友人と友情について教える


教訓 136. 友人は成功すると増え、失敗すると減る。


He that hath a full purse never wanted a friend.《財布が満杯のものは友達に不足せず》
          別掲 → 教訓150 金持ちにはだれもがへつらう。


 成功し、裕福なとき、何かと人が集まって来るものです。そのようなときは、友人に不足することはありません。一つには、成功した人間の側にいれば、自分もその成功にあやかれるかもしれないし、うまくすればおこぼれにあずかることができるという思惑があるのでしょう。次のコトワザもそうです。

(a) Success has many friends.《成功すれば友人が増える》
          別掲 → 教訓150 金持ちにはだれもがへつらう。

 成功した友人に人が寄りつくもう一つの理由には、人は悲しいことより楽しいことの方が好きだということがあります。

(b) A good time was had by all.《楽しい時間はみなで過ごせる》

 しかし、成功が必ずしもいつまでも続くとはかぎりません。落ち目になり、財を失うと、それまで「門前市を成す」ごとく蝟集した友人の足は次第に遠退き、やがて「門前雀羅を張る」ことになります。

(c) In time of prosperity, friends will be plenty; in time of adversity, not one amongst twenty.《繁栄のときは友は多くなるが、逆境では20人中1人もいなくなる》
(d) Poverty parts friendship.《貧困は友情を断ち切る》

 その意味では、友人というものは非情なものです。楽しいとき一緒に笑ってくれたものが、悲しいとき一緒に泣いてくれないのです。

(e) Laugh and the world laughs with you, weep and you weep alone.[Ella Wheeler Wilcox]《笑えば人も一緒に笑ってくれるが、泣けば人は一緒に泣いてくれない》


教訓 137. 友情を壊すのは金銭である。


Lend your money and lose your friend.《金を貸せば友を失う》
          別掲 → 教訓158 金銭の貸借はするな。


 豊かなとき寄りついた友人が貧しくなると去っていくということは、友情はやはり金銭で支配されるということです。友人に借金をし、返せなくてトラブルが生まれ、友情が破壊された例は、数え切れないくらいあります。そこで、友人同士の金銭の貸借をいましめるコトワザが必要になるのです。

(a) Neither a borrower nor a lender be.[Shakespeare]《借り手にも貸し手にもなるな》
          別掲 → 教訓158 金銭の貸借はするな。
(b) When I lent I had a friend; when I asked he was unkind.《金を貸してやったときは友達だったが、請求したら冷たくなった》「借りるときの地蔵顔、返すときの閻魔顔」
          別掲 → 教訓158 金銭の貸借はするな。

 借金をしないのが一番よいのは当然の話ですが、そうせざるをえないのが逆境たるゆえんです。そこで、次のコトワザが控えています。

(c) Short reckonings make long friends.《清算日が短いと友情は長続きする》
          別掲 → 教訓158 金銭の貸借はするな。

 やむを得ずした借金は、すぐに返すことです。そうすれば友情は壊れなくてすむのです。


教訓 138. 友人を過信するな。


Love your friend, but look to yourself.《友を愛せ、しかし自分を信じよ》


 信頼する友人の裏切りは、悲しいものです。裏切られないためには、友を愛してもよいが、友情の限界をわきまえ、信頼するのは自分だけにせよと、見出しのコトワザはいいます。

 また次のものは、友情にはそもそも欺瞞があると警告します。

(a) There is falsehood in fellowship《仲間意識には欺瞞がある》

 とくに八方美人の友人は、ほかに多くの友達をもつためでしょうか、一人の友達に誠意をつくしてくれることはまれなようです。だから、当てにならないと次のコトワザはいいます。

(b) A friend to everybody is a friend to nobody.《だれとでも友達になるものはだれとも友達でない》

 信じた友に裏切られるより、公然の敵にやっつけられた方がましです。

(c) Better be an open enemy than a false friend.《偽りの友よりあからさまな敵の方がまし》「獅子身中の虫」
(d) It is better to be stung by a nettle than pricked by a rose.《バラのトゲに刺されるよりイラクサに刺される方がまし》


教訓 139. 友人は悲しみを半減し、喜びを倍加する。


When shared, joy is doubled and sorrow halved. 《分かち合えば喜びは倍加し、悲しみは半減する》


 友情の過信は危険ですが、しかし逆境にあって悲しみに沈んでいるとき、人はどうしても友人を求めたがるものです。悲しみを和らげてくれる人なら、だれでもいいのです。

(a) Misery loves company.《不幸は交友を好む》
(b) Misery makes strange bedfellows.《不幸になると気心の知れない者とも友達になる》

 悲しいとき仲間を求めるのは、その悲しみが半減するからです。楽しいとき友人がいると、その楽しみが倍加するのと同じです。そこで、見出しのようなコトワザがあるのです。次も、その類義コトワザです。

(c) Company in misery makes it light.《不幸のとき仲間がいると悲しみが和らぐ》
(d) Company in distress makes sorrow light.《逆境のときの仲間は悲しみを和らげてくれる》
(e) Grief is lessened when imparted to others.《悲しみは人に打ち明ければ軽くなる》
(f) A trouble shared is a trouble halved.《苦労も分かち合えば半分になる》


教訓 140. 困ったとき助けてくれるのが真の友人。


A friend in need is a friend indeed.《危急の際の友こそ誠の友である》「刎頸の交わり」「莫逆の友」


 苦境にあるとき、人は以前の幸せであったとき以上に友人を求めるものですが、逆に友人は離れていこうとします。だから、苦しいとき助けてくれる友人こそ、本当の友人なのです。「まさかの時の友こそ真の友」といいます。

(a) A friend who shares is a friend who cares.《分かち合う友こそが自分を心配してくれる友だ》
(b) It is good to have company in trouble (or misery).《困ったとき仲間のいるのは有り難い》

苦境は、友情が本物であるかどうか試す試金石になってくれます。借金をして壊れるような友情は、早く壊れた方がよいのです。

(c) At the need the friend is known.《貧乏すると友の正体がわかる》
(d) Prosperity makes friends, adversity tries them.《繁栄が友をつくり、逆境が友を試す》

 しかし、やはり友達はよいものです。なかでも、苦楽をともにしてきた古くからの友人は、一番よいものです。たとえ、数は少なくても、そのような友人をもつことは、人生の最高の幸せというべきでしょう。

(e) Old friends and old wine are best.「友と酒は古いほどいい」
(f) Books and friends should be few but good.《書物と友人はよいものを少し持つのがいい》

 友情は金銭では買えません。だから、真の友をもつことが、最高の豊かさなのです。

(g) They are rich who have true friends.《真の友をもつものは豊かである》

                             本文のトップに戻る