3 言葉と行動
沈黙の言語について教える
教訓 206. 言葉以外にも表現手段はある。
The eyes have one language everywhere.《目の言葉は万国共通である》「目は口ほどにものをいい」
言葉を使わなくても、顔の表情などで意思伝達ができます。だから逆に、言いたくないことも顔に表れて相手に伝わることがあります。
(a) A nod is as good as a wink.《うなずきは目配せと同じで、心が伝わる》
(b) The face is the index of the heart (or
mind).《顔は心の指標である》
別掲 → 教訓28 中身が外見をつくる。
(c) The eyes are the window of the soul (or
heart).《目は心の窓》「目は心の鏡」
別掲 → 教訓28 中身が外見をつくる。
言葉は万能ではありません。例えば、絵画は言葉よりずっと有効に情報を伝えることがあります。映画やテレビが活字より普及しやすいのは、そのためです。
(d) A picture is worth a thousand words.《一枚の絵は一千語に匹敵する》
これは、ある場合には「百聞一見にしかず」の意味にも用いられます。
教訓 207. 沈黙にも意味がある。
No answer is also an answer.《返事をしないのも返事の一つ》
沈黙したり、無言を続けたりすることは、そのこと自体が一つの意思表示の手段です。話すことだけが表現ではありません。沈黙も一種の言語であるはずです。だから、沈黙の意味するものは、あるときは承諾に、あるときは良心の呵責にと解釈されるのです。
(a) Silence gives consent.《沈黙は承諾のしるし》
(b) When children stand quiet they have done
some ill.《子供が黙っているときは何か悪いことをしたとき》
教訓 208. 雄弁家は沈黙の術を心得る。
He cannot speak well that cannot hold his
tongue.《黙ることを知らないものは話し上手ではない》
だから、真の雄弁家は話す技術だけでなく、沈黙の必要性を知らなければなりません。話すべきでないときに話すのは、弁論の術としては最低です。
(a) A wise head makes a close mouth.《賢者は口を閉じる》「能ある鷹は爪を隠す」
(b) There is a time to speak and a time to
be silent.《話すべきときと黙るべきときがある》
(c) When all men speak, no man hears.《みなが話せばだれも聞かない》
教訓 209. 寡黙は多弁にまさる。
Speech is silver, silence is gold.「雄弁は銀、沈黙は金」
= Silence is golden.「沈黙は金」
この有名なコトワザは、沈黙は雄弁にまさるとして、沈黙の価値をたたえます。このコトワザの周辺には、言葉がすべてではないとするものが、いくつかあります。
まず、言葉は少ないほどよいというコトワザがあります。「言わぬが花」に相当するものです。多弁なものはなかなか実行が伴わないし、また自分の過ちを正当化しようとして言いわけに走りがちだということがあります。それに反して、寡黙のものほど、改めるのも実行するのも早いのです。
(a) Least said, soonest mended.《言葉が少ないほど改めやすい》
(b) The less said, the better.《言葉は少ないほどよい》「言わぬは言うにまさる」
(c) Few words are best.《言葉は少ないのが最高》「言わぬは言うにまさる」
人は中身がないとき、とかく言葉で飾りたてようとしますが、反対に中身がありすぎると言葉を不要にすることがあります。例えば、それは愛です。愛は、言葉がなくても伝わるものです。
(d) Whom we love best, to them we can say
least.《最愛の人にはものがいえない》
(e) When love is greatest, words are fewest.《愛が最も強いとき言葉は最も少ない》
(f) Love speaks, even when the lips are closed.《唇が閉じられていても愛は話す》
知恵も、沈黙の底に隠されています。知恵は、言葉の流れとなって表面に表れるよりも、しばしば見えない深淵に沈黙となって横たわるものです。沈黙は知恵の表れです。
(g) Flow of words is not always flow of wisdom.《言葉の流れは知恵の流れとはかぎらない》
(h) Who knows most, speaks least.《最も知るものが最も語らない》「能ある鷹は爪を隠す」
(i) Brevity is the soul of wit.[Shakespeare]《簡潔が知恵の精髄》「下手の長談義」
(j) A still tongue makes a wise head.《静かな舌は賢い頭をつくる》
(k) Still waters run deep.《静かな流れは底が深い》「浅瀬に仇波」
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