に出会い、やがて教会へと導かれたことです。2回目は、人生のパートナーである玲子姉との出会いです。そして3回目が留学中にニックアルト兄と出会ったことで

した。

 このニックアルト兄との出会いを自分史(2002年8月発行)の中で次のように記しておられます。

「ボストンへ赴く途中に、名古屋学院中高との姉妹校、ロスアンゼルスのグラナダヒルズ高校を訪問することができました。その時に大変お世話になった教頭先生ニックアルトさんのことを今でも忘れることは出来ません。彼の生き方とその人生観が、私のその後のキリスト者としての生き方を育ててくれたからです。彼は、貧乏留学生の私をディズニーランドやその他の観光名所に案内してくれ、私がその費用を払おうとすると、『そのお金は私へではなく、他の人のためにつかって下さい』と言って受け取らなかったのです。この言葉は、その後の私の人生に大きな影響を与えたことは確かです。私たち夫婦が、その後、面識のない多くの留学生や外国人を自宅に泊めたりしてきたその原点は、この愛に満ちた彼の言葉にあったと思われてなりません。」

 キリスト者として、イエス・キリストの言葉をそのまま実践しているニックアルト兄の生き方はまさに、人に与える人生です。与えて自分に報いを得ず、与えられた人が与える人になっていくという、その生き方が町田隆哉兄の心を強く打ったのです。そのことを自分史の中で更に深めて、このように記しておられます。

 「この世には本当は価値のない偽物が多い。ダイアモンドとよく似たジルコン、人造大理石、人工イクラ、人造トリフ等。中には専門家でも見分けのつかないものさえある。この世では、お金には絶対的な価値があるとされている向きもあるけれども、私たちの属している本国(天)における宝は、お金ではない。それは愛である。私たちは、金持ちの青年に主イエスが言われたように、この世における生活の中で、天に愛という宝を貯えているかを絶えず問われている。」

 町田隆哉兄がニックアルト兄から受けたものはお金以上のもの、愛だったのです。ニックアルト兄の愛を受けて、自分も人を愛する生き方をしようと喜んで決意されたのです。多くの留学生や外国人への思いやり、そして無料で聖書を道行く人や学校、病院へ贈呈する「日本国際ギデオン協会」でのご夫妻の働きは、その証しです。

 町田隆哉兄は2015年12月9日(水)午前2時49分に84年間の地上での生涯を全うされました。その人生には、ご苦労も多かったと思います。特に晩年の病は私たちの想像を絶するほどの苦難だったことでしょう。しかし、いつも玲子姉と共に祈り、賛美し、聖書の御言葉に支えられ、御言葉に生き、生かされた人生でした。祈祷会と礼拝を何よりも大切にされました。最期の礼拝は9月23日(水)に熱田教会の会堂で、車椅子で守られた平日礼拝でした。

 「主イエス御自身が『受けるよりは与える方が幸いである』と言われた言葉を思い出すようにとわたしはいつも身をもって示してきました。」(35節)

 十字架において、ご自分の命さえも惜しみなく、私たちに与え尽くしてくださった主イエス・キリストが、今、天の御国で町田隆哉兄を「良い忠実なしもべよ」と呼び、迎えてくださっていることを心から信じます。玲子姉を始めご遺族の上に主の平安を祈ります。

(2015年12月10日、前夜式)


教会の主な歩み

2015年12月19日(土) クリスマス祝会準備
20日(日) クリスマス主日聖餐礼拝
 説教 「主よ、来てください」 黙示録22章6〜21節
 入会者 2名
 転入会者 1名
 入会者・転入会者歓迎会
クリスマス祝会
CSクリスマス礼拝・祝会
21日(月) 幼稚園第2学期終了
24日(木) 燭火礼拝準備(16時)
クリスマス燭火礼拝(18時半)
 説教 「わたしはあなたを忘れない」
 イザヤ49章15節b〜16節a、マタイ1章23節
キャロリング(20時)
27日(日) 歳晩主日礼拝
 説教 「人知を越えた神の御計画」
 エレミヤ29章10〜14節、ローマ8章28節
クリスマス委員会
夕礼拝説教 「一羽の雀さえも」 マタイ10章26〜31節
2016年1月1日(金) 新年早天祈祷会
3日(日) 新年主日聖餐礼拝
 説教 「私と家族の救い」 使徒言行録16章16〜34節
8日(金) 幼稚園第3学期開始
10日(日) 礼拝説教 「乳飲み子を招く主イエス」 ルカ18章15〜17節
定例役員会
CSスタッフ研修会(15時からO家ログハウス)
 「教会学校のスタッフとして」
12日(火) ともづな編集委員会

 

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