「コース選択は二年生から」
   ー(五十七年度新カリキュラム)教務部よりー                安藤 邦男

                           「たまみず」12号 愛知県立昭和高等学校PTA会報
                                             昭和57年 3月 1日


 近ごろ「モラトリアム人間」という言葉をときどき耳にします。「モラトリアム」とは、本来「支払い猶予」を意味する法律用語です。慶大助教授の小此木啓吾氏が最近の青年を「モラトリアム人間」と呼んでから、この言葉の新しい用法が定着したようです。

 氏によれば、最近の豊かな社会が青年期をいっそう微温的で、居心地のよいものにし、青年をますます「モラトリアム志向」にさせるということです。彼らはいつまでも自立を拒否し、目標を定めず、責任を伴う決定を回避し、半人前であることに満足するといいます。

 では、本校の生徒諸君はどうでしょうか。このような傾向に対して、決して例外ではないと思います。たとえば、進学における志望校決定の問題をとりあげても、それは明らかです。受験まぎわになっても、なかなか行きたい大学の決まらない者が多いのです。

 生徒諸君の気持は、わからないこともありません。一つの大学を選ぶということは、それ以外の大学を切り捨てることであり、並々ならぬ覚悟の要ることだからです。しかし、そもそも選択とは、多くの可能性の中から一つの可能性を選び、それにすべてを賭けるということです。その決断の時期は、一時的に延ばすことはできても、永久に避けて通ることはできないのです。そうである以上、残された道はただ一つ、できるだけ早く将来の目標を決定し、それに向かって努力することです。

 五十七年度からは、高校でも新指導要領に基づくカリキュラムが実施されます。本校では、新入生には、二年生から「文型」と「理型」のコースを設定することになりました。したがって、二年生から自分の進路、適性に応じた科目を選択し、計画的・集中的に勉強できるようになったわけです。(安藤)

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