美の一時性・危険性について教える
教訓 17. 美は短命で、醜と隣り合わせ。
Beauty is but skin deep.[John Davies of Hereford]「美人というも皮一重」
まず、美の皮相性について述べたコトワザを見てみましょう。このコトワザのほかに、次のものがあります。
(a) Beauty fades like a flower.《容色は花のごとく色あせる》
(b) The fairest rose is at last withered.《どんな美しいバラでもやがてしおれる》
(c) The fairest flowers soonest fade.《一番美しい花が一番早くしおれる》「佳人薄命」
(d) The fairest silk is soonest stained.《一番きれいな絹が一番早く汚れる》
(e) The fairer paper, the fouler the blot.《紙はきれいなほどしみが目立つ》
美は、このように短命で、あせやすく、うつろいやすいのです。だからこそ、いっそう人々に求められるといえますが、しかし同時に、しおれたバラの残醜からも感じられるように、外見の美は中身の醜悪と分かち難く結びついているという感じを、人は抱かざるを得ません。そこで、次のコトワザがあります。
(f) Fair face, foul heart.《美しい顔に汚い心》「外面如菩薩内心如夜叉」
別掲 → 教訓1 ものには矛盾する二面がある。
= Fair without, foul within.《外面は美しいが、内面は醜い》
別掲 → 教訓1 ものには矛盾する二面がある。
(g) The peacock has fair feathers, but foul
feet.《クジャクの羽は美しいが、足は汚い》
これらのコトワザは、表面の美はその裏に醜悪なものを隠しているといっています。
教訓 18. 美の力は強く、危険である。
Beauty opens locked doors.《美貌はドアのかぎをはずす》
むろん、コトワザが「美」《Beauty or Fairness》という場合、それはあるときは人間の美貌を指し、あるときはその美貌をもつ女性一般を指しています。次のコトワザも、美貌または美貌をもつ女性が強い力をもつことを述べていますが、裏にはむろん美貌の危険性を指摘する意味合いが含まれています。
(a) Fair face is half a portion.《美貌は持参金の半分》
(b) Beauty draws more than oxen.《美貌は牛よりも引く力が大きい》
(c) One hair of a woman draws more than a
hundred yoke of oxen.《女の髪の毛一本は二百頭の牛の牽引力にまさる》「女の髪の毛には大象も繋がる」
次のコトワザは、美が人間の知性や徳性と一致しないことをはっきり述べています。
(d) Beauty and honesty (or wisdom) seldom
agree.《美貌と正直(知恵)はめったに一致しない》
(e) Beauty and folly go often in company.《美貌と愚行はしばしば相伴う》