「国際交流の未来」
              ー東奔西走ー                  安藤 邦男

                          「たまみず」26号 愛知県立昭和高等学校 PTA会報
                                             昭和61年12月24日


▼世はまさに、国際化時代である、本校にも、去年から今年にかけて三人の外国人高校生が体験入学をした。また、この六月にはカリフォルニア高校の校長先生か訪問され、姉妹校としての留学生交換の申入れがあった。初めてのケースとして、本校ではいまその受入れ態勢を検討・準備中である

▼さきほど、経済企画庁から発表された六十一年度国民生活白書も、国民生活を国際化の側面から分析している。海外旅行者が去年一年間で、四百九十五万人あった事実からも窺えるように、国際化の状況は急速に進展している。しかし、その国際化に対する国民の意識には、全体的にまだかなりの遅れが目立つようである

▼例えば、白書は国際交流に対する国民の「選好度」の調査結果を載せているが、それによれば技術・情報の輸入や、短期の人間交流には賛成が多いが、「老後の外国暮らし」「子連れの外国赴任」「外国人との結婚」など、長期にわたる外国滞在や外国人との接触には、まだまだ大きな抵抗感がある

▼上智大学のグレゴリー・クラーク教授は、白書の読後感として、「日本人は文化の輸入には積極的だが、ヒトの受入れには排他的である」と語り、「外人」という言葉の中にある日本人の差別感を指摘している。(朝日新聞)

▼国際化の進行は、今後ますます早まるであろう。この時代に生きるわれわれ日本人としては、一刻も早く、外国人に対する偏見や差別感を払拭し、現実との間にある意識のズレを正す努力が必要ではないだろうか。(安藤邦)

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