6 安全と危険

 安全確保の方法について教える


 成功の条件の最後は、どのようにして危険を避け、安全を確保するかという問題です。これについて、コトワザのいっていることを次に見てみます。


教訓 120. 好奇心は大敵である。


Curiosity killed the cat.《好奇心は猫を殺す》


 自分の身の安全を守る第一の方法は、まず好奇心を捨てることだといいます。好奇心がもとで、命を落とした人は枚挙にいとまがないからです。「九つの命をもつという猫」(参照 → 教訓52「運命の神は気まぐれである」)でも、好奇心のためには命を落とすのです。一つの命しかない人間は、なおさらです。

(a) Curiosity is endless, restless, and useless.《好奇心は際限がなく、休まる暇もなく、無用の長物だ》
(b) Too much curiosity lost Paradise.《好奇心が強すぎると楽園を失う》
          別掲 → 教訓12 隣の芝生は立派に見える。


教訓 121. 危険に近づかないのが一番安全。


Far from Jupiter, far from thunder.《ジュピターから離れていれば雷に打たれない》「触らぬ神に祟り無し」


 しかし、好奇心がいくら強くても、危険に近づかなければ、人は危険に遭遇することはありません。次のコトワザも、同じことをいいます。

(a) The fish will soon be caught that nibbles at every bait.《どんな餌でもつつく魚はすぐ釣られる》

 危険を冒した結果が後悔にいたるのは、目に見えています。「安全第一」です。後で悔やむより、最初から安全の方がよいに決まっているのです。

(b) Better be safe (or sure) than sorry.《後で悔いるより最初から安全でいるのがよい》「安全第一」「君子危うきに近寄らず」
 = It is better to be safe than sorry. 
          別掲 → 教訓118 後悔しても無駄である。
He that fears drowning comes near no wells.《水死を恐れるものは井戸に近づかない》「君子危うきに近寄らず」

 とくに、自分で無用の危険をつくり出してはいけません。「藪をつついて蛇を出す」のは、愚の骨頂です。「寝た子を起こすな」です。

(c) Let sleeping dogs lie.《寝ている犬はそのままにしておけ》「寝た子を起こすな」「藪をつついて蛇を出す」
 = Wake not a sleeping lion.《眠っているライオンを起こすな》
(d) Don't make a rod for your own back.《自分の背中をたたかれる鞭は作るな》「自縄自縛」

 そして、危険に近づかないためには、行動する前にまず安全を確かめることが必要です。念には念を入れなければなりません。「転ばぬ先の杖」です。

(e) Look before you leap.《跳ぶ前に見よ》「転ばぬ先の杖」
          別掲 → 教訓97 しりぞくのも勇気のうち。


教訓 122. 火遊びや先のとがったものは危険。


Fire is a good servant but a bad master. 《火は召し使いとしてはよいが、主人としては悪い》


 火遊びはだれにも魅力がありますが、下手をすれば火傷します。無謀なことをしてはいけないと、コトワザはいいます。

(a) If you play with fire you get burned.《火遊びをすれば火傷する》

 また、先のとがったものも危険だから、触るなといいます。

(b) It is ill jesting with edged tools.《とがった道具でふざけるのはよくない》
(c) Do not kick against the pricks.[The Acts]《突き棒をけ飛ばすな》(無謀な抵抗をするな)
          別掲 → 教訓77 何ごとにも順応して生きよ。


教訓 123. 高い位置は危険である。


Uneasy lies the head that wears a crown.[Shakespeare] 《王冠を戴くものは安心して眠れない》


 人はだれでも、少しでも高いところへ昇りたがるものです。しかし上へ行けばいくほど、風当たりも強くなるし、いつなんどき落っこちるかもしれません。下には、虎視眈々と上を狙っているものがひしめいています。

(a) The highest branch is not the safest roost.《一番高い枝が一番安全な止まり木ではない》「高木風に折らる」
(b) What goes up must come down.《上がるものは必ず下がる》
(c) He who rides a tiger is afraid to dismount.《虎に乗るものは虎から降りることを恐れる》

(c)の意味は、一度虎の背に乗ったものが降りるに降りられないのは、降りればとたんに虎に食われるからだということです。

 反対に、最下位にいれば落ちる不安も、部下に復讐される心配もありません。

(d) He that is down need fear no fall.《倒れたものはもう倒れるのを恐れなくてよい》


教訓 124. 近道は危険、中道を歩め。


The beaten road is the safest.《踏みならされた道が一番安全》


 このコトワザの教えは、多くの人の通る道を通れば間違いがないということです。ひとりで行うと危険があることも、多くの人がやれば安全になるのです。北野たけし氏らのツービートが生んだ流行語に、「赤信号もみんなで渡れば怖くない」というのがあります。

(a) There is safety in numbers.《多数の中には安全がある》「赤信号みんなで渡ればこわくない」
(b) Safety lies in the middle course.《安全は中道にある》
          別掲 → 教訓71 人間には節度が必要である。

 「慎重さをすすめるコトワザ」ですでに触れたように、近道はかえって危険や障害に出会いやすく、いっそう時間がかかるものです。「急がば回れ」です。遠くても、回り道が安全です。

(c) The shortest way round is the longest way home.《一番近い道が一番遠い帰り道になる》
 = The longest (or farthest) way round is the nearest way home.《一番遠い回り道が一番の近道だ》
          別掲 → 教訓100 近道よりも回り道を。

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