知恵は経験から得られることを教える


教訓 175. 旅の経験は知識を豊かにする。


Travel broadens mind.《旅は知性を広げる》


 見聞を広め、知識を豊かにしてくれるものは、旅の経験です。ここでいう旅とは、野外の観察や探検の機会と考えてよいでしょう。旅に出れば、机上の知識をはるかに越える情報の洪水があります。とくに、ラジオやテレビのない時代では、旅は情報源の最たるものであったといえます。

(a) He that travels far knows much.《広く旅する人は物知りである》
 = He travels much, knows much.

 だから、物知りの旅人をだまそうとしてもうまくいきません。

(b) Don't put tricks upon travellers.《旅人をたぶらかすな》(利口だからだませない)


教訓 176. 経験はよき教師である。


Experience is a good teacher.《経験はよき教師である》


 むろん、経験の材料は旅行だけにあるのではありません。日常生活のあらゆる場面が経験の場となり、人はそこからさまざまな知恵や知識を学び取るのです。経験は、人に知恵と知識を与えてくれるよき教師です。

(a) Experience is the father of wisdom and memory the mother.《経験は知恵の父、記憶はその母》
 = Experience is the father of wisdom.《経験は知恵の父》
(b) Experience is the mother of wisdom (or knowledge).《経験は知恵(知識)の母》

 他人の愚行からさえ、人は知恵を学ぶことができます。

(c) Learn wisdom by the follies of others.《他人の愚行から知恵を学べ》「人のふり見て我がふり直せ」

 何ごとも経験しなければわかりません。人間は経験によって賢くなります。そうだとすれば、起こる前に知る「先見の明」より、起こった後の「後知恵」の方がよいことになります。

(d) Hindsight is better than foresight.《先見の明より後知恵の方がまし》

 また、経験は過去の蓄積です。経験から学ぶことは、過去から学ぶことであります。昨日があって今日がある、人間は昨日に学ばなければなりません。

(e) Today is yesterday's pupil.《今日という日は昨日の弟子である》「昔は今の鏡」
(f) Things present are judged by things past.《現在の事柄は過去の事柄により判断される》

 次のコトワザも、経験を通して知恵を獲得していく過程を説明しています。まず、経験は自分の目で見ることから始まるといいます。聞いて信じられないことも、自分の目で見れば信じることができます。

(g) Seeing is believing.《見ることは信ずることである》「百聞は一見に如かず」
 = To see is to believe.

 さらにまた、ものの良しあしを知るには見るだけでは不十分で、実際に中身を試してみなければならないという、次のコトワザもあります。

(h) The proof of the pudding is in the eating.《プリンの味は食べてみなければわからない》「論より証拠」

これは、ある考えの良否は実行して初めてわかるという意味でも使います。


教訓 177. 年齢は知恵である。


Years know more than books.《年齢は書物より多くを知る》「亀の甲より年の功」


 経験が知恵を与えるとすれば、当然、若いものより年齢を重ねたものの方がすぐれていることになります。したがって、老人を欺こうとしても無理だし、老人にものを教えようとするのは「釈迦に説法」と同じです。

(a) Age and experience teach wisdom.《年齢と経験が知恵を与える》「亀の甲より年の功」
(b) You cannot catch old birds with chaff.《年取った鳥はもみ殻では捕らえられない》
(c) Don't teach your grandmother to suck eggs.《祖母に卵の吸い方を教えるな》「釈迦に説法」
(d) Don’t teach fishes to swim.《魚に水練を教えるな》「河童に水練」

 次のコトワザは、本当に充実した人生は中年を過ぎてから始まると教えます。

(e) Life begins at forty.《人生は40歳から始まる》
          別掲 → 教訓56 人生には楽しみもあり、苦しみもある。

40歳ごろには、人生を自分の思い通りに生きる経験や才覚が備わっているはずです。

 また、歳を取ることが分別を意味することを知るものは、自分の賢さを年齢で言い表そうとします。

(f) I was not born yesterday.《昨日生まれたわけでない》(そんなことは百も承知だ)

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