言葉と行動の関係について教える


教訓 212. おしゃべり人間は仕事をしない。


Empty vessels make the most sound.《空の容器が一番大きな音を立てる》
          別掲 → 教訓23 外見がよくても中身は悪い。


 饒舌な人間には、自慢話がつきものであるだけではありません。彼らの多くは、怠け者で、不平屋で、中身の空っぽな人間が多いようです。見出しのコトワザは、中身のないものは騒々しく、饒舌だという意味です。

(a) Every ass likes to hear itself bray.《どんなロバでも自分の声を聞くのが好きだ》(バカのおしゃべり好き)
(b) They brag most who can do least.《一番仕事のできないものが一番ほらを吹く》「鳴く猫は鼠捕らず」
          別掲 → 教訓23 外見がよくても中身は悪い。
(c) The greatest talkers are the least doers.《おしゃべり屋は手抜き屋である》「口叩きの手足らず」「鳴く猫はねずみ捕らず」
(d) The worst wheel of the cart creaks most.《荷車は一番悪い車輪が一番きしむ》(怠け者が一番不平をいう)


教訓 213. 何もしないことは悪である。


Doing nothing is doing ill.《何もしないことは悪事をすることになる》「小人閑居して不善を為す」
 = By doing nothing we learn to do ill.
 = An idle brain is the devil's workshop. 《暇な頭は悪魔の仕事場》
 =Idle hands are the devil's workshop.《暇人の手許は悪魔の仕事場》


 さらに、怠け者はただ何もしないだけならまだしも、困ったことに悪事さえ働くのです。暇な人間には、悪魔が悪の道をそそのかします。怠惰は諸悪の根元です。

(a) Satan always finds work for idle hands.《サタンは暇な人間に仕事をくれる》
 = The devil finds work for idle hands to do.
(b) An idle brain is the devil's workshop.《暇な脳みそは悪魔の仕事場》「小人閑居して不善を為す」
 = Idle hands are the devil's workshop.
(c) Idleness is the root of all evil.《怠惰は諸悪の根元である》

 もっと端的に、何もしないことが罪になることがあります。水に溺れているものや自殺しかけているものを放置すれば、そのこと自体が罪に問われます。

(d) There is a sin of omission as well as of commission.《実行の罪があるように、不履行の罪がある》


教訓 214. 実行の伴わない批判や説教は無意味。


Practice what you preach.《人に説くことは自分でも実行せよ》


 人を批評できるのは、その人と同じことを実行できる人だけです。自分で実行できないことを、人にとやかくいう資格はだれにもありません。大切なことは率先垂範です。

(a) Example is better than precept.《実例は教訓にまさる》

 だから、人の行動を批判したり、褒めたりするには、それと同じことを実行してからにすべきです。それが簡単であるか難しいかは、実行してみなければわからないのです。そして、ある人のある言動に心酔しているなら、言葉で褒めるだけでなく、自らそれを実行してみせることです。

(b) Don't judge a man until you've walked in his boots.《その人と同じことを実行してからその人を批判せよ》
(c) Imitation is the sincerest form of flattery.《真似することが最も誠実なお世辞になる》

 次のコトワザも、患者に養生を説く医者が、自分自身は不養生を重ねていることを皮肉っています。

(d) Physician, heal thyself.[Luke]《医者よ、汝自身を癒せ》「医者の不養生」


教訓 215. 言葉と行動は一致しないもの。


Saying is one thing and doing another.《言うことと行うこととは別》
 = To say and to do are two things
.


 人間の言行は一致しないものです。言うことと行うこととは別のものと考えた方がよいと、このコトワザはいいます。口でいうのは簡単ですが、実行は困難だからです。次のものはすべて「言うは易く行うは難し」の類義コトワザです。

(a) Easier said than done.《行うより言う方が易しい》「言うは易く行うは難し」
 = It is easier to be said than done.
(b) There is a great difference between word and deed.《言葉と行為には大きな差がある》
 = From word to deed is a great space.

 次のコトワザは、有名なイソップ物語の「鼠と猫」が原典になっています。名案を実行できないネズミたちの悩みを借りて、言うことと行うことの難しさを語っているのです。

(c) Who will bell the cat?[Aesop]《だれが猫に鈴をつけるか》

 次は、ちょっとユーモラスなコトワザです。そもそも人間の言行は不一致なもので、言った通りに行動できるわけではありません。その点では「私」も例外ではありません。だから「私」の駄目な行動でなく、「私」の立派な言葉にしたがうのが賢明であるというのです。

(d) Do as I say, not as I do.《わたしの行い通りでなく、わたしの言葉通りにせよ》

 言葉でいうのは簡単だし、安上がりですから、人は簡単に約束をします。しかし、いざ実行しようとするとその難しさに気づき、約束は簡単に踏みにじられることになります。約束とは、破られるためにあるようなものだというのが、コトワザの約束観です。

(e) Talk is cheap.《いうだけでは金はかからない》
(f) Promises are like pie-crust, made to be broken.《約束はパイの皮のようなもの、破るためにつくられる》


教訓 216. 言葉より行動が大切である。


Actions speak louder than words.《言葉が語るより行動が語る方がよく聞こえる》


 言葉は話すが、行動は無言です。しかし見出しのコトワザは、その無言の行動が声高な言葉よりよく聞こえるといいます。下手な台詞より、巧みなパントマイムの方が、よく心のうちを伝えるということでしょう。

 言葉が信頼できないとすれば、やはり行動に頼るしかありません。言葉より行動が大切だとするコトワザが必要になります。

(a) Deeds, not words.《言葉でなく行為を》「不言実行」
(b) It is easier to pull down than to build.《建てるより壊す方が簡単である》

(b)では「建てること」は「行動」を、「壊すこと」は「言葉による批判」を意味していて、結局、言葉は簡単だが、行動は難しいと説いているのです。

 次のものは、痛烈な皮肉を含んでいます。

(c) He who can, does. He who cannot, teaches.[George Bernard Shaw]《出来るものは自分で行い、出来ないものは人に教える》

コトワザというより引用句として知られるこのショーの言葉は、口先だけで仕事をする世の学者や批評家たちに対する風刺であると同時に、商品であれ芸術品であれ、ものをつくることに従事する人たちへの熱いオマージュでもあります。

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