環境の重要性について教える


教訓 240. 子が親に似るとはかぎらない。


Many a good cow has an evil calf.《よい雌牛が悪い子牛を生むことが多い》


 たしかに、遺伝の力は大きいのですが、しかし突然変異もあります。「鳶が鷹を生む」ように、子が親の性質を受け継がない場合もあります。

(a) A wise man commonly has foolish children.《賢い親には大抵愚かな息子が生まれる》


教訓 241. 生まれより育ちが大切。


Birth is much but breeding is more.《生まれも大事だが、育ちの方がさらに大事》「氏より育ち」


 したがって、性格形成にはむろん生まれ(家柄)は大事ですが、育ちの方がもっと大事であるとする考え方も生まれてきます。「氏より育ち」です。遺伝より環境を重視するコトワザが、いくつかあります。

(a) Nurture is above nature.《教育は資質にまさる》
 = Nurture passes nature.
(b) Nurture and good manners maketh man.《教育と行儀作法が人をつくる》


教訓 242. 身についた習慣の力は強い。


Old habits die hard.《古い習慣はなかなか改まらない》


 次のコトワザも、育ちの過程で培われたものは、生まれながらの性質と同じように身につくというもので、後天的なしつけの重要性を説いています。

(a) Habit is a second nature.「習慣は第二の天性なり」「習い性となる」
 = Custom is another nature.
(b) Men do more things through habit than through reason.《人は理性で行うより習慣で行うことの方が多い》

これらのコトワザは、同時に悪い習慣の改め難さについても述べているのです。


教訓 243. 一度身についた習性は直らない。


Once a beggar, always a beggar.《一度乞食になると、ずっと乞食でいなければならない》


 一度身についた習性や職業は、途中で変えることが困難なものです。とくに、一度悪の道に入ると、なかなか抜け出せません。この意味の類義コトワザは数多くあります。

(a) Once a priest, always a priest. 《一度僧侶になると、ずっと僧侶でいなければならない》
(b) Once a devil, always a devil. 《一度悪魔になると、ずっと悪魔でいなければならない》
(c) Once a thief, always a thief. 《一度泥棒になると、ずっと泥棒でいなければならない》
(d) Once a knave, always a knave. 《一度悪党になると、ずっと悪党でいなければならない》


教訓 244. 子供のうちからよい習慣を養え。


Spare the rod and spoil the child.《鞭を惜しめば子供はだめになる》「可愛い子には旅させよ」


 だから、大切なことはよい習慣を形成することです。それには、若いうちに鍛えることです。子供は厳しくしつけるべきで、甘やかしてはいけません。ただしこのコトワザは、体罰の禁止が世界的傾向になりつつある現代では昔日の威力を失い、「鞭」は単に「厳しいしつけ」の象徴でしかありません。同じように、相当する日本のコトワザも、「旅」が快適になった今日、本来の意味を失っています。

(a) It is the bridle and spur that makes a good horse.《駿馬をつくるのは手綱と拍車だ》「艱難汝を玉にす」
(b) Children should be seen and not heard.《子供は見てやるだけでよいので、おしゃべりを聞いてやってはいけない》(子供は大人の前で黙っているべきだ)
(c) Train up a child in the way he should go.《子供を鍛えて歩むべき道を教えよ》


教訓 245. 怠ける若者は老いてから後悔する。


An idle youth, a needy age.《のらくら青年、食いつめ老人》


 人を立派に育て上げるには、やはり子供のうちからしっかりしつけ、勤勉さを身につけさせることでしょう。若者のうちから怠けていたのでは、老人になって苦労するだけです。

(a) Reckless youth makes rueful age.《向こう見ずな青年期は悔いの多い老年期となる》
(b) If you lie upon roses when young, you will lie upon thorns when old.《若いころバラの上に寝れば、老いてからイバラの上に寝ることになる》


教訓 246. 自己形成は長い変革の道である。


It takes three generations to make a gentleman.《紳士が生まれるには三代かかる》


 遺伝による力は強いようです。粗野な人間が一代で紳士に生まれ変わることはできないかもしれませんが、しかし何代にもわたれば不可能ではありません。見出しのコトワザは、それが三代かかるといいます。階級制度の厳しかったイギリスらしいコトワザといえるでしょう。

 このように、受け継いだ性質はなかなか変わりませんから、一念発起、何か新しいことをしようとするとき、古い自分が足かせとなってうまくいかないことがあります。自己の性質が自己の最大の敵になるのは、そのようなときです。

(a) Every man is his own worst enemy.《だれにとっても最大の敵は自分自身だ》

 自己の殻を破って進歩するためには、人間は学ばなければなりません。何か新しいことを学べば、それは自己の性格になり、新しい自己が形成されるのです。

(b) A man's studies pass into his character.《勉強したものは自分の性格になる》

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