先天性副腎皮質過形成

 副腎酵素欠損症・先天性副腎皮質過形成症とは  

副腎皮質では3種類のステロイドホルモンが作られます。
一つは塩類調節に重要な役割を果たす鉱質コルチコイド、二つ目は生命維持、ストレス反応に重要な働きをする糖質コルチコイド、そして性発達に関係する副腎性アンドロゲン(性ステロイド)です。
これらステロイドホルモンはコレステロールを原料として種々の酵素を介して作られます。副腎酵素欠損症は、このステロイドホルモンを作る過程に関与する酵素が先天的に欠損することで起こる病気です。

特にコルチゾールができないことにより、下垂体から ACTH(副腎皮質刺激ホルモン)が過剰に分泌される結果副腎が過形成をきたすものを先天性副腎過形成症と呼んでいます。
これにはリポイド過形成症、21水酸化酵素欠損症、11β-水酸化酵素欠損症、17α-水酸化酵素欠損症、3β-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ欠損症の五つの病気があります。
その他、鉱質コルチコイドができないもので、過剰なACTH分泌過剰をきたさないものとして18-ヒドロキシラーゼ欠損症、18-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ欠損症があります。

ちなみに、佑磨は、21水酸化酵素欠損症・塩分喪失型です。


 患者さんはどのくらいいるのでしょう  

現在、日本で新生児マススクリーニングが行われている21-水酸化酵素欠損症以外正確な頻度は解っていません。
21-水酸化酵素欠損症が最も多く87.2%であり、リポイド過形成症が5.5%、17α-水酸化酵素欠損症が1.9%、11β-水酸化酵素欠損症が1.7%、3β-ヒドロキシステロイド脱水素欠損症が1.8%です。
各病気の発症頻度には人種差がみられていますが、リポイド過形成症、17α-水酸化酵素欠損症は他人種に比べ日本人において比較的多く発症することが知られています。


 どのような人に多いのでしょう 

各病気とも男女差は認められていません。
病気として発見されるのは先天性の異常であることから大部分は新生児期です。
遅発型のものは、幼児期以降に発症をみます。

 原因と遺伝  

全てその責任酵素の遺伝子異常によることが明らかとなっています。

3β-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ欠損症、21水酸化酵素欠損症、11β-水酸化酵素欠損症、17α-水酸化酵素欠損症は、それぞれの酵 素の責任遺伝子の異常により発症します。

鉱質コルチコイドが作られない18-水酸化酵素欠損症、18-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ欠損症は同じ遺伝子の異常によって起こりますが、遺伝子異常の種類が異なることによって発症することが明らかにされています。

常染色体劣性遺伝の遺伝形式をとります。
すなわち劣性遺伝子が二つ持たないと病気にはなりません。
劣性遺伝子を一つづつもつ人同士が結婚して、その子どもが病気になる確率は25%です。
21-水酸化酵素欠損症は約1万5千〜2万に一人病気の人が生まれることから、この病気で劣性遺伝子を一つもつ人の数は約100人に一人いることになります。
21-水酸化酵素欠損症では突然変異で発症する例もあることが知られています。


 症 状  

先天性副腎過形成症ではコルチゾールとアルドステロンが不足することから、低血糖、食欲不振、易疲労感、低血圧、塩喪失、循環障害、ショックなどがみられます。
電解質異常として低ナトリウム血症、高カリウム血症がみられます。
またACTH過剰による症状として皮膚に黒色の色素沈着もみられます。
性ステロイド過剰による外性器異常として女児外性器の男性化(陰核肥大、共通泌尿生殖洞など)、逆に性ステロイド不足による異常として男児に尿道下裂、停留睾丸や女性型の外性器などがみられます。

新生児期から治療をうけていない場合には男女とも思春期早発症がみられることがあります。
女児の17α-水酸化酵素欠損症では女性ホルモンが不足することから二次性徴発達不全や無月経がみられます。


 治療法と経過  
 

先天性副腎過形成症では、普段は不足するコルチゾールを生理的な量を服用します。
鉱質コルチコイドが不足している場合は、フロリネフを服用します。
この生理的な量の治療で不足しているホルモンを補い、また過剰に分泌されているACTHを正常化できますので、ACTH過剰に伴った副腎性ステロイド分泌、DOC分泌などを抑制でき、男性化症状、高血圧、電化質異常を改善しえます。

急性副腎不全の症状がある場合には、普段の量の薬の補充では 状態を改善できませんので、点滴をして副腎皮質ホルモンの静脈内投与や電解質異常の正常化をはかることが行われます。
また発熱したり、小手術などをうける 場合には、普段飲んでいる量の2〜3倍量の薬を飲むことが必要です。
さらに下痢、嘔吐などがあり口から食物をとれない時には、点滴などの処置をうけることが勧められます。

定期的な病院での検査で普段飲む量の薬の量が決められます。
この病気で飲む薬の量は身体にあるステロイドホルモンの量を正常な量にするだけものです。決して他の病気の治療に使われているような多い量、すなわち薬理的な量ではありません。

不足している副腎皮質ホルモンを服用していれば生命予後は良好です。
しかし、薬をきちんと決められた量で飲まないと、成長障害、二次性発達不全、生理不順などがみられます。
このように先天性副腎皮質過形成は安全で、きわめて有効な治療法が確立されている先天性疾患です。

佑磨は、コートリル・フロリネフを服用しています。


難病情報センターより抜粋


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