小さなものの不利や危険性について教える
教訓 32. 小さなものは不利である。
Little things please little minds.《小事は小人を喜ばす》
見出しのコトワザは、小さなものはせいぜい小人物を喜ばせるだけで、大人物に満足を与えることはできないといいます。このように、小さなものが大きなものに比べて不利であるとするコトワザがいくつかあります。例えば、多くのものの中から小さなものを一つ探し出すのは、不可能に近いという比喩として、To
look for a needle in a haystack.《ほし草の山の中に針を探す》という慣用表現があります。コトワザとしても、needle
を用いたものに、次の聖書起源のものがあります。
(a) It is as hard as for a camel to pass
through a needle's eye.[Matthew, Mark]《ラクダが針の目をくぐり抜けるほど難しい》
= It is easier for a camel to go through
the eye of a needle, than for a rich man
to enter into the kingdom of God. [Matthew,
Mark]《金持ちが神の国へ入るより、ラクダが針の目を通り抜ける方が簡単である》
教訓 33. 小さなものにも危険なものがある。
The thin end of the wedge is dangerous.《くさびのとがった先は危険である》
小さなものでも、危険なものがあります。このコトワザのように、先のとがったものは危険です。小だからとて軽視すると、大事を引き起こします。
(a) A little stone in the way overturns a
great wain.《行く手の小石は大荷車を転覆させる》
知識は危険から人を救いますが、生半可の知識はかえって危険を招くことがあります。
(b) A little learning is a dangerous thing.[Alexander
Pope]《わずかばかりの学問はかえって危険である》「生兵法は怪我のもと」
別掲 → 教訓173 分な知識と経験がないと危険である。
別掲 → 教訓81 目的にふさわしい方法を用いよ。
人間も同じで、小人物は怒りやすいのです。
(c) A little pot is soon hot.《小さななべはすぐに熱くなる》
教訓 34. 小さな危険はやがて大きな危険になる。
A little leak will sink a great ship.《小さな漏れ口が巨船を沈没させる》「千丈の堤も蟻の一穴から」
小さな欠陥でも軽視してはいけません。放置すると取り返しのつかぬことになります。
(a) For want of a nail the shoe was lost.《釘一本が足りないため、蹄鉄が駄目になった》
(b) Who repairs not his gutters repairs his
whole house.《雨といを直さないと、家全部を直さなければならなくなる》
(c) Don't spoil the ship for half a penny's
worth of tar.《わずかなタールを惜しんで船を駄目にするな》
= It is no use spoiling the ship for a ha'p'orth
of tar.
(d) The last straw breaks the camel's back.《最後のわら一本がラクダの背中を折る》
別掲 → 教訓71 人間には節度が必要である。
(d)は、いわゆる「キレル」という心理現象にも当てはまります。人間が我慢の瀬戸際に追い込まれると、ほんのささいなことでその限界が切れます。最近、キレル若者が多いのは、彼らの欲求不満がその限界に達しているからなのでしょうか。
教訓 35. 危険の芽は小さなうちに摘め。
A stitch in time saves nine.《時宜を得た一針は九針の手間を省く》
別掲 → 教訓115 何ごとも早く始めるのがよい。
だから、このコトワザのように、小さな危険には早めの手当が必要です。早めに手当しないと、大きな損害を与えることになります。事前の予防の方が事後の治療より有効な場合が多いのです。問題を防止する努力を少しすれば、問題が大きくなってから解決する努力はしなくてもすみます。
(a) An ounce of prevention is worth a pound
of cure.《1オンスの予防は1ポンドの治療に匹敵する》
人の犯す過ちについても、そうです。小さな過ちは改めやすいのですが、大きな過ちを改めることはなかなか難しいのです。
(b) He that corrects not small faults, will
not control great ones.《小なる過ちを正すことのできないものは大なる過ちを制御できない》
本文のトップに戻る