美の主観性について教える


教訓  19. 美は見る人の目の中にある。


All cats are gray in the dark.《暗やみでは猫はみな灰色で美しい


 「夜目遠目傘の内」という日本のコトワザがあります。初めて見る人にとって、これは一種の謎かけコトワザで、使われた三つの名詞の背後にどのような意味が隠されているのかは、答えを聞いてみなければなかなか判りません。それらは実は、女性が美しく見えるための条件を語っているのです。美は、それがおかれた条件によって大きく変わります。陰影や距離は、美しさを引き立たせてくれるものです。英語のコトワザにも、同じような意味のものがあります。

(a) When the candles are out, all women are fair.《ロウソクが消えると女はみな美しい》
(b) Blue are the faraway hills.《遠くの丘は青い》 
          別掲 → 教訓11 遠くのものには憧れがわく。

 このように、美はそれを見る場所、見る時間によって変わります。そして何を美しく思うかは、見る人によっても違います。ということは、美は普遍的・客観的なものではなく、すぐれて主観的なものです。それは見る人の主観の中にしかないということになります。

(c) Beauty is in the eye of the beholder.《美は見る人の目の中にある》


教訓  20. 人の好みも主観的である。


There is no accounting for tastes.《趣味嗜好には理由がない》「蓼食う虫も好き好き」


 何を美しいと見るかは人によって違うのと同様に、何が好きであるかも人によって違います。「蓼食う虫も好き好き」というように、人の好みは「十人十色」です。次のものはその類義コトワザです。

(a) Everyone to his taste.《人は好き好き》
(b) Tastes differ.《好き嫌いはさまざま》
(c) One man's meat (or gravy) is another man's poison.《ある人の食べ物はほかの人の毒になる》「甲の薬は乙の毒」 
          別掲 → 教訓3 ものは正反対のものに変化する。

 人間の目は、当てになりません。おいしそうに見えるものには貪欲になり、胃袋がそれについていけないほどです。

(d) The eye is bigger than the belly.《目は腹よりも大きい》(見ると食べられそうに思えるが、実際は食べられない)

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