生活の糧の大切さを教える


教訓 154. 金銭は心身の健康を保証するもの。


An empty sack cannot stand upright.《空の袋はまっすぐには立たない》


 確かに、金銭は諸悪の元凶ではありますが、だからといって金銭が無用であるということはできません。それどころか、暮らしのためには金銭は不可欠なものです。「恒産無き者は恒心無し」 というように、人間は貧乏が長く続くと、肉体も病み、精神も不安定になるものです。

 結婚生活にあっては、とくに物質的基盤が大切です。貧乏神が来るとお互いの愛情にさえヒビが入ります。だから、生活の目途がつかないうちに結婚してはなりません。

(a) When the wolf comes in at the door, love creeps out of the window.《狼が戸口から入ると、愛情は窓から逃げ出す》「金の切れ目が縁の切れ目」
(b) First thrive and then wive.《まず商売がうまくいってから女房をもらえ》

 健全な精神や豊かな愛情など、人間の精神的な活動は、物質的なものが前提となって可能となります。金があれば心は軽くなり、金がなければ心は重くなると、次のコトワザは教えます。

(c) A heavy purse makes a light heart.《財布が重いと、心は軽くなる》
= A light purse makes a heavy heart.《財布が軽いと、心は重くなる》

 その上、窮地に陥ったものは、恥も外聞もありません、何にでもすがろうとします。溺れるようなことには、なりたくないものです。

(d) A drowning man will catch at a straw.《溺れるものはわらをもつかむ》
          別掲 → 教訓127 避難場所を選んでいる暇はない。

 だから、法に触れないかぎりどんな手段を用いてでも、できるだけ稼ぎ、生活の基盤を築けというのが、コトワザの知恵です。

(e) Catch as catch can.《できるだけ取れ》


教訓 155. パンは生きるために一番大切なもの。


Bread is the staff of life.《パンは命の糧》


 パンは、命を支える一番大切なものです。食べ物がなくなると人は争いを起こしますが、食べ物があれば心はなごむものです。相手の愛情を得るのも、胃袋からです。

(a) A hungry man is an angry man. 《空腹人間は怒りっぽい》
(b) Spread the table, and contention will cease.《食卓を広げれば争いはやむ》
(c) The way to a man's heart is through his stomach.《人の心をつかむ道は胃袋から》

 「花より団子」や「腹が減っては戦ができぬ」などの日本のコトワザにもあるように、芸術のような高度の精神活動から戦争のような命がけの行動まで、すべてが胃袋の咀嚼活動に依存しているようです。

(d) Bread is better than the songs of birds.《鳥の歌よりパンの方がよい》「花より団子」
(e) An army marches on its stomach.《軍隊は胃袋に頼って行進する》「腹が減っては戦ができぬ」


教訓 156. 生計のよりどころを大切にせよ。


Don't bite the hand that feeds you.《自分を食べさせてくれる人の手を噛むな》


 自分が依拠している生活の基盤、つまり生計の道は、大切に扱わなければなりません。それは、相手への恩義に報いる道でもあります。

(a) Don't quarrel with your bread and butter.《飯の種とは言い争うな》
(b) Don't cut the bough you are standing on.《自分を支えている枝を切るな》
(c) Know which side one's bread is buttered on.《パンのどちら側にバターが塗ってあるかを知れ》(金銭の援助をしてくれる人を大切にせよ)

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