第2章 人間の生き方

1 人生と現実

 世の中の変化について教える


教訓 46. 世の中はさまざまな人でできている。


So many men, so many minds.《人の数だけ心は違う》「十人十色」


 世の中はさまざまな人で出来上がっていますが、この世に生きるとは、顔も心も違うそのさまざまな人と一緒に暮らすことです。見出しのものや次のものはいずれも、世はさまざま、「十人十色」を表すコトワザです。

(a) It takes all sorts to make the world.《世の中をつくるにはさまざまの人が必要》
(b) As many heads, as many wits.《人の数だけ知恵がある》
(c) Diverse men, diverse minds.《人が違えば心も違う》
(d) Some are wise and some are otherwise.《賢い人もいればそうでない人もいる》
(e) So many countries, so many customs.《いろいろな国にいろいろな習慣がある》「所変われば品変わる」

 その意味で、変化は人生の味付けです。変化があるから、人生は面白いのです。

(f) Variety is the spice of life.[William Cowper]《変化は人生のスパイスである》


教訓 47. 世の中のものはすべて変化する。


There is nothing permanent except change.[Heraclitus]《「変化」以外に永久のものはない》


 時は流れ、あらゆるものは変化します。この人生に永久不変のものは何一つありません。もしあるとすれば、それは変化するという事実だけであるというのが、見出しのコトワザの意味です。まことにヘラクレイトスのいうように「パンタ・レイ (Patna rhei)」《万物は流転する》なのです。

 だから、今日の幸せが明日の幸せとはかぎらないし、今日ここにあるものが明日ここにあるとはかぎりません。

(a) Here today, (and) gone tomorrow.《今日はここにあるが、明日にはもうない》

 自然についても、それは同じです。一見、自然は悠久不変のように思えますが、われわれ自身との関係から眺めれば、自然の事物は一つとして同じままであることはできません。人は同じ川を二度渡ることはないのです。

(b) The same man never crossed the same river twice.《同じ人が同じ川を二度渡ったことはない》

たとえ今日渡った川が昨日と同じ場所にあったとしても、流れる水は昨日と同じではないし、渡ったわれわれ自身も、厳密にいえば昨日のわれわれ自身ではないのです。

 もっと大きな時の流れの中で変わるものに、風俗習慣がありますが、人はそれに合わせて生きるしかありません。

(c) Other times, other manners.《時代が変われば風習も変わる》「移り変わるは浮き世の習い」

 生あるものは必ず滅びます。人生のはかなさは、一場の夢です。

(d) Life is but an empty dream.[Henry Wadsworth Longfellow]《人生ははかない夢にすぎない》

 いつなんどき、何が起こるかわからないのも人生です。そこには未知の事実が満ちあふれ、それらは奇々怪々、フィクションよりずっと面白いといえます。

(e) Fact (or Truth) is stranger than fiction.《事実は小説より奇なり》

 この世に住む人々は、それゆえ、変化に慣れています。人目を引く事件も、すぐに忘れられるのです。

(f) A wonder lasts but nine days.《驚きは九日しか続かない》「人の噂も七十五日」


教訓 48. 変化の中には繰り返しがある。


There is nothing new under the sun.[Ecclesiastes]《太陽の下に新しきものなし》


 しかし、変化の中にも変わらないものがあります。個人にとっての変化も、個人を越えて巨視的に眺めれば同じことの繰り返しにすぎません。循環する四季のごとく、繰り返すのが世の中の常であり、人間の歴史です。

(a) Never twice without three times.「二度あることは三度ある」
(b) History repeats itself.[Thucydides]《歴史は繰り返す》


教訓 49. 死は人間にとって必然である。


As soon as man is born he begins to die.《人は生まれるが早いか、死出の旅にでる》


 必ずめぐって来るものに、人間の死があります。死は、万人にとって避けることができないものです。

(a) Young men may die, but old men must die.《死ぬかもしれないのは若者だが、必ず死ぬのは老人だ》
(b) Nothing is certain but death and taxes.[Benjamin Franklin]《死と税金以上に確かなものはない》
(c) Dying is as natural as living.《死ぬことは生きることと同様に自然の理である》

 だが、人は二度と死なないし、だれももう一つの死を選ぶことはできません。人間の死に方は天によって定められているのかもしれず、その意味で、死は偉大な平等主義者です。

(d) If you're born to be hanged then you'll never be drowned.《縛り首になるように生まれついたら、溺死することは決してない》
(e) Death is the great leveller.《死は偉大な平等主義者》「冥土の道は王もなし」
(f) In the coffin, all men are equal.《棺の中では人はみな平等》「冥土の道は王もなし」

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