「環境週間に思う」
             ー東奔西走ー                  安藤 邦男

                    「たまみず」25号 愛知県立昭和高等学校 PTA会報
                                       昭和61年 7月18日


▼話はいささか旧聞に属するが、去る六月、「みんなで築くよりよい環境」をテーマに、第十四回環境週間が実施された。今年は環境庁が生まれて満十五年にあたることもあって、自然保護や環境保全についての講演会、展示会、記念植樹、野外観察の集い、ゴミ持ち帰り運動などと、各地でさまざまの行事があり、例年になく盛況であったという

▼自然環境や社会環境への関心は、年ごとに高まっている。このことは、人びとの求める豊かさの中身が、量的なものから質的なものへと、変わってきた最近の状況と、無関係ではあるまい。いずれにしても、環境問題は生活のなかで今後ますます重要さを増すであろうと思われる

▼おりしも本校では、上掲の写真でご覧のように、本館の改修が成り、また校舎周辺の庭園や花壇の整備も進み、四月以来、新しい環境で勉強が始まっている。清掃や除草の作業も、熱心に行われ、校舎の内外も去年と比べると、格段にきれいになった。勉強に取り組む姿勢も、心なしか良くなったように見える。まことに「居は気を移す」のである

▼人間は環境をつくるが、その環境が今度は逆に、人間をつくることになる。このような人間と環境との相互作用があればこそ、人間の歴史には発展があった。今日、教育改革が叫ばれているが、そのためにはただ学校だけでなく、家庭、地域社会、文化的伝統、さらにはそれらを取りまく自然的条件など、さまざまな人間環境の改善が不可欠であることを、あらためて痛感するものである。(安藤邦)

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