「勉強としつけ」
    ーまず基本的生活習慣からー  生活指導部                安藤 邦男

                            「たまみず」愛知県立昭和高等学校PTA会報
                                         昭和54年 5月 8日


 昨年の生活指導委員会の調査によれば、男子の三割弱、女子の一割弱が、自分の勉強部屋の掃除を全然しないという結果が出ています。これにはお母さん方の態度が一役買っている場合もあります。「子供は勉強で大変だから、せめて部屋の掃除くらいは母親がやってやろう」という親心です。しかし、それだけ子供が勉強に身を入れるかといえば、それははなはだ疑問です。自分の部屋の掃除さえできないものが、どうしてそれ以上にきびしい勉強に堪えることができるでしょう。

 生活面での「しつけ」は、勉強の習慣と無関係ではありません。それどころか、「自分のことは自分で始末できる」、「遅刻をしない」、「決められたことはきちんと行う」、「規則を守る」というような基本的生活習慣は、勉強の面における「毎日一定時間勉強に集中できる」、「予復習を計画的・持続的に行うことができる」、「きらいな科目でも積極的に取り組める」というような学習態度と、まったく同一レベルにある資質・能力なのです。

 ですから、「しつけ」の面できびしい訓練を受けたものは、勉強の面でもきびしい持続と集中に堪えることができるといえるわけです。その意味で、生活態度と学習態度は対立するものではなく、同一平面において重なりあう性質のものです。

 どうか、ご家庭では「勉強」を「しつけ」から切り離して特別扱いするのではなく、あくまでも「しつけ」の中で、[しつけ」の一環として、ご指導いただきたいと思います。そうするのが、子供の学習態度を築く最善の道だと思っております。

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