真実と虚偽について教える


教訓 189. 真実も強い力をもち、人を傷つける。


Nothing hurts like the truth.《真実ほど人を傷つけるものはない》


 真実も、言葉と同じように、強い力をもちます。真実の風が吹けば、それは世の中を席巻し、悪人さえその前にひれ伏します。

(a) Truth is mighty and will prevail.《真実は強く、すべてに勝つ》
(b) Tell the truth and shame the devil.《真実を語れば悪魔も恥じる》

 真実が力をもつのは、それがありのままを率直に語り、虚飾がないからです。

(c) The language of truth is simple.《真実の言葉は単純である》
(d) Truth has no need of rhetoric.《真実には修辞は必要ない》

 レトリックがないから、真実は人を傷つけます。人を批評するときでも、それが真実に近いほど、人を傷つける力は大きくなります。

(e) The greater the truth, the greater the libel.《真実が多ければ多いほど名誉毀損も大きくなる》
(f) The sting of a reproach is the truth of it.《非難の言葉の痛みはそれの真実性を表す》「頂門の一針」

 だから、真実は憎悪を生み出すことがあります。

(g) Truth breeds (or begets) hatred.《真実は憎悪を生む》


教訓 190. 真実はなかなか語れないものである。


All truths are not (good) to be told.《すべての真実を語ってよいわけではない》
 = All truths must not be told
.


 真実には人を傷つける強い力がありますから、見出しのコトワザのいうように、人にすべての真実を語ってよいということにはならないのです。

 それに、真実を語るには大きな勇気のいることがあります。気の弱い人間は、酒の力を借りたり、冗談めかしていう以外に道がないことがあります。

(a) Wine in, truth out.《酒が入ると真実が出る》
(b) What soberness conceals, drunkenness reveals.《正気が隠すことを酔いは漏らす》
(c) In wine there is truth.《酒の中に本音がある》「酒は本心を現す」
(d) Many a true word is spoken in jest.《多くの真実が冗談で語られる》「嘘からでた誠」「冗談から駒が出る」

(d) は、冗談でいったことが本当になることもあるという意味にも使います。

 真実を語ろうと思ってもなかなか語れないのには、真実は物事の奥深く隠され、なかなか発見できないという事情もあります。

(e) Truth lies at the bottom of a well.《真実は井戸の底にある》


教訓 191. 追求しすぎると人は嘘をいう。


Ask no questions and you will be told no lies.《質問しなければ、嘘を聞かなくてすむ》
 = Ask me no questions and I'll tell you no lies.《質問をしなければ、嘘を言わなくてよい》


 真実を語りたくないとき、人は嘘をつきます。あまりに深く真実を追究するものではありません。人間は追いつめられると、自分の身の安全のために嘘をつくことがあるからです。ときには相手を傷つけまいとする思いやりから出た嘘もあるでしょうが、いずれにしても個人のプライバシーにはあまり首を突っ込まないことです。なお、このコトワザは、質問封じの冗談としても用いられます。


教訓 192. 嘘つきには記憶力が必要である。


Liars should have good memories.《嘘つきは物覚えがよくなくてはならない》


 嘘は嘘を呼びます。一度嘘をつくと、それがバレないために次から次へと嘘をつくことになります。

(a) One lie makes many.《嘘を一つつけば次から次へとつくことになる》

 したがって、嘘は前の嘘と矛盾しないものでなければならず、そのため嘘つきには、見出しのコトワザのいうように、よい記憶力が必要になります。


教訓 193. 嘘つきが真実を語ってもだれも信じない。


A liar is not believed when he speaks the truth.《嘘つきは本当のことをいっても信じてもらえない》


 嘘つきも、たまには本当のことをいいます。しかし、悲しいかなだれも信じてくれません。イソップ物語の中の「オオカミが来た」と嘘を連呼した少年の話を持ち出すまでもありません。

(a) He that once deceives, is ever suspected.《一度嘘をつくと、いつまでも疑われる》

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