4 小さなものと大きなもの

 小さなものの価値について教える


教訓 29. 小さなものは小さいなりに価値がある。


Small is beautiful.《小なるものは美しい》


 小さなものは一般に無視されがちですが、このコトワザは小さなものこそ美しいといいます。次のコトワザも、小さいものの価値を強調します。

(a) Little fish are sweet.《小さな魚は美味である》
(b) Little body often harbors a great soul.《小さな体はしばしば大きな心を宿す》

 次のものは、コトワザというより引用句として知られていますが、ウィリアム・ブレイクの詩からの有名な一節です。

(c) To see a world in a grain of sand and a heaven in a wild flower.[William Blake]《一粒の砂の中に世界を見、一本の野生の花の中に天国を見る》

この句は、一粒の砂や一本の花は、それが何かほかのものに役立つから価値があるというのではなく、それ自身がかけがえのない存在であり、そこには宇宙や神の意志が実現されているから価値があるというものです。


教訓 30. 小さなものも次第に大きくなる。


Great oaks from little acorns grow.《大きなカシの木も小さなドングリから育つ》


 コトワザは世俗の知恵ですから、ブレイクの詩のように、小なることそのものの中に価値を見いだすものは少ないようです。コトワザのほとんどは、小さなものの価値を、それが次第に大きくなることの中に見いだそうとします。見出しのコトワザは、物事の始まりはすべて小さなものですが、しかしそれは次第に大きくなるから、今の小ささに引け目を感じる必要はないというものです。今は小さくても、将来に自信をもてばよいのです。

(a) Everything must have a beginning.《何ごとにも始めがある》
(b) Every oak must be an acorn.《カシの木も初めはみなドングリ》

 そして、どんな小さなものでも集まれば大きくなるし、どんなわずかなことでも繰り返せば大きな力になります。小さなもの、わずかなことを軽視してはなりません。「塵も積もれば山となる」のです。

(c) Every little helps.《どんな小さなものでも役に立つ》
(d) Little by little and bit by bit.《こつこつ少しずつ》「千里の道も一歩より起こる」
          別掲 → 教訓103 少しずつでも継続してやれ。
(e) Many a little makes a mickle.《小さなものでも多く集まれば大きくなる》「塵も積もれば山となる」
          別掲 → 教訓103 少しずつでも継続してやれ。
(f) Little and often fills the purse.《小銭でも何度も蓄えれば、財布がいっぱいになる》「継続は力なり」
          別掲 → 教訓103 少しずつでも継続してやれ。
(g) A penny saved is a penny earned (or gained).《1ペニーの節約は1ペニーの稼ぎ》
          別掲 → 教訓157 将来に備えて節約し、できるだけ蓄えよ。
(h) Take care of the pence and the pounds will take care of themselves.[Earl of Chesterfield]《小銭を大切にすれば、大金はおのずから集まる》

(h)はイギリスの政治家チェスターフィールド伯が息子に書き送った言葉として知られ、小事をゆるがせにしなければ、大事は自然とうまくいくという意味の忠告です。


教訓 31. 小さなものを手段にして大利をあげる。


You must lose a fly to catch a trout.《ニジマスを釣るには、毛針を捨てなければならない》


 小さなものはまた、小さいなりに役立ちますが、それは自らを犠牲にして大なるものを得るときです。小なる犠牲を惜しんだのでは、大きな利益は上げられません。大を得るためには小を捨てよ、とこれらのコトワザはいいます。

(a) Throw out a sprat to catch a mackerel.《サバを捕るには小エビを捨てよ》「海老で鯛を釣る」

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