2 遺伝と環境

 性質の不変性について教える


教訓 236. 若い男には若い男の特性がある。


Boys will be boys.《男の子は男の子》


 人間のもって生まれた特性は生得のもので、いかんともしがたいものです。男の子は乱暴なものだし、若者は常に腹をすかせているし、とかく羽目を外したがるものです。

(a) God's lambs will play.《神の子羊たちは戯れるもの》
(b) Young colts will canter.《子馬は駆けるもの》
(c) A growing youth has a wolf in his belly.《育ち盛りの若者の胃袋には狼がいる》
(d) Youth must have its fling.《若者は羽目を外さないと承知しない》
          別掲 → 教訓179 若者は羽目を外すものである。
 = Youth will have its course (or swing).《若者は思うままに行動したがるもの》


教訓 237. 女には女の特性がある。


Three women make a market.《女が三人寄ると市ができる》「女三人寄れば姦しい」
 = Three women and a goose make a market.《女が三人とガチョウ一羽で市ができる》


 見出しのコトワザや次のコトワザは、女はおしゃべりで、気まぐれだといいます。

(a) A woman's mind and winter wind change oft.《女心と冬の風はよく変わる》「女心と秋の風」

 女性についてのコトワザは、過去の男性優位社会の考え方を反映し、偏見と蔑視に満ちたものが多く、とても教訓として利用することはできません。そこで、「コトワザこぼれ話(6)女性蔑視のコトワザ」にまとめてありますから、参照してください。


教訓 238. 親から受け継いだ性質は変わらない。


The leopard cannot change his spots.[Jeremiah]《豹はその斑点を変えることができない》「性は改むべからず」


 豹が斑点を変えることができないように、人間も親から受け継いだ性質を変えることはできません。子供は、結局は親と同じ道を歩むものです。

(a) Like father, like son.《父と息子は似たもの》「この父にしてこの子有り」「親も親なら子も子」
(b) Like mother, like daughter.《母と娘は似たもの》「この親にしてこの子有り」「親も親なら子も子」「娘を見るより母を見よ」
(c) The apple doesn't fall far from the tree.《リンゴは木からあまり遠いところへは落ちない》(子供は親の職業を継ぐもの)

 また、親から受け継いだ血は、隠そうとしてもおのずと現れるものです。

(d) Good blood cannot lie.《よい血統は欺かない》
(e) Blood will tell.《血はものをいう》

(d)は良い遺伝が子孫に現れることをいいますが、(e)は多くの場合、悪い血が子孫に及ぶことをいいます。

 そして、受け継いだ性質は一生続くものです。「三つ子の魂百まで」「性は改むべからず」などと同じで、子供のころの性質は成人しても変わらないと説きます。

(f) What is learned in the cradle is carried to the grave.《揺りかごの中で学んだことは、墓場までもっていかれる》「雀百まで踊り忘れず」
(g) What is bred in the bone will never come out of the flesh.《骨の中で育てられたものは肉から外へは出ていかない》「三つ子の魂百まで」
(h) It is harder to change human nature than to change rivers and mountains.《人間の性格を変えるのは、川や山の形を変えるより難しい》「性は改むべからず」

 結局、子供のときもっていた資質は、大人になってもそのまま受け継がれていきます。大人をつくったのは、その人の子供時代です。そこで、イギリスのロマン派詩人ワーズワースは、次の有名なパラドックスを詩に読み込みました。

(i) The child is father of the man.[William Wordsworth]《子供は大人の父である》
          別掲 → 教訓3 ものは正反対のものに変化する。


教訓 239. 受け継いだ資質以上を期待するな。


You cannot make a silk purse out of a sow's ear.《豚の耳から絹の財布はできない》


 性質や資質が変わらない以上は、本人のもって生まれたもの以上を期待しても無理だということになります。この類義コトワザも、多くあります。

(a) What can you expect from a hog but a grunt?《豚からブーブー声以外の何が期待できるか》
(b) We may not expect a good whelp from an ill dog.《悪い犬からよい子犬は期待できない》
(c) Eagles do not breed doves.《ワシはハトを生まない》
(d) Of a thorn springs not a fig.[Matthew]《イバラからイチジクはできない》「瓜の蔓にナスビはならぬ」

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