4 忍耐と努力

 継続と忍耐をすすめる


教訓 101. どんな仕事でも最後までやり抜け。


Never do things by halves.《物事は中途半端でやめるな》


 このコトワザは、仕事はどのようなものにせよ、いい加減にするのではなく、最後まで立派にやり遂げよと教えています。次のものもその類義コトワザです。

(a) Whatever is worth doing at all, is worth doing well.[Lord Chesterfield]《いやしくもする価値のあることは立派にする価値がある》
(b) Leave no stones unturned.《どの石もひっくり返して調べよ》(八方手を尽くせ)
(c) Never make two bites of a cherry.《一つのサクランボウは二口にして食べるな》
(d) In for a penny, in for a pound.《1ペニーの仕事を始めたからには、1ポンドを手に入れるまでやれ》「乗りかかった船」
(e) Don't change horses in mid-stream.《流れの真ん中で馬を乗りかえるな》

 これらのコトワザが教えることは、有意義な仕事は八方手を尽くして徹底的にやるべきであり、途中で中止したり変更したりせず、一気に、乗りかかった船とばかり、初志貫徹せよということです。とくに、(e) は危機を乗り切るには、指導者や制度を変えるなという意味に使います。


教訓 102. 慣れれば出来るようになる。


Practice makes perfect.《練習が完全をもたらす》「習うより慣れよ」「継続は力なり」


 初めて何かを行う人にとっては、何ごとも難しいものですが、反復練習を積み、慣れるにしたがって、できなかったことができるようになるのです。「習うより慣れよ」です。あるいは「継続は力なり」といってもよいでしょう。次の類義コトワザがあります。

(a) All things are difficult before they are easy.《簡単に出来るようになるまでには、何でも難しい》
(b) Custom makes all things easy.《慣れればどんなことでも簡単にできる》
(c) Custom reconciles us to everything.《慣れればどんなことでも平気になる》


教訓 103. 少しずつでも継続してやれ。


Many a little makes a mickle.《小さなものでも多く集まれば大きくなる》「塵も積もれば山となる」「継続は力なり」
          別掲 → 教訓30 小さなものも次第に大きくなる。


 見出しのコトワザは、どんな小さなものでも、また力のないものでも、忍耐と努力の継続でやがて大きな力となり、大事業を成し遂げるという意味のものです。「継続は力なり」です。成功するためには、どのような方法論を弄するよりも、こつこつと地道に継続することが大切であると教える正攻法のコトワザが、英語ではやはりもっとも多いようです。

(a) Little by little and bit by bit.《こつこつ少しずつ》「千里の道も一歩より起こる」
          別掲 → 教訓30 小さなものも次第に大きくなる。
(b) Little and often fills the purse.《小銭でも何度も蓄えれば、財布がいっぱいになる》「継続は力なり」
          別掲 → 教訓30 小さなものも次第に大きくなる。
(c) Little strokes fell great oaks.《小さな打撃も大きなカシの木を倒す》
(d) Constant dropping wears away the stone.《絶えず落ちる水滴は石にさえ穴をあける》「点滴石をも穿つ」「継続は力なり」
(e) He who shoots often, hits at last. 《何度も射れば、最後には当たる》「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる」
          別掲 → 教訓37 大きいものや多いものは有利である。
(f) If at first you don't succeed, try, try, try again.《一度でうまくいかなければ何度でもやれ》
(g) It's dogged that does it.《事をなすのは頑張りである》
(h) Rome was not built in a day.《ローマは一日にして成らず》
          別掲 → 教訓98 あせらずゆっくりが勝利への道。
(i) A rolling stone gathers no moss.「転石苔を生ぜず」 →@「石の上にも三年」(イギリス)、A「流れる水は腐らず」(アメリカ)

(i)は、《落ちつきのない人は大成しない》というイギリス英語本来の意味に加えて、とくに変化に富むアメリカ社会では、《活動的な人は常に新鮮さを保つ》という意味にも使われます。つまりイギリスでは、《ころがる石にはコケのような貴重なものは生えない》、だから「石の上にも三年」という意味で用いられ、コケがプラスのイメージであり、転石がマイナスイメージなのです。ところが、アメリカでは逆に「流れる水は腐らず」、つまり《ころがる石にはコケのようなつまらないものは生えない》という意味で用いられ、コケがマイナスイメージであり、転石がプラスイメージに変わってしまったのです。文化の土壌がコトワザの意味を変えた例といっていいでしょう。


教訓 104. 忍耐と我慢がことを成就させる。


Everything comes to him who waits.《待つ人のところへはどんなものでもやってくる》


 さて、ことを成就するには何ごとも最後まで継続する perseverance《頑張り》が必要ですが、一方、苦痛や困難をじっと受動的に堪え忍ぶ patience《我慢》も必要です。ここでは、その我慢をすすめるコトワザを取り上げて見ましょう。
 まず、コトワザは待つという行為自体にも、意味があるといいます。

(a) They also serve who only stand and wait.[John Milton]《立って待っているものも役に立っている》

これは、どのような組織でも、緊急時にそなえて余裕のある人員配置をしておかなければならないということです。

 次のものは、見出しのコトワザと同様に、あきらめずに辛抱強く待つことが、願望を成就する鍵であることを教えています。よいものはいくら待ってもよいし、待てば大抵のことはかなうものだといいます。

(b) Good things are worth waiting for.《よいことは待つ甲斐がある》

 そして目的達成のためには、どんなに嫌なことであっても避けて通ることなく、最後まで苦痛に堪えて我慢しなければならないと説きます。この類義コトワザは沢山あります。

(c) If you do not like it you may lump it.《気に入らなくても我慢せよ》
(d) He that would have eggs must endure the cackling of hens.《卵を取ろうとするものは、メンドリの鳴き声を我慢すべし》
(e) What can't be cured must be endured.《直らないものは我慢する以外にない》
(f) You must grin and bear it.《笑って我慢せよ》
(g) Patience is a virtue.《忍耐は美徳》

 次のコトワザも、困難の状況の中にあって、悪条件に屈することなく、最善を尽くして努力せよと教えます。

(h) Make the best of a bad bargain.《損な買い物もなんとか工夫して生かせ》
(i) Make the best of a bad job.《不幸な事態にも善処せよ》

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