憶病について教える
教訓 262. 憶病者は弱音を吐く。
Cowards die many times before their deaths.[Shakespeare]《憶病者は本当に死ぬ前に何度も死ぬ》
この言葉はシェークスピアの「ジュリアス・シーザー」の中に出てくるものですが、シーザーが死の危険を予言されている当日の朝、外出を止める妻に対していった言葉です。シーザーは続けて次の言葉を残し、あえて元老院に登院して、凶刃に倒れました。
(a) The valiant never taste of death but
once. [Shakespeare]《勇者は一度しか死なない》
これら二つを合わせた同時代の類義コトワザとして、次のものもあります。
(b) A coward dies many deaths, a brave man
but one.《憶病者は何度でも死ぬが、勇者は一度しか死なない》
教訓 263. 憶病ゆえの威嚇は怖くない。
Barking dogs seldom bite.《吠える犬はめったに噛まない》
別掲 → 教訓21 外見と中身は必ずしも一致しない。
憶病者は自分の弱さを隠すあまり、居丈高に怒鳴るものですが、「吠える犬は噛まない」のたとえで、そのようなものにかぎって実行力の裏付けを欠き、実はそれほど恐ろしくないのです。
(a) One's bark is worse than one's bite.《噛みつかれるより吠え声の方がひどいもの》(口ほどには恐ろしくない)
教訓 264. 憶病者の弱いものいじめと蛮勇。
A bully is always a coward.《弱いものいじめをする人は必ず憶病者である》
勇気あるものは、強い敵を相手にします。しかし、憶病者は強い相手には卑屈になり、弱い相手には傲慢になるものです。時には、居丈高になったり、いじめたりします。
また、陰では罵詈雑言のかぎりを人に言い触らしても、当の相手が目の前に現れると、とたんに恐れをなして退散するのも、憶病者の行動パタンです。
(a) He who takes a lion when he is absent,
fears a mouse present.《目の前にいないとライオンを捕まえると豪語するものは、目の前にいるとネズミでも恐れる》
しかし憶病者でも、急に勇敢な人間に変貌することがあります。土壇場に追い込まれたような場合、絶望のあまり蛮勇をふるうものです。憶病者を追いつめると、危険です。
(b) Despair gives courage to a coward.《絶望は臆病者に勇気を与える》「窮鼠猫を噛む」
(c) Necessity and opportunity may make a
coward valiant.《必要と機会があれば憶病者でも勇敢になる》
臆病者の勇気は破れかぶれの蛮勇です。相手のことを思いやる余裕がないから、残忍にならざるを得ないのです。
(d) Cowards are cruel.《憶病者は残忍である》
終わり
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