・読売新聞(1999年10月1日(金)朝刊 「おはようトーク」) 


   ことわざを「教訓」で分類



 
英語のことわざは受験勉強でも頭痛のタネでした。

 日本、イギリス、アメリカでは、言葉も違えば、考え方や習慣も違う。ことわざも同じ言い回しのものが少ないのが当然。和英や英和辞典があつても探し出すのは困難だし、従来の英語ことわざ事典も、初めの単語の頭文字をABC順に並べたものか、語彙や題材別に分類したR・ファーガソンの分類事典(ペンギンブックス)に準じるものだけで、利用するのが難しかった。

 その難点をクリアされた?

 「教訓をテーマ別に整理した事典」を作れば使いやすいと思い付き、七、八年前から、そのつど論文にまとめた分を発表。それを楽しい物語風に書き直し、出版にこぎつけました。私が知る限り日本初の[英語ことわざ・テーマ別事典」ですから、利用価値は高いと自負しています。

 引き方のポイントを。

 例えば、「仲のよい友人同士は、かえってけんかになる」ーそんな時役立つことわざを探すとします。まず、巻頭に掲げた教訓テーマ一覧表を見ます。ものの見方、人間の生き方、成功の条件、人間の社会、人間の文化、人間の内面ーの大別した六項目から該当する「ものの見方」を選択。次にそこに含まれる大項目(五つ)の欄を見ると、「近くのものと遠くのもの」があり、すぐ右側の中項目の欄(四つ)に、「身近にあるものの不利について教えるコトワザ」があります。さらに右隣の小項目の欄(十五項目)を見るとズバリ、教訓9として「人間関係には距離をおけ。41ページ」があります。それで同ページを開くと「Good fences make good neighbors.」(よい垣根がよい隣人をつくる)が見つかるというわけです。

 収録数は。

 大体、千三百八十ぐらいでしょうか。

 文化の違いのようなものは。

 嫁姑に関するものが日本ではべらぼうに多いのに、イギリスにはありません。日本の「石の上にも三年」に該当するものに、「ころがる石にコケつかず」というのがありますが、イギリスは日本と同様にプラス評価で使うのに、アメリカはコケを古臭いイメージにとってマイナス評価で使うのです。

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 英語は旧制中学時代、勤労動員で一、二年だけしか勉強できなかったそうだ。今ある生き方を見る時、まさに、賽翁(さいおう)が馬の感深し。

  出版元は中日出版社(052・931・5230)。

  聞き手・岡本隆明

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