外見と中身とどちらが大切かを教える



教訓 26. 外見が中身をつくる。


Fine clothes make the man.《立派な衣服が人をつくる》「馬子にも衣装」


 まず、外見が中身をつくるから、外見の方が大切だとする類義コトワザがいくつかあります。「馬子にも衣装」に相当するものです。

(a) Fine feathers make fine birds.《美しい羽が美しい鳥をつくる》
(b) The tailor makes the man.《仕立屋が人をつくる》
(c) Apparel makes the man.《服装が人をつくる》

これらのコトワザは、衣装を美しくすればそれを身につけている人も立派に見え、他人の評判も上がって、ひいては中身もそれにふさわしいものになるということです。美しく見られたいという心が、人の姿を正すのでしょう。


教訓 27. 外見は中身をつくらない。


Clothes do not make the man.《衣服は人をつくらず》


 しかし、前述の「馬子にも衣装」に当たる英語のコトワザはあまり多くなく、むしろ多いのはその対義コトワザで、見出しの《衣装は人をつくらず》に相当するものです。次のコトワザはいずれも、衣装いくら立派にしても中身が立派になるわけではないといいます。

(a) Fine clothes do not make gentlemen.《立派な衣服が紳士をつくるのではない》
(b) The cowl (or hood) does not make the monk.《頭巾では僧侶はできない》「衣ばかりで和尚はできぬ」
(c) It is not the beard that makes the philosopher.《あごひげを生やしても哲学者にはなれない》
(d) It is not the gay coat that makes the gentleman.《派手な衣装を着たとて紳士にはなれない》


教訓 28. 中身が外見をつくる。


Handsome is that handsome does.《振る舞いの立派な人こそ立派な人である》「見目より心」


 要するに、外見が中身をつくるのではなくて、中身が外見を作り上げるのです。外見だけを飾っても、中身が出来上がるわけではありません。中身を立派にすれば、外見はおのずから立派になります。見出しのコトワザは、大事なのは外見や美貌ではなく、立派な振る舞いであり、人格であると説いています。

(a) Manners make the man.《行儀作法が人をつくる》
(b) Goodness is better than beauty.《善は美にまさる》

 そして、人間の中身には、人格、教養、技能などがありますが、その中心をなすものはやはり心です。

(c) The face is the index of the heart (or mind).《顔は心の指標である》
          別掲 → 教訓206 言葉以外にも表現手段はある。
(d) The eyes are the window of the soul (or heart).《目は心の窓》「目は心の鏡」
          別掲 → 教訓206 言葉以外にも表現手段はある。

顔や目が心を映す鏡、心を知るための指標であるというのは、心は目や顔となって表面に表れ、容貌をつくるからです。だから、外見だけをつくろっても、粗野な品性は隠しようがありません。

 次のコトワザはさらに厳しく、化粧でいくら外見をごまかしてもかえってその醜さを際立たせるだけだといいます。

(e) Ugly women, finely dressed, are the uglier for it.《醜い女がおしゃれをすると、いっそう醜さが目立つ》

 また、人の容姿の美しさをつくるのは、心身の健康であり、そこから生じる心の喜びであるといいます。

(f) Health and gaiety foster beauty.《健康と快活が美しさを育てる》
(g) The joy of the heart makes the face fair.《心の喜びは顔を美しくする》「心に連るる姿」

 最後に、中身がよければ、世間は必ずそれを評価してくれるというコトワザがあります。いたずらに表面を飾るのではなく、中身の向上や充実に心すべきだということです。

(h) Good fame is better than a good face.《美名は美貌にまさる》
(i) A rose by any other name would smell as sweet.[Shakespeare]《バラはどんな名前で呼んでもよい香りがする》
(j) Good wine needs no bush.《良酒にはツタの看板は要らぬ》「桃李もの言わずとも下自ずから蹊を成す」

(j) の bush はツタの枝のことで、むかし居酒屋はこれを「ワインあり」の看板として門口に飾ったといわれています。

 美しくなるためには、まず自己の内面を豊かにすることです。そうすれば外見はおのずと美しくなるというのが、コトワザの結論であるようです。

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